「CEATEC JAPAN 2008」自動車関連製品レポート
日産の衝突回避ロボカーや、パイオニアの最新カーナビなどが出展


  情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、社団法人情報技術産業協会(JEITA)、社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)、CEATEC JAPAN 実施協議会が主催する、IT・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2008」が、9月30日から10月4日にかけて千葉県千葉市の幕張メッセで開催されている。Car Watchでは、同展示会に出展されている自動車関連製品を中心に紹介する。

URL
CEATEC JAPAN 2008
http://www.ceatec.com/


日産自動車

  日産ブースでは、ロボットカー「BR23C」、「ロボティック・エージェント」、「インテリジェントキー搭載ケータイ」を参考出展している。

  BR23Cは、ハチの行動解析をもとにした次世代の自動車向け衝突回避機能を搭載するロボットカー。衝突回避機能は昆虫の“ハチ”の行動解析をヒントに開発されたもので、ハチが“パーソナルスペース”と呼ばれる空間を持ち、複眼で周囲環境を検知してパーソナルスペースに進入する障害物などを回避する行動をもとにしている。

  BR23Cには、複眼の機能を果たすレーザーレンジファインダー(LRF)というセンサーが内蔵されており、LRFによって前方約180度の視界を捉え、パーソナルスペースに入った障害物を検知して回避行動を実行。自らのおかれた状況に応じて減速と回転を組み合わせて回避行動を取るほか、過去の行動情報の蓄積をルールに落とし込んだ反射的な動作を優先させることで、高度な演算処理を要するCPUや膨大な履歴情報を蓄積するメモリを必要とせずに、短時間で的確な回避能力を発揮できるとしている。

BR23C。障害物をゆとりを持って回避するようプログラムされている赤いBR23Cは、障害物とぎりぎりの距離でクイックな動作で回避すようプログラムされているBR23Cの概要

  ロボティック・エージェント(RA)は2007年の「東京モーターショー2007」に出展されたコンセプトカー「ピボ2」に搭載された、会話によってドライバーとコミュニケーションをとることができるロボット。同社のカーナビ向け情報サービス「カーウイングス」を利用して、事前に乗員の顔画像を登録しておくことで、ロボティック・エージェントがドライブ情報などをドライバーに話しかけて提供する。

ロボティック・エージェント。ダッシュボード中央の顔が動いたり、目が光ったりしてコミュニケーションするロボティック・エージェントのデモの模様ロボティック・エージェントの概要

  インテリジェントキー搭載ケータイは、日産、NTTドコモ、シャープの3社で共同開発し他製品で、2009年夏に販売開始をする予定。携帯電話に日産のキーレスエントリーシステム「インテリジェントキー」の機能を携帯電話に搭載させることで、携帯電話を持つだけで自動車のドアの施錠や解錠、エンジンの始動や停止が行える。また、キー封じ込み防止機能や、端末紛失時の遠隔ロック機能も搭載される見込み。インテリジェントキー搭載ケータイをディーラーに持ち込み、設定を依頼するのみで利用可能とする予定だとしている。

インテリジェントキー搭載ケータイの試作機試作機はシャープの「SH906i」がベースだインテリジェントキー搭載ケータイの概要
 
NTTドコモブースでは、日産の「ティーダ アクシス」を利用してインテリジェントキー搭載ケータイのデモを実施シャープブースでも、インテリジェントキー搭載ケータイを紹介している

  このほか、日産ブースではカーウイングスのデモを実施。従来より利用者向けに提供しているエコドライブ支援サービスを公開しているほか、神奈川県で実施している交通事故低減と渋滞緩和を目的とした「SKYプロジェクト」を公開。SKYプロジェクトでは、2008年9月より、利用者の運転時のアクセル開度などから低燃費なエコドライブであるかを判定する実験サービスを実施している。また、カーウイングスに対応した三洋電機のポータブルナビ「ゴリラ」の新モデル「NV-BD600DT」も展示している。

カーウイングスのエコドライブ支援サービス6月より開始した、「Google マップ位置情報ダウンロード」のデモも展示ゴリラ(NV-BD600DT)でカーウイングスを利用している状態

エコドライブ支援サービスやSKYプロジェクトの概要カーナビ向け情報配信サービスのオープン化について説明しているパネル
日産ブースには、マーチの非売品「みずたマーチ」も展示。インテリジェントキー搭載ケータイのデモも行っているCEATEC会場の幕張メッセ駐車場では、エコドライブ講習会を開催している

URL
日産自動車株式会社
http://www.nissan.co.jp/
ニュースリリース
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080926_37811.html
関連記事
【9月30日】日産、ハチのように避けるロボットカー「BR23C」を出展(Robot)
http://robot.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/30/1336.html
【9月30日】ドコモ、実車で「インテリジェントキー搭載ケータイ」を紹介(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/42037.html
【9月26日】日産、CEATEC JAPAN 2008にロボットカーなど出展
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080926_37811.html
【9月24日】日産ら3社、「インテリジェントキー搭載ケータイ」開発
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080924_37786.html


