レビュー

【タイヤレビュー】どの領域でも性能に不満なし!? グッドイヤーのミニバン専用タイヤ「EfficientGrip RVF02」をドライ&ウェットで試す

オールシーズンタイヤ「Vector 4Seasons Hybrid」との違いはどこにある?

ミニバン特有のふらつき、静粛性に注視して開発

 トータルバランスを追求するグッドイヤーのエフィシエントグリップシリーズに、ミニバン専用タイヤ「EfficientGrip RVF02(エフィシェントグリップ アールブイエフゼロツー)」がラインアップされた。かつて「EAGLE RV-F」として発売されていたものの実質、後継モデルとなる。ミニバンといえば、いまや人気のSUVにシェアを奪われてしまったかに思えるが、いまだ国内自動車販売台数の4割弱がミニバン&ハイト系ワゴンという現実がある。

 だからこそグッドイヤーはミニバンユーザーたちが求める性能を改めて追求したのだろう。要求は静粛性、乗り心地、ライフ、そして運転の負担など多岐に渡る。さらに言えば、ファミリー層が多く使うクルマなだけに、他のクルマ以上に安全性が重要視されることはもちろんだ。そこでEfficient Grip RVF02ではミニバン特有のふらつきや、偏摩耗の抑制を達成しつつ、最もユーザーアンケートで重要視されていた静粛性に注視して開発が行なわれたようだ。

今回クローズドコースで試したのは、3月1日にグッドイヤーから発売されるミニバン専用タイヤ「EfficientGrip RVF02(エフィシェントグリップ アールブイエフゼロツー)」。全40サイズをラインアップし、ラベリング制度での転がり抵抗性能は全サイズでAA、ウェットグリップ性能はサイズによってbまたはc
大きさが異なる5つのショルダーブロックの配列を最適化し、ピッチ数を増やしてランダムに配置することで路面からのピッチ音(叩き音)を分散。これによりパターンノイズは従来の「EAGLE RV-F」から14%低減させることに成功した。ロードノイズもEAGLE RV-F比で9%低減している
EfficientGrip RVF02のサイド部。製品名を小さくレイアウトする代わりに、GOODYEARのロゴを大きくレイアウトするのがデザイン面での特徴の1つ

 Efficient Grip RVF02のトレッドパターンを見るとそれが伝わってくる。特に目を引くのがアウト側のブロックの大きさだ。ハイトがあるミニバンだと、どうしてもアウト側のショルダー部に負担がかかりやすく、ゆっくり乗ったとしてもそこの減りが早くなる。アウト側のショルダー部をしっかりさせ、さらにグリップを稼ごうということだろう。結果としてランド比は13%もアップ。接地圧も全体に分散され、ライフも22%向上しているらしい。

 静粛性については5つのショルダーブロックの配列を最適化。ピッチ数を増やし、ランダムに配置することで路面からの叩き音を分散している。結果的にEAGLE RV-Fに対してパターンノイズは14%、ロードノイズは9%低減。また、新形状ラウンドサイドウォールの採用により、サイド全体がバランスよくたわむようになり、衝撃緩和にも繋がっている。

どの領域でも不満なし

 今回はテストコースにおいて、ミニバンの代表格であるトヨタ「アルファード」を使って走ってみたが、まず驚いたのはステアリングを切った瞬間から感じられる確かな手応えとグリップ感だった。

 切りはじめから素直にクルマが応答し、コーナーの中でグッと切り込む領域まで、とにかく頼りがいのあるコーナリングをみせたのだ。ひょっとしてスポーツタイヤ? ミニバン専用という謳い文句がウソかのように感じられるほどだったのだ。それはダブルレーンチェンジを行なっても同様で、少ない操舵角で駆け抜けることを許してくれる。おかげでフラつきは少なく、収束も素早いように感じられた。

 ここまで走れる感覚があると、他が心配になるところなのだが、乗り心地はたしかにマイルドだし、静粛性もなかなか。ゴーというロードノイズも、パターンが発するシャー音も少なく仕立てられているバランスの良さがある。

頼りがいのあるコーナリングをみせるEfficient Grip RVF02。それでいて乗り心地はマイルドで、静粛性もなかなかの仕上がりと、トータルバランスのよさが光る

 ならば、溝が少なくなったことでウェットがダメでは? とあら捜しをしたのだが、ざぶざぶウェットのスキッドパットを走ってもきちんと止まるし、コーナリング中のグリップの抜けもジワリと滑って扱いやすかった。これならドライバーも同乗者も納得できるに違いない。試しに後席も座ってみたが、どの領域でもこれといった不満が出なかった。トータルバランスに優れていることは間違いなさそうだ。

ウェットのスキッドパットでもきちんと止まる

オールシーズンタイヤと比べてどう?

 トータルバランスといえば、グッドイヤーにはもう1つ注目のタイヤがある。それはオールシーズンタイヤの「Vector 4Seasons Hybrid」だ。これを最後に触れておきたい。アイスバーンでの走りはあまり推奨していないが、それ以外のシーンではバランス良く走れるこのタイヤも、Efficient Grip RVF02と同様の環境で走ってみた。

左がEfficient Grip RVF02、右がオールシーズンタイヤのVector 4Seasons Hybrid

 乗り換えてみて感じることは、Efficient Grip RVF02と比較してもそれほど遜色なく走れてしまうということだった。全体的に少しグリップが低いかな、という程度のもので、少しスピードを落とせば難なくクリアできることを確認。静粛性はEfficient Grip RVF02と比べると若干うるさく感じる。

 だが、「これが標準タイヤです」と渡されてブラインドテストしたら、それがオールシーズンだと言い当てられるか、ハッキリいって不安だ(笑)。かつてはうるさくて当たり前だったが、それも改まりつつあるというのが現状だろう。強いて言えばウェットグリップがもの足りない。それはトレッドパターンを見ても明らか。直線制動は低速であればまずまずこなせたが、円旋回路に入るとEfficient Grip RVF02に対して5km/hくらい限界スピードが落ちる。30km/h前後でそれだけ違うのだから、速度が上がればよりつらくなるだろう。

 このような特性をシッカリと頭に入れて、スピードを控えめに使うのであれば、1年中履きっぱなしにするのもわるくはないと思える仕上がりだった。

グッドイヤー「EfficientGrip RVF02」試乗(3分12秒)

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はスバル新型レヴォーグ(2020年11月納車)、メルセデスベンツVクラス、ユーノスロードスター。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