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「神峰山トンネル(下り)」貫通。2016年度の開通を目指す新名神高速で大阪府域初のトンネル貫通式

大阪府域では10チューブのトンネルを計画

新名神高速「神峰山トンネル(下り)」貫通式
2014年8月20日実施

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は8月20日、大阪府高槻市原において、新名神高速道路「神峰山トンネル(下り)」(延長291m)の貫通式を開催した。主催は施工者である大成建設 関西支店、共催は発注者であるNEXCO西日本 関西支社 新名神大阪西事務所となる。

 神峰山トンネル(下り)は、新名神高速(高槻~神戸間)の大阪府域における初の貫通トンネルとなる。NEXCO西日本は4月11日に、兵庫県域初の(そして高槻~神戸間で初の)トンネル貫通となる「(仮称)猪渕トンネル(上り)」の貫通式を開催しており、新名神高速が走る両県でそれぞれトンネルが貫通したことになる。

●宝塚渋滞を解消するトリプルネットワークを実現する新名神高速 高槻~神戸間で初のトンネル貫通
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140501_646689.html

2016年度開通を目指す新名神高速 高槻~神戸間

 新名神高速 高槻~神戸間 40.5kmは、中国自動車道 宝塚付近~吹田JCT(ジャンクション)で起きる渋滞を解消する道路として工事が進行中で、当初の開通目標は2018年度末。しかしながら、前倒し開通を目指しており、2016年度の開通が目標となっている。この区間の開通で、2014年7月に開通した舞鶴若狭自動車道(中国道 吉川JCT[ジャンクション]~北陸自動車道 敦賀JCT間)とあわせ、トリプルネットワークが完成することになる(取材した8月20日現在、舞鶴若狭自動車道 綾部IC[インターチェンジ]~福知山ICは大雨による法面崩落で通行止め。8月22日通行止め解除の見通し)。

 新名神高速の大阪府域では10チューブのトンネルが計画されており、神峰山トンネル(下り)が最初に開通するトンネルとなった。トンネルの掘削開始は2013年12月。トンネル工法は(仮称)猪渕トンネル(上り)と同様のNATM(ナトム)工法で、トンネルのほとんどを占める地層が土のもろい大阪層群のため、トンネルの外縁となる場所を固めながら機械で掘っていったとのこと。また、トンネル後半(神戸側)は、大阪層群とは逆に非常に硬い超丹波帯だったため、発破(ダイナマイト)を使って土を崩す必要があった。

新名神高速の大阪府域で初の貫通となった神峰山トンネル(下り)
全長は291m
地層について
工法はNATM工法
神峰山トンネル(下り)内で貫通式を実施。高槻側での貫通式となっていた
トンネル壁面にはNATM工法の特徴であるボルトが多数埋め込まれている

 貫通式は「貫通の儀」から始まった。最初に10分ほどのスライドショーが投影され、貫通にいたる道のりを紹介。以下に写真を多数掲載するのでその雰囲気を感じ取ってもらえればと思う。

水平方向2mm、鉛直方向3mmの精度でトンネルを掘削

 スライドショー紹介の後、発注者側責任者である西日本高速道路 関西支社 新名神大阪西事務所 所長 兼澤秀和氏が貫通のためのボタンを押す。すると貫通掘削作業のビデオが上映され、神峰山トンネル(下り)は無事貫通した。

新名神大阪西事務所 所長 兼澤秀和氏が貫通のためのボタンを押す
貫通工事のビデオが上映された

 貫通後、担当者から貫通確認の報告が兼澤所長に対して行われた。この報告によると、トンネル両側から進めた掘削作業のずれは、水平方向2mm、鉛直方向3mm。安全上の問題もないとのことだ。

貫通確認の安全報告
幕が取り払われ、貫通したトンネルが姿を現した

 貫通地点の安全が確認されたため、「貫通点清めの儀」が大成建設の協力会社である吉岡建設 代表取締役 吉岡隆一氏ら3名によって行われた。貫通点清めの儀では、塩、米、酒を貫通地点に清めとしてまく。

