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日産、「NISMO」ブランドと双璧をなす新ブランド「AUTECH」発表会レポート。「セレナ AUTECH」登場

パフォーマンスを表現するNISMO、プレミアム感を高めたAUTECH

2017年11月24日 開催

新プレミアムスポーティブランド「AUTECH」説明会に出席した株式会社オーテックジャパン 社長兼最高経営責任者、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 社長兼最高経営責任者、日産自動車株式会社 ニスモ・ビジネス・オフィス 代表を務める片桐隆夫氏(右)と、日産自動車株式会社 専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイザ氏(左)

 日産自動車とオーテックジャパンは11月24日、同日発表を行なった新プレミアムスポーティブランド「AUTECH」についての説明会を日産グローバル本社ギャラリーで開催。オーテックジャパンおよびニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 社長兼最高経営責任者であり、日産自動車 ニスモ・ビジネス・オフィス 代表を務める片桐隆夫氏と、日産自動車 専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイザ氏が出席してAUTECHブランドについての説明を行なった。

 日産はすでに「NISMO」というスポーティブランドを展開しており、「GT-R NISMO」「フェアレディZ NISMO」「ジューク NISMO」「ノート NISMO」「マーチ NISMO」「セレナ NISMO」というロードカー6モデルをリリースしている。AUTECHブランド、 NISMOブランドのいずれも“スポーティブランド”を標榜することに変わりはないが、NISMOブランドのモデルがモータースポーツからノウハウを得た空力パーツなどを採用しているのに対し、今回のAUTECHブランドのモデルでは走る喜びや操る楽しさはNISMOブランドと同じでありながら、クラフトマンシップを感じさせる「“仕立てのよさ”を感じるスタイル・素材感」を強調しているという。

セレナ NISMO(右)と今回発表されたセレナ AUTECH(左)
11月21日に発売された「セレナ NISMO」(341万9280円)。専用設計の空力パーツを装着するとともに、専用のボディ補強パーツやサスペンション、チューニングコンピュータ(ECM)、スポーツチューンドマフラーなどを装備する。タイヤはブリヂストン「POTENZA Adrenalin RE003」

 今回の発表会の場では、AUTECHブランドの第1弾モデルとして「セレナ AUTECH」が初披露された。このセレナ AUTECHと11月21日に発売されたばかりの「セレナ NISMO」を例に挙げると、セレナ NISMOで採用されるフロント/センター/リアのクロスバーといった計9種類のボディ補強パーツ、足まわり、チューニングコンピュータ(ECM)はセレナ AUTECHでも採用しながら、内外装で差別化を図ることでAUTECHらしさを表現している。

 また、走行性能で大きく異なるのがタイヤで、セレナ NISMOがブリヂストン「POTENZA Adrenalin RE003」なのに対し、セレナ AUTECHではミシュラン「パイロットスポーツ4」を採用(サイズはともに205/50 R17)することでもブランドの方向性を示している。

 ブランドのイメージカラーについてはNISMOが赤色、AUTECHが青色を採用するとのこと。セレナ AUTECHではボディカラーはもとより、車両前後に装備されるバッヂやシートなどのステッチにブルーを採用する。

セレナ AUTECH
ドット柄のフロントグリルや専用デザインの17インチアルミホイールなどを装備するセレナ AUTECH。タイヤはミシュラン「パイロットスポーツ4」を採用する。ボディカラーは「スカイライン」60周年記念車「60th Limited」で採用されるオーロラフレアブルーパールに近いイメージ
インテリアでも随所にブルーの加飾が与えられる

 なお、セレナ AUTECHの価格や発売日といった詳細については現段階で明らかにされていないが、本来はセレナ NISMOと同タイミングで発表したかったとのことで、近い将来に発売することが示唆されている。また、AUTECHブランドのモデルとしては今後SUVやコンパクトカーにも展開していくことがアナウンスされている。

日本市場にNISMOとAUTECHの2枚看板を導入

NISMO&AUTECHブランドの概要について説明を行なう片桐氏

 発表会では、はじめに片桐氏が登壇してNISMO&AUTECHブランドの概要に触れ、「私たちは日本のお客様の中でもスポーティドライブを嗜好されるお客様のデザインの嗜好が複数あると考えています。代表的な2つの例を挙げますと、1つ目はモータースポーツのDNAを受け継ぐ分かりやすいスタイリングを嗜好されるお客様、2番目は欧州メーカーでよく見られるスポーティでありながら、よりプレミアム感の高いスタイリングや素材感を嗜好されるお客様。これらの複数の好みに対して、日本市場においてはNISMOとAUTECHという2つのサブブランドという2枚看板で対応していきたいと考えています。走る喜びや操る楽しさを満たす性能は共通としながら、直接的にパフォーマンスを感じさせるデザインがNISMO、プレミアム感の高いクラフトマンシップを感じさせるデザインがAUTECHという位置づけです」。

「AUTECHブランドはセレナより順次スタートします。AUTECHブランドが提供する付加価値は、NISMOと同じくデザイン、ハンドリング、加速感で、デザインがNISMOとAUTECHの2つの個性を表現する部分になります。AUTECHに関しましてはプレミアムスポーティ感を求めるお客様のニーズに応えるデザインとしており、ハンドリングや加速感はNISMO・AUTECH間で共同開発や開発シナジーを追求していまして、乗り味に関しては両ブランドで差別化しながら技術を相互で共有していきます」とコメント。今回のセレナをはじめ、NISMO・AUTECHの両ブランドを設定する車種に関しては、性能について味付け以外は同等とし、そのうえでデザインで好みのものが選べるようになるとアピールを行なった。

