イベントステージも大いに盛り上がった「ニスモフェスティバル」
RB26エンジン分解実演やトークショーなど多数のイベントを開催

レースクィーンによるステージショーも開催された(写真はRIREレーシングガールズ)

2010年12月5日開催



 12月5日に開催された「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2010」(以下ニスモフェスティバル)は、富士スピードウェイのレーシングコースを利用したイベントと、グランドスタンド裏およびパドックで行われる物販、そしてステージでのトークショーなどのイベントという2種類のイベントが同時進行で行われた。

 グランドスタンド裏に設置されたメインステージでは、チーム監督やドライバーによるトークショー、プレイステーション3(PS3)用ソフトウェア「グランツーリスモ5(GT5)」のプレゼンテーションステージ、ニッサン系チームのレースクィーンによるトークショーなどが行われた。ここではその模様をお伝えする。コース上で行われたイベントについては、別記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20101206_412235.html)を参照されたい。

トークショーに登場した各チームの監督

チャンピオン奪回を誓ったGT500のチーム監督
 監督トークショーにはMOLAの大駅俊臣監督、ハセミ・モータースポーツの長谷見昌弘監督、コンドーレーシングの近藤真彦監督、チーム・インパルの星野一義監督、ニスモの鈴木豊監督、そして日産系チームの総監督となる柿元邦彦総監督の6人が登壇して、今年のSUPER GTを振り返った。

 中でもGT300でシリーズチャンピオンに輝いたハセミ・モータースポーツの長谷見昌弘監督は、詰めかけた多くのファンから祝福されながら1年を振り返り、「今年からGT300に移るにあたりどうなるかと心配していたが、結果的にはチャンピオンが取れてよかった。特にドライバーの2人にミスがなく、ペナルティなども1度もなくやってくれたのがよかった」と述べ、大変だった1年を振り返った。

 これには柿元総監督も「今年長谷見さんがGT300に移るにあたり色々あって大変だったのは事実。それなのに初年度にチャンピオンを獲得したのは本当に嬉しかったし、すごいこと」と述べ、初年度でチャンピオンを獲得したハセミ・モータースポーツを称えた。

 しかし、2年連続でチャンピオンを取り逃がしたGT500の話になると、みな微妙にトーンダウン。インパルの星野監督は「今年の話は忘れた(苦笑)。来年ジャニーズでデビューするからその話をしようよ」などジョークでごまかしながら、今年1年が厳しい年だったとした。また、ニスモの鈴木監督は「今年はいい車を出すことができなかったのは本当に残念。来年こそは星野監督と、近藤監督にいい車を渡したい」と言い、柿元総監督が「すべての責任は私にある」と受けるなど、みな一様に厳しい1年だったと述べていた。近藤監督は「ADVANはGT500が1台だけで大変だった。しかし、開幕戦の鈴鹿でタイヤ無交換というギャンブルを成功させ勝つことができたのはよかった」とし、それなりに得るところはあったと語った。

 最後に柿元総監督が「2年連続でチャンピオンが取れていないというのは残念としか言いようがない。来年はもう嘘がつけないので、いい車を作って頑張ります」と述べ、星野監督と近藤監督がそろって来年のチャンピオン獲得をファンに約束し、トークショーは終了した。

MOLA 大駅俊臣監督ハセミ・モータースポーツ 長谷見昌弘監督コンドーレーシング 近藤真彦監督
チーム・インパル 星野一義監督ニスモ 鈴木豊監督ニッサン系チーム総監督の柿元邦彦総監督

ドライバートークショーに登場した各ドライバー

和気あいあいとした中で行われたドライバートークショー
 引き続き行われたドライバートークショーには、SUPER GTに参戦中の日産系ドライバーが勢揃いした。参加したのはMOLAの阿部翼選手/横溝直輝選手、ハセミ・モータースポーツの星野一樹選手/柳田真孝選手、コンドーレーシングのJ.P.オリベイラ選手/安田裕信選手、チーム・インパルの松田次生選手/ロニー・クインタレッリ選手、ニスモの本山哲選手/ブノワ・トレルイエ選手。このドライバートークショーでも、GT300のチャンピオンを獲得したハセミ・モータースポーツの星野選手と柳田選手にはファンから大きな拍手で祝福されていた。