吉岡建設 代表取締役 吉岡隆一氏ら3名によって貫通点清めの儀を実施

 その後、「貫通点通り初め」を実施。各代表者が貫通点の左右から歩み寄り中央で握手。その後万歳三唱を行うというものだ。この貫通点通り初めには、トンネル近隣にある本山寺 住職と神峰山寺 住職も参加。貫通点中央で握手と万歳三唱を行った。

関係者代表による貫通点通り初め。本山寺 住職と神峰山寺 住職も貫通点通り初めを行った

 貫通点通り初めの後、発注者側代表として兼澤所長が挨拶。神峰山トンネル(下り)の貫通を足がかりに本年中に残りの9チューブの工事に着手、1日でも早く開通することを目指すとした。

 来賓代表として、原連合自治会 会長 石田和義氏、高槻市 都市創造部 部長 梅本定雄氏が挨拶。神峰山トンネル(下り)の貫通にお祝いの言葉を述べるとともに、梅本部長は高槻市として新名神高速に関連するアクセス道路など一般道の工事を進めていくと語った。

NEXCO西日本 新名神大阪西事務所 所長 兼澤秀和氏
原連合自治会 会長 石田和義氏
高槻市 都市創造部 部長 梅本定雄氏

 発注者挨拶、来賓祝辞の後、貫通点には鏡割りに使われる樽をかついだ樽神輿が入場。貫通点を練り歩いた後、中央に祝い樽を設置。各代表者6人によって鏡割りが行われ、新名神対策協議会 会長 谷川隼見氏の発声によって乾杯が行われた。

樽神輿入場
貫通点を練り歩いたあと、鏡割りのために設置された
関係者代表による鏡割り
乾杯のためにお酒を祝いの升に注ぐ
右の2列には、道路工事のためか乾杯のためのお茶を用意
道路工事関係者は主にお茶を取っていたようだ
新名神対策協議会 会長 谷川隼見氏による乾杯の発声
乾杯に使われた升。3面に記載があった

 乾杯後は、場がくだけた雰囲気になり、その時点で関係者一同による記念撮影を実施。その後、大成建設 関西支店 執行役員 副支店長 加賀田健司氏より、施工者としての謝辞が語られた。加賀田執行役員はその謝辞の中で、神峰山トンネル(下り)が短いにもかかわらずもろい地層と硬い地層があったため難工事であったと語り、上りのトンネルも含め「人生の一部をかけて工事に取り組んでいる」と強く述べたのが印象的だった。

 貫通式の最後は、西条自治会 会長 山口重雄氏の発声による万歳三唱。万歳三唱後は、各参加者が思い思いにトンネルで記念写真を撮っていた。

関係者一同による記念撮影
大成建設 関西支店 執行役員 副支店長 加賀田健司氏
万歳三唱は、西条自治会 会長 山口重雄氏の発声
万歳、万歳、万歳

 貫通式後、新名神大阪西事務所の兼澤所長に苦労した点について確認したところ、やはりもろい地層と硬い地層の工事が大変だったとのこと。下りのトンネルから貫通したのは、工事の資材置き場として設置した平場から近く、順序よく工事を進めていったためとのこと。無事故・無災害で貫通した神峰山トンネル(下り)同様、上りの工事を今後進めていく。

貫通式後、思い思いに記念撮影。トンネルの各部見学も行われた
貫通式後、新名神大阪西事務所の兼澤所長に簡単にお話をうかがった
神峰山トンネル(下り)の神戸側
神峰山トンネル(下り)の左側には現在工事中の神峰山トンネル(上り)が見える。防音壁に加え、消音器が取り付けられている
神峰山トンネルの東側では芥川橋の工事が進んでいた

(編集部:谷川 潔)