山田弘樹のスバル「クロストレック」ストロングハイブリッド徹底レポート

第5回:ウインタースポーツをしたくなって、(ほぼ)初めてのスノボに挑戦してきた

クロストレックと新しい世界に踏み出してみた

目指すは雪山、スノボデビュー

 日ごとに暖かさが増し、春の訪れをひしひしと感じ始めた2月の下旬。「これはまずいぞ!」と思い立ち、ひとっ走り長野まで行ってきた。この熱愛連載で唯一やり残していたミッション――「クロストレックで、ウインタースポーツ!」を完遂するためだ。

 さて今回選んだアクティビティは、ミラノオリンピックでも盛り上がったスノーボード。ちなみに筆者、まったくの初心者である。

 スキーなら人並みには滑れるけれど、スノボははるか昔に、人工スキー場で1回やったきり。「満55歳での初挑戦!」なんて最初は浮かれていたけれど、ホントにダイジョブか?

 ということでCar Watch編集部の北村女史と、スバル広報部 期待の新人フジタ君を巻き込んで、いざ雪山へと向かった。

ボード経験者2人を巻き込んで、スノボにチャレンジ!

 そう――。クロストレックは、「新しいことにチャレンジしたくなる」クルマなのである。……って、ほんとにダイジョブかな。やっぱバス釣りとかにしておけばよかったかな。

 とにもかくにも大人3人分の荷物とギア、そして2枚のボードをパズルのように賢く詰め込んで(筆者はレンタル)、いざ出発だ。

ラゲッジは3人分の1泊2日のお泊まりアイテムに加え、2人分のボードとウェア、ブーツなどなどを飲み込んだ

 ところで今回の相棒は、これまで慣れ親しんだ、マグネタイトグレー・メタリックの「クロストレック S:HEV」じゃない。同じストロングハイブリッドだけれど、2025年7月にマイナーチェンジした「アプライドC型」だ。

 ちなみにその変更点は、「安全装備の標準化」がメインテーマ。これまでオプションだった「緊急時プリクラッシュステアリング」や、「スバルリアビークルディテクション」(後側方警戒支援システム)、「エマージェンシーレーンキープアシスト」が全車標準装備となった。

 もっとも試乗車は最上位グレードの「Premium S:HEV EX」だったから、安全装備は全部盛り。そして伝家の宝刀「アイサイトX」が、標準装備である。

 そしてそして! このアプライドC型には、新色の「サンドデューン・パール」と、特別色の「シトロンイエロー・パール」が追加された。「オフショアブルー・メタリック」や「オアシスブルー」がなくなってしまったのは残念だけど、筆者もサンドデューン・パールは大好きだ。

 というわけで今回のボディカラーは、シトロンイエロー・パールである!

 ……あれっ。

 ちなみに筆者、このボディカラーを「とっても個性的な緑だね!」と言ったら、「緑じゃなくて、黄色です」と、フジタ君に訂正された。

「いやいやこれ完全に、“キミドリ”でしょ!」と言うと、「緑がかった黄色が、シトロンイエロー・パールなのです」と、彼はまったく引かなかった。

 さすがは売れっ子としてセールス時代をくぐり抜けてきた猛者である。

新たな相棒のシトロンイエロー号。……イエロー?
雪山へ行くので、横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」を装着

 そんなボディカラーにも増して感心したのは、クロストレック S:HEVと、スタッドレスタイヤの相性の良さだった。

 試乗車が装着していたのは、横浜ゴムの「iceGUARD SUV G075」。その名の通りSUV用のスタッドレスタイヤだから、ドライ路面で踏ん張り感があるのは当然といえば当然。

 しかしそれに輪をかけて、クロストレック S:HEVの足まわりとマッチングがよかったのだ。

 ブレーキを踏んでも“グッ”と踏ん張り、ハンドルを切れば適度なロールでカーブを曲がる。おそらく2月の気温や路面温度と、コンパウンドの剛性も合っているのだろう。まるで夏タイヤで走っているかのように、快適な走りが得られた。

 だから最初は筆者も、アプライドC型の足まわりが変わったのかと思った。変更点は先進安全装備面の磨き上げで、シャシーには一切手が加えられていないというのを知ってはいたけれど、「実はなんかやってない?」と、フジタ君に二度聞きしたほどである。

 もちろんその答えは、「ノー(変わっていない)」だった。

スタッドレスタイヤとは思えない快適な走り

 集合場所から下道を走り抜けて、いざ関越自動車道へ。三連休の初日はほどよい交通量で、アイサイトでの100km/h巡航はすこぶる快適。途中で休憩を1回挟んだだけで、上信越自動車道を経由して一気に小諸まで走り切った。途中でお昼を挟まなかったのは、信州蕎麦を食べるためだ。

 小諸ICを降りてからも、道路に雪はなかった。それもそのはず。外気温は17℃を超えており、雪らしきものは道路の端っこに、わずかに積み上げられているだけだった。

 長野は除雪が行き届いているせいもあるけれど、あとは野沢温泉スキー場のライブカメラを信じるのみ! だ。

 ちなみに往路の燃費は、230kmを走って17.6km/L。燃料計は半分より少し上といったところで、このペースだとあと420km走れる計算となっていた。

自社栽培されたそば粉を使った草笛の「7割そば」を中盛りで頼み、ちょっと甘めなくるみダレも堪能。名物の「くるみおはぎ」もシェアしたから、お腹はいっぱいだ

 信州蕎麦を堪能してからは、腹ごなしに小諸駅のまわりを散歩した。普段ならそんな気持ちにならないはずなのに、体力まんまん!

