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アウディ、“#型破る”新型SUV「Q2」発表会
「自らの型を破っていくすべてのチャレンジャーに」と斎藤社長
2017年4月27日 14:20
- 2017年4月26日 開催
- 299万円~405万円
アウディ ジャパンは4月26日、6月中旬に発売する新型コンパクトSUV「Q2」の発表会を都内で開催した。同日に発表されたQ2は、直列3気筒DOHC 1.0リッターターボと直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボに7速Sトロニック(7速DCT)を組み合わせ、全車で2WD(FF)の駆動方式を採用。ステアリング位置は右のみで価格は299万円~405万円。
このほかのグレード体系などの詳細は、すでに誌面掲載している関連記事「アウディ、新型コンパクトSUV『Q2』を6月中旬発売。299万円から」を参照していただきたい。
Q2は品行方正な「A4」とは違う、ちょっとやんちゃな弟
発表会の冒頭ではコンセプトムービーが放映され、続いてDJによる音楽とダンサーたちによるダンスが披露された。この演出によって会場が若々しい雰囲気で包まれるなか、アウディ ジャパン 代表取締役社長の斎藤徹氏によるプレゼンテーションがスタートした。
プレゼンテーションで斎藤氏は、最初に「アウディジャパンのホームページなどで、先ほどのムービーをご覧になったことがある人もひょっとしたらいるでしょうか。みなさん、この『Q2』は『型破り』なクルマだと思われますか? 実は私はこのQ2を最初に見たときに『いつものアウディとちょっとデザインが違うな』『これ、アウディなのかな?』という戸惑いを感じました。Q2は日ごろ私たちが親しんでいるような、アウディの持つ機能美を徹底的に追求した、シンプルで隙のないデザインと比べて少し違うんですね。敢えて遊びの要素を入れて、これまでにない表情を生み出しているのです」と表現。
「大きな八角形のシングルフレームグリル、スクエアでエッジの効いたボディなどは、これまでのアウディにはなかったものです。このクルマと向き合って感じるのは、『Q2は長い歴史と伝統、厳格なデザインフィロソフィを持つアウディだからこそできる意図的な型破り』で、ちょっとかっこいい言葉で表現すると『高度な調和のなかの異端』ということです。シンプルで美しいアウディのデザイン。例えば『A4』に代表される“品行方正な兄たち”と比べて、Q2は“ちょっとやんちゃな弟”と言ってもよいと思います。『型破り』『untaggable』。このモデルについては定義しない、括らないといったほうが似合うでしょう」と斎藤氏は解説し、ブランニューモデルのQ2が、これまでのアウディラインアップモデルとは異なる立ち位置が与えられたクルマであることを紹介した。
また、斎藤氏はこの数年でSUVやクロスオーバーといったモデルの市場が急速に成長していることを説明。その成長市場に投入されるQ2が、同じアウディで兄貴分となる「Q3」があるなかで新規開発された理由について「とくにこのコンバートSUVセグメントは、ボディサイズが多様化して多くのニューモデルが投入されて非常に人気が高まっています。アウディのコンパクトSUVには、2011年に導入されたQ3がありますが、このQ2によってさらに若い人を取り込みたいという狙いがあります」と語り、新しいQ2を日本導入するとことでこれまで以上に若いユーザーにアピールしていきたいとした。
さらに斎藤氏は、新型Q2の製品ポイントとして「優れたパッケージングと高い快適性、機能性」「新しいデザイン要素『ポリゴン』」「高効率のパワートレーン」「最新のアシスタンスシステムとコネクト機能」の4点を紹介。
「優れたパッケージングと高い快適性、機能性」では、Q2はスクエアな形状で車格感を感じさせつつ、サイズ面では全長が4.2m、全幅が1.79mとなっており、競合モデルと比較して最もコンパクトであると強調。さらに全高は1.53mに収めていることで、立体駐車場の利用率が高い都市環境にも適していると述べた。また、フロントオーバーハングも短い設計で、最小回転半径が5.1mとなり取り回しもいいとする。一方で車内のヘッドクリアランスは前後どちらの席でもQ3同等として居住性も確保していると紹介した。これにより「Q2は日本の住宅事情や道路事情を考えますと、『最適なパッケージ』だと言えるでしょう」とアピールした。
「新しいデザイン要素『ポリゴン』」については、発表会後半にこのQ2を実際にデザインした独アウディAG エクステリアデザイナーのマティアス・フィンク氏が登壇して詳しく解説するとしつつ、「これまでのアウディのデザイン定義にはない、ユニークなデザインコンセプトである『ポリゴン』という考え方を採用しており、Q2を最も象徴するもので、Q2の若々しくエモーショナルな特徴を表現しているもの」と語った。
「高効率のパワートレーン」では、本稿冒頭でも紹介しているようにQ2では1.0リッターと1.4リッターの2種類のTFSIエンジンを採用しており、斎藤氏は1.0TFSIエンジンの搭載モデルが販売の中心になるとの予測を紹介。3気筒となる1.0TFSIエンジンは最高出力85kW、最大トルク200Nmを発生し、小排気量ながら1.5リッター以上の排気量を持つエンジンと比肩する動力性能を持ち、ライバルモデルと比較して200kg以上軽量化を図ったボディとの組み合わせで「走りはとても軽快」としつつ、欧州値での燃費は19.6km/Lを実現しているという。