 また、AUTECHブランドではインテリアの色や素材を複数から選択できるという「Premium パーソナライゼーション」というプログラムを展開する予定であることが明かされるとともに、NISMOブランドでは今後パフォーマンスが上がっていくにつれて「NISMO」「NISMO S」「NISMO RS」というグレードを展開していくことなどが紹介された。

NISMOブランドのラインアップ。11月24日時点で6モデルを展開
NISMOブランドのモデルで提供する価値
セレナ NISMOのエクステリアデザイン
空力パーツの採用によりダウンフォースを高めた
ステアリングやシフトノブ、コンビメーターなどが専用品になる。そのほかオプション設定でレカロ製スポーツシートも設定
専用サスペンションや補強パーツでスポーティな走行性能を手に入れた
専用チューニングコンピュータ(ECM)や専用スポーツチューンドマフラーも装備
スポーティドライブを楽しみたい日本のユーザーのニーズは2種類ある
日産としてはそのニーズに「NISMO」「AUTECH」の2ブランドで応える
AUTECHが提供する3つの価値
Premium パーソナライゼーションの提供も検討
「NISMO」「AUTECH」のブランドポジショニングとヒエラルキー
オーテックジャパンについて。社名は「AUTOMOBILE」と「TECHNOLOGY」を組み合わせたもの
ブランド・事業会社構成
デザインについて語るアルフォンソ・アルバイザ氏

 一方、NISMO、AUTECHブランドのデザインについてはアルフォンソ・アルバイザ氏が解説を行ない、「NISMOモデルのデザインでは“ピュアスポーツ”と“パフォーマンス”を表現しており、細かい部分までディティールを作り込んでワクワク感を実現しています。エクステリアは何十年もの積み重ねとなるレーシングテクノロジーから生まれたエアロデザインを採用し、空気にあがらうのではなく風とともに走るデザインにしました。ドライバーはコントロール感を持っていると強く感じることができるのです。NISMOのデザインというのは空力学に特化したものになっています」とコメント。また、インテリアでは「ドライバーはレーストラックにいるかのような感覚を持ちます。低く設置されるスポーツシートに座れるほか、ステアリングにアルカンターラを用いることでグリップ力を高めています」とその特色について語る。

 そしてAUTECHデザインでは「プレミアムスポーティ」がキーワードになるとし、「AUTECHデザインではもっとも素晴らしい素材を用い、匠の技を使うことでプレミアム感を高めました。空力的にはNISMOと同じ理論が使われますが、よりプレミアムな表現が使われます。フロントまわりではグリルのドット柄が特徴的であり、良質で高度なデザインが与えられ、そしてリアではデュアルエキゾーストパイプフィニッシャーや『AUTECH』バッヂがポイントになります」と述べるとともに、ダイナミックでシャープなデザインが特徴になる17インチホイールを採用したことを報告。

 また、インテリアでは「NISMOシリーズでは赤色を採用しますが、AUTECHではブルーを使いました。これは希少性と先進性を表しています」と説明したほか、Premium パーソナライゼーションについてはシート、ステアリング、フィニッシャーの色や素材を変更できる、ユニークなプログラムであることが述べられた。

NISMOデザインとは
NISMOモデルはレーシングテクノロジーから生まれたエアロデザインを採用
レッドアクセントもNISMOモデルの特徴
NISMOモデルではスポーツドライビングをサポートするアイテムを装備
AUTECHデザインのコンセプト
AUTECHモデルでは外装にメタリックシルバーの専用パーツを装着
ドット柄のグリル
リアまわりではデュアルエキゾーストパイプフィニッシャーなどを採用する
専用デザインのアルミホイール。タイヤはミシュラン「パイロットスポーツ4」をチョイス
ブルーのステッチなどがあしらわれるインテリアデザイン
オーテックのロゴもブルー
Premium パーソナライゼーションではシート、ステアリング、フィニッシャーの色や素材を変更できる

 なお、同日発表された、ユーザーがより長く日産のパフォーマンスカーを乗り続けられるようにサポートする活動「NISMO ヘリテージ」についても、片桐氏から紹介が行なわれた。これは日産、NISMO、オーテック(ニスモ・カーズ事業部)とサプライヤーが共同で製造廃止になった部品の再供給を検討し、ユーザーが日産のパフォーマンスカーを長く乗り続けられるよう、可能な範囲でサポートする活動。まずは1989年8月~1995年1月に販売された「スカイライン GT-R」(R32型)のハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品など約80部品から販売を開始する。今後はR33/R34 スカイライン GT-Rへの拡大も視野に入れていることが語られた。

 片桐氏は最後に「ご説明させていただいたとおり、日本市場においてはNISMO、AUTECHブランドのロードカーを拡充してまいります。また、ハードウェアの拡充に加えましてスポーティドライビングの嗜好や走る場を提供するドライビングアカデミーの開催、あるいはNISMOやAUTECHそれぞれのユーザーフェスティバルの開催、本日開始するNISMO ヘリテージ等々、今後ソフト部分も拡充してまいります。ハード、ソフトの両面の取り組みを通じましてより多くの日本のお客様に日産車をスポーティに楽しんでいただきたく存じます。どうぞご期待ください」と述べプレゼンテーションを締めくくった。

ユーザーがより長く日産のパフォーマンスカーを乗り続けられるようにサポートする活動「NISMO ヘリテージ」。まずは「スカイライン GT-R」(R32型)用からスタート
会場にはガンメタリックカラーのR32 スカイライン GT-Rも展示
ハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品など約80部品を販売