 仕事柄その理由を分析してみれば、4WDの直進安定性はやっぱり疲れを感じさせないのだと思う。アイサイトが電動パワステをしっかり保持していたせいもあるけれど、そもそも4WDモデルは真っすぐ走る。柔らか過ぎず硬過ぎないシートが腰まわりを支えてくれるから、三半規管も揺さぶられにくいのだと思う。最低地上高の高さが生む視界は前方の見通しにゆとりを生んでくれるし、あまつさえストロングハイブリッドは静かだ。クロストレック S:HEVに乗っていると、目的地がゴールではなく「スタート」になるというわけである。

いつもならすることもない散歩をしたら、新たな出会いもあった

55歳の子鹿、誕生

 翌朝は、いよいよ野沢温泉スキー場へ出発だ。

 ホテルのロビーに朝6時半に集合したけれど、元気いっぱい。街中を通り抜け、上信越自動車道に再び乗って、豊田飯山ICまで。約100km弱をサクッと走り抜けたら、朝日の中に「北信山地」が現れた。麓の気温はかなり高いようで、千曲川の水が蒸発したことで、幻想的な霧が立ちこめていた。

川の水温と気温との温度差が大きくなると発生する川霧が立ちこめていた

 駐車場にクロストレック S:HEVを停めて、準備開始。雪景色のなか着替えを済ませ、スノボを構えた2人の姿はカッコよかった。

数年のブランクがありながらも格好だけはいっちょ前な北村と、冬は休みなく雪山へ行くというフジタ氏

 初めてのスノボは、入念な準備から始まった。まずはリフトを使わず歩いて登り、そこから「立つ」、続けて「木の葉」(傾斜に対して正面を向いて滑っては止まる)、そして「転ぶ」。何度も傾斜を登るのはしんどくて、日頃の運動不足を恨んだ。

 それでも先生が退屈せずに付き合ってくれたおかげで、初リフトでターンまでこなせるようになった。ターンをこなしたあとは、当然転んだ。リフトは3回目で、やっと降りたあと転ばなくなった。

慣れないボードを装着してリフトに。笑った顔から緊張感が漂う

 スタンスはノーマル。ボードは平たい部分を使うことがほとんどなくて、常にイン側かアウト側のエッジを使って滑っているのも、想像と違ってすごく新鮮だった。

最初は1枚の板に体を預けることに慣れず、恐る恐るのへっぴり腰

「フロントサス(左足のこと)、沈んでませんよー!」「荷重がリアに寄りすぎです!」「重心、低くしてー!」

 クルマの動きに例えて後ろから声がけしてくれるフジタ先生のおかげで、とても充実したスノボ体験となった。

 オジサンにとって、初めてのスノボはエクストリーム・スポーツだ。まるで100ccのレーシングカートにいきなり乗るような危うさもあるから、正直やるなら体が柔らかい、若いうちに始めた方がいいと思った。

 それでも、怖さとプライドをバランスさせながら、へっぴり腰でも少しずつ、安全に滑っていけるのが年の功だ。レースなら結果を出さなければならないときもあるけれど、趣味は楽しく! モータースポーツで得た経験が、少しだけスノボにも役に立った。

回数を重ねるごとにちゃんと滑れるようになった。滑り終えると、体から湯気が立っていた

 お昼を少し過ぎるくらいまで滑って、スノボは終了。「あと1本!」を滑らず八分目で止めておくのは、次につながる大事なステップだ。

 ということで運動のあとは、「おぶせ温泉」へ。その途中で北村女史のおすすめのお店に立ち寄って、みんなでジェラートを食べた。2月下旬とは思えない陽気のなかで味わうちょっとした贅沢だ。

肌寒い気温でも動いたあとの冷たいものはおいしい。そして、使った筋肉をほぐすための温泉はスノボ旅に欠かせない。と思う

 夕飯は、北村女史が小さいころから通った地元のお蕎麦屋さんへ。最後はご実家に立ち寄って、りんごとお野菜をたくさんもらって、帰路についた。友達と行くロングドライブは、最高だ。

人気のカツ丼&お蕎麦のセットを堪能

 素晴らしかったのは、帰りの運転が、往路にも増して快適だったことだ。

 3人で交代しながら走ったせいもあるけれど、ストロングハイブリッドの走りが疲れを感じさせなかった。リニアな加速のおかげで、ストレスがたまらないのだ。体はアチコチきしんでいるはずなのに、むしろ運転していると元気になってくる。

 お決まりの渋滞も、アイサイトがあると思うと気持ちがめげない。集合場所まで再びたどり着き、走りに走ったその走行距離は、実に820.9km。燃費はトータル17.2km/Lだった。途中に渋滞を挟んでも、モーターライドのおかげで燃費が落ちなかったのだろう。

アイサイトでロングドライブが楽になる。行きの渋滞はアイサイトXのハンズオフアシストもフル活用

 おそらく明日は体がバキバキなはずだけれど、気持ちはとっても晴れやかだ。

クロストレック S:HEVで楽しく新たな挑戦ができた
山田弘樹

1971年6月30日 東京都出身。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カーオブザイヤー選考委員。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆活動中。またジャーナリスト活動と並行してレースレポートやイベント活動も行なう。