また、1.4リッターTFSIエンジンも最高出力150PS、最大トルク250Nmを発生してJC08モード燃費は17.9km/Lと、ガソリンエンジンモデルとしてはクラス最高となっていることをアピール。「直噴ダウンサイジングターボエンジンやデュアルクラッチトランスミッションを他社に先駆けて採用したアウディの高効率な最新パワートレーン技術が採用されています」と斎藤氏は語った。さらに斎藤氏はQ2の走りのよさにボディ構造も大きく貢献していると述べ、キャビンのフレームに熱間成形の超高張力鋼板を22%採用して高いボディ剛性と軽量化を両立していると解説。衝突安全性能でもユーロNCAPの衝突安全テストで5つ星を獲得しているとした。
この安全性に関連して「最新のアシスタンスシステムとコネクト機能」を解説し、「アダプティブクルーズコントロール」を1.0 TFSI以外の2モデルに標準装備し、「トラフィックジャムアシスト」「アクティブレーンアシスト」「サイドアシスト」「リアクロストラフィックアシスト」などをセットにした「セーフティパッケージ」を13万円高でオプション設定しているという。
さらにアウディモデルの大きな特徴となっているフルデジタルメーターの「アウディ バーチャルコックピット」を5万円でオプション設定。コネクト機能もほかのアウディモデル同様に積極的に取り入れており、「車内Wi-Fiネットワーク」「スマートフォンインターフェイス」を採用して、自宅などで利用するインターネット環境を車内にシームレスに取り入れることができると解説した。
ユーザー層については、Q2はアウディのなかで最も若いユーザー層になると想定しており、「例えば30代~40代前半の独身の方やカップル、ヤングファミリーをイメージしています。これまでのアウディのお客さまと比べても、自身が選択する物に対してより強いこだわり、高い情報感度をお持ちの方で、クリエイティブな志向やライフスタイルを追求している方に、ぜひQ2をお選びいただきたい」とコメント。このために、Q2のグローバルコンセプト「#untaggable」を、日本語の「#型破る」という造語に変換してマーケティングコンセプトとして設定。すでにさまざまなキャンペーン施策を行なっており、専用の特設サイトを3月に公開したほか、人気ラーメン店の「一風堂」とコラボレーションしたメニューの提供、新しい遊び方の提案などによる「型破る」コンテンツでQ2が持つ世界観を表現している。
最後に斎藤氏は、「このように、コンパクトなボディに新しいアウディの魅力を凝縮した新型Q2は、今度アウディの販売の柱の1つに成長していくと確信しています。自らの型を破っていくすべてのチャレンジャーに、ぜひQ2に乗っていただきたいと思っています」と締めくくった。
デザインのヒントは「川が若いところ」にあるゴツゴツとした石
Q2のデザイン解説は、斎藤氏からも語られているように独アウディAG エクステリアデザイナーのマティアス・フィンク氏が担当。まずフィンク氏は「私は35歳です。通常、私は自分の年齢をプレゼンテーションで述べたりはしませんが、今回は大事なポイントになるので敢えて口にしました」と前置きをしてデザイン解説をスタートした。
今回のQ2開発についてフィンク氏は「2012年のある夏の日のこと、プロジェクトを統括している同僚が私のところに来て、落ち着かない様子で『マティアス、Qモデルのスケッチある? 小さめに見えるやつがいいんだけど』と尋ねてきました。『というのも、役員会がQ3よりも小さいQモデルを造りたいって言うんだけど、名前すらまだ決まっていなくて、ただ“若者向けのQモデル”というだけなんだ」と言われて、私は『なんて素晴らしい仕事なんだろう』と思ったものです。そこですぐにお客さま像の分析を始めました」というエピソードを紹介。フィンク氏はそんな「新しいQモデル」のユーザー像を「都会に住む若者」「30歳~40歳」と設定。そんなフィンク氏自身も、2012年当時は30歳で「それなら、私の世代向けで、自分自身に合うクルマを造ればいいんだ」と考えたと語った。
そこで、都会に住む若者で先進的なライフスタイルを送り、主流ではなく、個性を大切にする人たちで、趣味やスポーツ、レジャーといったものだけでなく、ビジネスも大事にしていて、一番大切なのはすべてを1台のクルマでカバーできることだと分析。「こういった人たちは自分のライフスタイルを自由に表現したいと考えているのです」と語る一方「では、どうやってそれをデザインで表現したらいいのかと考えました。そこで思いついたのが、河原に転がっている石です」と述べた。
「まず見ていただいている写真の石は、何千kmもの距離を下流まで流されて、丸みを帯びて表面は滑らかです。どれも同じような形状をしています。しかし、源流に近いところ、つまり『川が若いところ』の石は違います。それぞれが違った形状で、角があってゴツゴツとエッジがあります。このエッジこそがヒントになりました。このヒントから、Q2の基本的なスタイル要素である『ポリゴン』を採用することになりました。このカット面やコントラスト、その異質性がこの世代の象徴として完璧にマッチすると考えたのです」とフィンク氏は語り、Q2はデザイン面からも若々しさを強調していることを表現した。
このほかにフィンク氏は、Q2は車両の斜め後方の4分の3から見た姿が一番美しく見えると語り、リアから見た姿はキャビンが上から圧縮された印象で、プロテクターを身につけた力強いアメリカンフットボールのプレーヤーのようであると表現。また、シングルフレームグリルは下側に新しいラインを設定した「Qフェイス」と呼ばれる新しい形状となり、このQ2が採用第1弾モデルになっているという。さらにこれまではシングルフレームグリルからAピラーまで続くラインをボンネットに採用していたが、Q2ではAピラーからのラインをグリル手前で中央側に曲げて左右を連続。これによってボンネットを短く、高い位置に見せる効果を与えていることなどが解説された