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富士スピードウェイ、10月9日~11日にWEC第6戦「富士6時間耐久レース」を開催

トヨタ、アウディ、ポルシェ、日産のハイブリッドプロトタイプスポーツカーが参戦

2015年10月9日~11日開催

 富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)は、10月9日~11日に4メーカーのハイブリッドプロトタイプスポーツカーなどが激しいレースを繰り広げるWEC(World Endurance Championship、FIA 世界耐久選手権)第6戦「富士6時間耐久レース」を開催する。前売り観戦券は8月13日より販売開始予定。

WEC(World Endurance Championship、FIA 世界耐久選手権)第6戦「富士6時間耐久レース」
2015年は日産も参戦する

 富士スピードウェイはSUPER GT第2戦の期間中に記者会見を開催。10月9日~11日に同コースにおいて開催する富士6時間耐久レースの概要を発表した。

 FIA世界耐久選手権は、プロトタイプスポーツカー/GTカーによる世界選手権で、最上位クラスとなるLMP1は自動車メーカーの製造する、ハイブリッドのパワーユニットを搭載したプロトタイプスポーツカーにより争われている。特に2015年は昨年までのアウディ、トヨタ自動車、ポルシェだけでなく、第3戦のル・マン24時間レースから、日産自動車も参戦することがすでに発表されており、4メーカーのハイブリッドプロトタイプスポーツカーが激突する注目のカテゴリーとなっている。

WECは最重要レース。「長く開催して伝統のレースにしていきたい」と原口社長

 今回の記者会見には、富士スピードウェイを代表して4月1日付で代表取締役社長に就任した原口英二郎氏、同専務 柘植和廣氏、ル・マン24時間レースおよびWECのプロモーターであるACO(Automobile Club de l'Ouest、フランス西部自動車クラブ)の理事である寺田陽次郎氏が登壇して行われた。

左から、富士スピードウェイ専務 柘植和廣氏、代表取締役社長 原口英二郎氏、ACO理事 寺田陽次郎氏

 富士スピードウェイの社長に就任する前は、トヨタで商品企画、マーケティング、営業などの仕事を歴任してきた原口氏は「これまではレースを1ファンとして楽しむ立場で愛してきたが、これからはレースを開催するほうに回ることになるので大きな責任を感じている。富士スピードウェイとしては、新生WECとなってからは今年で4回目の開催になるが、国際サーキットとして最重要なレースと捉えており、今後もできるだけ長い間開催し、伝統のレースに育てていきたいと考えている」と述べ、世界選手権であるWECを長期間にわたって開催していく意向であることを明らかにした。

 その上で「サーキットには自動車を楽しんでもらえるさまざまな施設がそろっていると自負しているが、やはりサーキットに直接足を運んでいただくにはハードルがまだそれなりにあると考えており、まだまだやることは沢山あると考えている。このため、一部施設の改修、新設などに取り組んでおり、今回のレースから女性向けのパウダールーム、授乳室、ファミリーで利用できるファミリートイレなどの施設を新設している。また来年度には富士スピードウェイが開設50周年を迎えることになるので、関係者やお客様などに感謝を込めてさまざまな企画を検討していきたい」と述べ、グランドスタンド裏などに、女性向けのパウダールーム(女性向けの化粧室)や授乳室、ファミリーで利用できるファミリートイレ、さらには喫煙者向けの喫煙ルームなどを新たに常設の施設として用意したことをアピールした。これらの新施設はSUPER GT第2戦富士戦から利用可能になっており、家族連れや女性客などに好評とのこと。原口氏によれば「富士スピードウェイの想いとしては、レースを見に来ていただくお客様を増やしたいということがある。切り口はいくつかあるが、お子様もそうだし、女性にもフォーカスして、これまでレースに来ていなかったようなお客様にも楽しんでもらえる施設を増やしていきたい」との狙いがあるそうで、新たな顧客層の開拓に取り組んでいる。