 比較的まじめな話題が多かった監督トークショーとは異なり、ドライバートークショーではお互いのチームメイトについての話題が中心で、普段のレースウィークエンドではみな緊張した面持ちのドライバー達も、この日はほとんどは笑い話が中心で、みなリラックスした様子で話をしていた。

 本山選手は「(今はFIA GT1を戦っている)クルム選手がいつもシートがびちゃびちゃだと怒っていた」と、松田選手が汗っかきであることを暴露し会場の笑いを誘ったほか、「短髪のコンドーレーシングの両選手は最近髪がさみしい」と各選手からからかわれると、オリベイラ選手は「来年はシャンプーのスポンサーを獲得したい」と軽快なジョークでまとめるなど、和気あいあいとした雰囲気の中で進行した。

 トーク終了後には各選手が持ち寄ったグッズのオークション結果が発表され、競り落としたファンに各選手がグッズを手渡しするセレモニーが行われた。提供されたグッズは各チームのシャツやグローブ、レーシングシューズなどで、実際にSUPER GTなどで使用したものが多かった。なお、オークションの総額は30万9052円で、それらはすべて9月に台風によって被災した富士スピードウェイの地元・小山町の復興に使われると言う。

 その後、ファン向けのサイン会と撮影会が行われ、ファンは思い思いのグッズを持ち込み、お目当ての選手にサインをしてもらっていた。

阿部翼選手横溝直輝選手
柳田真孝選手星野一樹選手
安田裕信選手J.P.オリベイラ選手
ロニー・クインタレッリ選手松田次生選手
ブノワ・トレルイエ選手本山哲選手
オークションには各ドライバーが自分のグッズを提供。星野選手は最終戦のシャンパンの空きボトルを提供した本山選手はレーシングシューズとクルム選手の代理でTシャツを提供サイン会ではファンが持ってきたグッズにサインを入れてくれた
オークションの投票箱。ここに落札希望価格を書いて入れるオークションに出品されていたグッズを説明するパネル

ニスモ大森ファクトリー エンジン担当 小坂俊夫氏

R32 GT-R用RB26エンジンを分解実演
 ニスモ大森ファクトリー(ニスモ直営のチューニングショップ)のテント前では、スタッフによるエンジン分解の実演会が行われた。午前、午後の2回行われたが、記者が参加したのは午後の会で、午前中にすでにヘッドなどのエンジン上部がばらされており、午後はピストンやオイルパンといった下部の分解が行われた。

 分解の様子を説明してくれたのは、ニスモ大森ファクトリー エンジン担当の小坂俊夫氏(http://www.nismo.co.jp/omori_factory/staff/index.html)。小坂氏によれば、今回分解したエンジンはスカイラインGT-R(R32)に搭載されていた直列6気筒エンジン「RB26DETT」で、18万kmほど走り込んだ顧客が大森ファクトリーに持ち込んだエンジンだと言う。ちなみにその顧客は大森ファクトリーで新品のRB26エンジンを購入したそうだ。

 午後の部ではエンジンの下部にあたるオイルパン、ピストン、クランクシャフトなどが徐々に分解されていった。小坂氏によれば「このエンジンはユーザーがオイルをあまり変えていなかったせいか、スラッジ(汚泥)がエンジンの各部についてしまっている」とのことで、確かに汚れが目立っていた。また、エンジンオイルにはスラッジを吸収するものと、そうでないものがあり、GT-Rのような高性能エンジンには「スラッジを吸収するようなタイプのオイルがお奨め」と説明。

