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高速道路でもワインディングでも頼もしいパートナー。オーテックの新カスタムカー「ノート e-POWER AUTECH」で箱根ドライブ

規制解除の大涌谷で名物「黒たまご」「大涌谷カツカレー」に舌鼓

 他とは違うプレミアム感やクラフトマンシップといったキラリと光る個性を持ちながら、メーカーの量産車と同じように購入して保証も受けられるファクトリーカスタム。そのパイオニアとして、1990年代からライダーやアクシス、ボレロといった日産車のサブブランドを手がけてきたオーテックジャパンが、それらを集約した新生ブランド「AUTECH」をスタートさせた。

 “AUTECH BLUE”と呼ばれる青色に一新したブランドロゴをはじめ、デザインやインテリア、走りにも一貫して突き詰めるのは、仕立てのよさや上質感で表現する「プレミアム・スポーティ」。そんなAUTECHの世界観が存分に味わえるモデルとして、1月に登場した「セレナ AUTECH」に続く第2弾「ノート AUTECH」がついに発売となった。ひと目見るなり、ベースモデルのノートとはまったく別物のオーラを放っていると感じさせる、ワクワクするような外観。今回はそんな「ノート e-POWER AUTECH」を連れ出し、箱根へとドライブに出かけてみた。

今回試乗したのは7月12日に発売されたカスタムカー「AUTECH」シリーズの第2弾「ノート AUTECH」。グレードはハンドリングや加速感を専用チューニングした2WD(FF)の「e-POWER AUTECH SPORTS SPEC」(245万3760円)で、ボディカラーは特別塗装色の「オーロラフレアブルーパール」。ボディサイズは4130×1695×1520mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2600mm
エクステリアではフロントグリルやフロントバンパー、ドアミラー、リアバンパーフィニッシャーなどにメタル調フィニッシュの専用パーツを採用して上質と先進性を表現。SPORTS SPECではLEDヘッドライトや日産オリジナルナビ取付パッケージなどに加え、16インチアルミホイール(タイヤは195/55 R16サイズの横浜ゴム「DNA S.drive」)やチューニングサスペンションなども専用装備する
SPORTS SPECは自然吸気の直列3気筒DOHC 1.2リッター「HR12DE」エンジンを発電専用に搭載し、駆動用の「EM57」モーターによって前輪を駆動。モーターの出力は最高出力80kW(109PS)/3008-10000rpm、最大トルク254Nm(25.9kgm)/0-3008rpmとベース車から変わりはないが、ファインレスポンスVCMによって俊敏なレスポンスや気持ちのよい加速感が楽しめる。なお、日産自動車はノート e-POWERにモーターアシスト方式の4WDモデルを追加して7月5日に発売している
インテリアでは、「AUTECH」のアイコニックカラーであるブルーをシートやステアリング、エアコン吹き出し口などにあしらい、上質さとディティールにこだわった仕様に仕上げている

ノート e-POWER AUTECHで箱根ドライブ

 ノートを一躍トップセラーへと押し上げた「e-POWER」は、1.2リッターエンジンを発電専用に搭載するガソリン発電式EV、いわゆるシリーズハイブリッドだ。スタートボタンを押すと静かに運転席前の液晶が灯り、いつでも走行準備OK。EVらしく俊敏で力強い加速フィールにテンションが上がる。

 横浜を出発してすぐに高速道路へ入ると、ノート e-POWERで話題となり、今ではリーフやセレナ e-POWERに「e-Pedal」として採用された、ワンペダル走行を試してみる。アクセルペダル1つで加速も減速も思いのままに操れるのが魅力だが、高速道路では前走車との間合いを調整するのにも、いちいちブレーキペダルに踏み換えずに済み、とてもラクしてスムーズなクルージングができる。追い越しをする際には、モーターならではの素早いレスポンスであっという間に欲しい加速が得られ、しかも安定感のあるレーンチェンジができて頼もしい。

 新生「AUTECH」の中でも、「SPORTS SPEC」は走りをNISMOと共同開発している。もともとそのレベルの高さには定評があるが、フロントクロスバーをはじめとしたボディの要所に専用ボディ補強を施し、剛性アップすることでスポーティな走りと高い走行安定性を両立。また、専用チューニングコンピュータにより、回生ブレーキのセッティングなどもAUTECHらしい上質さと気持ちよさにこだわっているという。

SPORTS SPECではボディ補強(フロントクロスバー、フロント&リアサスペンションメンバーステー、トンネルステー、リアクロスバー)が実施されるとともに、専用のアルミホイール&タイヤ、サスペンションチューニングなどによって優れた高速安定性と上質な乗り心地の両立を図った