パイオニア

  パイオニアブースでは、9月29日に発表したHDDナビ「楽ナビ」の新製品や、メモリーナビの新ブランド「楽ナビ Lite」、カーオーディオ新製品、6月に発売したポータブルナビゲーション機器(PND:Personal Navigation Device)「AVIC-T10」などを出展。また、インターネット経由で取得した情報をテレビ、携帯電話、カーナビと連携できるシステムを参考出展している。

  このシステムは、パイオニアとシャープの提携によって開発されているもので、テレビ向けインターネットサービスで取得した情報を携帯電話に転送し外出先でも閲覧できるほか、携帯電話を持って自動車に乗車した際に自動的に情報をカーナビに転送することもできるとしている。このほか、2010年度には標準化される見込みの無線通信規格「WiMAX」を利用して、ネットワークコンテンツをカーナビなどで再生できる技術も参考出展している。

9月29日に発表した「楽ナビ」の「AVIC-HRZ099」新ブランド「楽ナビ Lite」のメモリーナビ「AVIC-MRZ088」6月に発売したPND「AVIC-T10」と、1月に発売した1DIN CDプレーヤー「DEH-330」
2DINタイプのHDDナビAVIC-ZH9000内蔵HDDを「ブレインユニット」として着脱できる「AVIC-VH9000」ハイエンドカーオーディオシリーズ「carrozzeria χ」を展示。試聴室も設けている
9月29日に発表した「TS-V171A」をはじめとした、車載スピーカーとチューンナップツイーター車載スピーカーやチューンナップツイーターの概要TS-V171AとTS-ST910の試聴も会場でできる
9月29日に発表した「高音質インナーバッフル」シリーズ「高音質インナーバッフル ハイグレードパッケージ」に含まれる多機能マット、インナーバッフルボード遮音クッション、防振パッド「高音質インナーバッフル ハイグレードパッケージ」の取付例
テレビ、携帯電話、カーナビと連携できるシステムのイメージモバイルネットワーク再生技術の詳細モバイルネットワーク再生技術で利用するポータブル端末
このほか、Webサービス「スマート ループ ドライブレポート」を利用した低燃費走行の推進や、ユニットサブウーファーの薄型化に伴うVOC放散量の削減など、同社の環境対策をアピール

URL
パイオニア株式会社
http://pioneer.jp/
関連記事
【9月29日】パイオニア、低価格なカーナビ新モデル「楽ナビ Lite」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080929_37825.html
【9月29日】パイオニア、地デジ搭載のHDDカーナビ「楽ナビ」新モデル4機種
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080929_37826.html
【9月29日】パイオニア、車載用スピーカーやツイーターなど20製品を発売
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080929_37829.html


ナビタイムジャパン

 ナビタイムジャパンのブースでは、同社が開発したPND「WND(Wireless Navigation Device)」を参考出展している。WNDは、同社が提供している携帯電話向けカーナビサービス「NAVITIME」をPNDとして開発したもの。データ通信と連携できる機能を搭載しており、最新のスポット情報や駐車場情報、ガソリンスタンド価格情報などを取得してナビゲーションすることが可能だという。WNDの商品化は2009年春を予定しているが、WNDの詳細な仕様や販売方法などは現在検討中だという。

WNDは、試作品につきhtcのポータブル端末を利用して展示目的地検索のメニューガソリンスタンドなど、目的別の検索も可能だ
WNDの概要

URL
株式会社ナビタイムジャパン
http://www.navitime.co.jp/
ニュースリリース
http://corporate.navitime.co.jp/topics/20080924.html


このほかの出展品

インクリメントPブースでは、今冬発売予定のWILLCOM D4向けのカーナビアプリ「MapFan Navii」をはじめ、現在提供している携帯電話向けナビサービス「MapFan ナビークル」などを展示。ブース入口にはBMW「Z4」が展示されている
BOSEブースでは、日産が6月に発売した「ティアナ」に採用されている専用設計のBOSEサラウンド・サウンドシステムを展示。乗車して試聴できる
ドルビーラボラトリーズのブースでは、自動車搭載技術「ドルビーオートモーティブエンターテインメントプログラム」を展示。クラリオンのカーオーディオ機器を利用したシステムを公開している。
パナソニックブースでは、ホームネットワークコンセプト「ネオ・ビエラリンク」にて、「クルマのビエラ」として車載液晶モニターを参考出展パナソニックブースでは、ホームネットワークと連携できるHDDカーナビ「CN-HX1000D」を展示。ネットワークカメラの映像閲覧や、ネットワーク家電の操作がカーナビから行える
マスプロブースでは、9月に竣工した車載アンテナ測定のためのサイトや高精度電波測定車を展示。あわせて、車載用地上デジタルアンテナも参考出展している
経済産業省で策定されたコンテンツ技術分野の技術戦略と提携した特別出展「ライフコンテンツ フロンティア」では、スズキが東京モーターショー2007で出展したコンセプトカー「SUSTAINABLE MOBILITY (PIXY+SSC)」を展示

(編集部:大久保有規彦)
2008年9月30日