メーカー間の技術競争も見所の1つ

 引き続き挨拶を行ったのは、“ミスター・ルマン”の愛称で知られる寺田陽次郎氏。寺田氏は日本人のドライバーとしてル・マン24時間レースの最多出場回数29回を誇っており、その功績を高く評価したACOが理事の1人に任命。日本におけるル・マン24時間レース、およびWECのスポークスパーソンとしての活動を行っている。

 寺田氏は「3日前に渡仏し、ACOの会長やCEOと打ち合わせをしてきたが、富士でのレースへの彼等の期待は非常に大きいし、富士スピードウェイのオーガナイズ能力を高く評価している」と述べ、WECのプロモーターであるACO側としても富士スピードウェイへの期待が高いことを強調した。

 その上で「昨日ベルギーのスパ・フランコルシャンで第2戦が行われたが、結果は開幕戦に次いでアウディが2連勝した。そこに、ポルシェやトヨタがどのように反撃するのか、シリーズのハイライトになるル・マン24時間レースでどうなっていくのかが焦点になる。しかも、ル・マン24時間レースでは、その3メーカーに日産が加わることが発表されており、4大メーカーがル・マン24時間レースで激突する形となる。WECシリーズへの参加台数も増えつつあり、来年は参加にあたって予備審査をする必要があるのではないかというぐらい盛況なりつつある。WEC本体としても、この富士のレースに力を入れている」と述べ、ACOの理事としてWECの魅力やWECが富士のレースを重視していることなどを語った。

 なお、WECでのLMP1の見所を聞かれた寺田氏は「結論としては非常に面白いレースになっている。初戦、第2戦に参加した3つのメーカーはそれぞれハイブリッドの使い方が違う。ポルシェは直接が速く、総合能力に優れているのはアウディで、レースに強いというのは初戦、第2戦の連勝で証明されていると思っている。これに対してトヨタはその2メーカーとは若干違う戦略を組んでいるようで、こちらも侮れない存在。現状ではどこのメーカーが勝ってもおかしくないレースで、レースを見ているとミスのないメーカーが勝っている。実際に昨日のスパの第2戦でも6時間走って差が10秒とか、24時間レースで24時間走って同一周回で終わるというのが今のWEC。それぐらい拮抗していて、耐久だけどスプリントというレースになっており、1度でもイレギュラーなピットインをしたら負けてしまう。このため、各メーカーとも、空力にせよ、パワーユニットにしろ、様々な工夫をしており、そうしたところが楽しめるポイントにもなっている。現状ではどのメーカーがずば抜けて速いということはなく、拮抗しており、見ていて面白いレースになっている」と述べ、メーカー間の技術競争も見所の1つだと説明した。

WEC第6戦「富士6時間耐久レース」開催概要

大会名称:2015 FIA World Endurance Championship Round 6 6 Hours of Fuji(2015 FIA 世界耐久選手権 第6 戦 富士6 時間耐久レース)
開催日程:10月9日(金)練習走行、10日(土)公式予選、11日(日)決勝レース
主催:富士スピードウェイ株式会社/富士モータースポーツクラブ(FMC)
公認:国際自動車連盟(FIA)/フランス西部自動車クラブ(ACO)/社団法人日本自動車連盟(JAF)
後援:静岡県/静岡県小山町/御殿場市/裾野市/公益社団法人 静岡県観光協会/小山町観光協会/御殿場市観光協会/裾野市観光協会

 併催レースとしては2015 Asian Le Mans Series、Audi R8 LMS Cupの2つが予定されている。観戦チケットは8月13日から販売される予定で、現時点では下記のようなチケットを予定(価格はすべて税込み)。

前売一般観戦券:9300円
前売一般観戦券ペア(大人2名):1万7000円
前売パドックパス:2万100円
プラチナペアルームパス:7万7200円
各種応援席:別途発表

 なお、中学生以下は保護者同伴の場合には一般観戦は無料となる。この他に各種指定席券、指定駐車券、ピットウォーク券なども用意される予定で、詳細は今後公式Webサイト(http://fiawec-fuji.com)などで公開予定。

(笠原一輝/Photo:安田 剛)