 なるほどと感心しつつ、そのまま箱根ターンパイクへと入っていくと、今度は右へ左へと連続するコーナリングでの爽快な身のこなしにアドレナリンが沸き立つ。上り坂が続いてもモーターの加速はまったく余裕を失うことなく、コーナーの入り口で少しアクセルペダルを離せばちょうどいい減速感で深い弧を描くことができる。そしてまた直線に向けてアクセルペダルをジワリと踏んでいけば、ビュンと背中を押されるようなパワフルさ。ベーシックなノート e-POWERより上質なスポーティ感が際立つのはもちろん、FRのスポーツカーに近いような爽快感が味わえて、ターンパイク頂上の大観山まで一気に楽しんでしまったのだった。

 そして、この日はあいにく富士山が霧に隠れてしまっていたので、光り輝く相模湾を望むパーキングでしばし休憩。あらためて眺めたノート AUTECHは、見る角度によって表情を変えるAUTECHドットグリル、ワイドスタンスを印象づけるメタル調フィニッシュのバンパーなど、凛とした存在感が迫ってくる。専用デザインとなる16インチアルミホイールも、大胆さと繊細さが融合したスポークに、高い技術と洗練されたセンスが溢れているようだ。

 もう少しこのノート AUTECHと走りたい。そう思った私は、久しぶりに規制解除された大涌谷を目指すことにした。芦ノ湖にぐるりと沿って走る周辺路は狭くクネクネとしていて、徒歩で巡る観光客も多くて気を遣うが、そんなところもノート AUTECHは瞬時に応えるハンドリングとガッシリとした安定感で、ストレスなく走ってくれる。吸い付くような肌触りが心地いいスエード調トリコットシートや、さりげなく下辺にブルーがあしらわれた本革巻ステアリングなど、こだわりが散りばめられたインテリア。それらが目に入るたびに、じんわりと伝わる本物感を楽しみながら走った。

芦ノ湖周辺をドライブしつつ、規制解除された大涌谷を目指す

 大涌谷に到着すると、ドアを開けた瞬間から強烈な硫黄の香りに襲われる。あいにく真っ白な霧が立ち込めて、かつて地獄谷と呼ばれた絶景はおあずけだが、天気の回復を待つ間も、ここでは他の見どころがたくさんあるので大丈夫。まずは1個食べれば寿命が7年延びる!? と言われる「黒たまご」。海外からの観光客にも大人気で、まさに飛ぶように売れているので、ここは私も1つパクリ。芯から温まるような濃厚な味に、長生きできそうな元気が湧いてくる。

大涌谷到着! でも辺りは霧だらけ……
気を取り直して大涌谷名物「黒たまご」をゲット

 それから、名物の「『特製』大涌谷カツカレー」が大人気だというレストラン、ロープウェーの大涌谷駅2階にある「駅食堂」へ。温泉たまごを自分でパカッと割ってのっけて食べるカツカレーは、ちょっぴり辛めのルーにサクサクのカツ、とろ~りとしたタマゴがよく合って、とっても美味しい! 夢中で完食した上に、ちょうど夏季限定だったデザート「わらび餅の和パフェセット」まで注文してしまった。ひんやりしたバニラアイスにプルンプルンのわらび餅がホッとするハーモニーで、これまた美味。海外のお客さまにも喜ばれそうだ。

大涌谷駅2階にある「駅食堂」で「『特製』大涌谷カツカレー」(1450円)や「わらび餅の和パフェセット」(850円)をいただきました

 すっかりお腹も心も満足し、ふと外を見れば、なんと霧がスッキリ晴れている。急いでレストランを後にし、いざ、地獄谷のぞき。やっぱりここでしか見ることのできない、大地のみなぎるパワーが押し寄せてくる絶景に大興奮だ。

「隊長、霧が晴れてきた模様です!」とまるも隊員から報告
到着時に立ち込めていた霧が晴れ、地獄谷の景観が楽しめたのでした

 駐車場に戻ると、待っていてくれたノート AUTECHの後ろにも、雄大な絶景がよみがえっていた。そして、それに引けを取らない堂々とした佇まい、キラリと光るAUTECH BLUEのエンブレムにハッとした。この周囲に埋もれない存在感こそ、新生AUTECHが目指すプレミアム・スポーティという世界観の賜物だろう。ノート AUTECHは見るほどに走るほどに、その想いに五感が満たされてゆく、“違いの分かる大人”のプレミアムコンパクトだと実感したのだった。

撮影協力:箱根ロープウェイ株式会社(大涌谷 駅食堂)