 最初に外されたのはエンジンの一番最下層に装着されるオイルパン(オイルをためておく部分)で、取り外すとオイルや冷却水の残りなどが出てきた。その次に分解されたのがオイルバッフルプレートで、オイルの偏りを防止するためにつけられているものなのだそう。次いで、ウォーターポンプ、リテーナー、オイルポンプと外されていき、その後ピストンを1本ずつ抜いていき、最終的にクランクシャフトが外れされて終了という形になった。

 小坂氏によれば「このエンジンはカーボンダストがピストンに堆積している。RB26のような高性能エンジンで頻繁に低速で走るとこのようにカーボンダストがピストンに堆積してしまう」とのことで、プロが見ればそのエンジンがどのような利用状況だったかが分かってしまうあたりに正直驚かされた。

すでにエンジン上部が分解されているRB26まずはオイルパンから分解を開始取り外されたオイルパン
小坂氏によればスラッジでかなり汚れているオイルパンだと言うオイルパンを外すと、エンジンオイルや冷却水などがでてきたオイルバッフルプレートを外す
外すとクランクシャフトが見えるオイルポンプを外す。メンテナンスがよくないと固着してしまっている場合もあるそうだ
下からピストンを抜く抜かれたピストン。このようにカーボンが堆積してしまっているのは、あまり高回転をつかわず、低回転を多く使っている場合なのだそう。街乗りで使っている場合には仕方ないが……
クランクシャフトを抜けて分解はほぼ終了抜かれたクランクシャフト

ニスモ直営だけでなく多数の物販ブースで賑わう
 ニスモフェスティバルのもう1つの特徴は、多岐にわたる物販ブースが用意されていることだ。一般的なファン感謝イベントの物販ブースと言えば、メーカー直営のグッズ販売ブースと、帽子やブルゾンといったアパレル関連の物販ブースが多いのだが、NISMO FESTIVALはひと味違う設定になっている。

 まずメーカー直販のグッズ販売ブースだが、1つだけでなく複数の種類が設定されている。今回は、限定モデルカー販売コーナー、グッズ販売コーナー、アウトレットグッズ販売コーナーが設定されており、ここでしか買えない限定グッズやモデルカーが販売されたほか、型落ちのため安価に販売されるグッズがあるなど、特徴あるコーナーになっていた。いずれのコーナーも来場者でいっぱいで、並ばないと入れない状況だった。

 また、パドック側には、チューニングパーツメーカーのブースが多数出展されており、マフラーからカーナビまで展示や即売会を行っていたほか、各メーカーのグッズなどが販売されるなど、ちょっとした自動車ショーのような趣になっていた。それらのブースを巡るだけでも軽く1~2時間は経過してしまった。

 このほかにも、日産車の試乗会や、発表されたばかりの電気自動車「リーフ」の展示、Cカー(R390GT1)のコックピットライド、タイヤ交換の体験会など多数のイベントが同時多発的に行われており、レーシングコースだけでなくこうしたイベントや即売会でもファンが楽しんでいたのが印象的だった。

発表されたばかりのリーフも展示リーフなど日産車に試乗できるコーナーでは、抽選でGT-Rタオルが当たる抽選も行われていた
ニスモグッズ販売コーナー。GT-Rのマフラーも販売されていた
R390GT1(レプリカ)のコックピットに体験搭乗できたニスモの限定モデルカー販売コーナー。9時30分の時点ですでに売り切れのモデルもあった
GTカーのタイヤ交換を体験できるコーナーも用意されていた
チューニングパーツメーカーのブースがパドックに多数出展
グランツーリスモ5を体験できるコーナーチームのアパレルなどを販売するコーナーも賑わっていた

レースクィーンフォトギャラリー

DIXCELレースクィーンTeam Tiger GalsENDLESSレースクィーン
ハセミ・トミカ レースクィーンMobile1、カルソニックレースクィーンモチュール、オーテックレースクィーン

(笠原一輝)
2010年 12月 8日