ニュース

三陸沿岸道路(復興道路)の「高田道路」が全線開通

3月23日に陸前高田IC~通岡IC間の4.1kmが開通

高田道路 陸前高田IC~通岡IC間の開通式
2014年3月23日15時開通

 3月23日15時、三陸沿岸道路(復興道路)「高田(たかた)道路」の陸前高田IC(インターチェンジ)~通岡IC間の4.1kmが開通した。これにより、すでに2009年3月に開通済みの通岡IC~大船渡碁石海岸IC 3.4kmと合わせ、7.5kmの高田道路が全線開通となった。なお、三陸沿岸道路は宮城県仙台市と青森県八戸市を太平洋側沿岸に沿って結ぶ総延長359kmの道路計画で、今回の開通により全体の147kmが完成したことになる。

 この開通に先立ち、岩手県、陸前高田市、大船渡市、国土交通省 東北地方整備局が合同で、新しくできた陸前高田ICで開通式を開催した。

 関係者、列席者合わせて350人が集まった開通式では、岩手県立大船渡東高校の太鼓部による和太鼓演奏により式が開始。黙祷が行われたあと、「高田道路は命の道」と語る岩手県知事、「事業化からわずか5年で開通し、沢山の仲間の犠牲の上に達成した」と語る陸前高田市長、「安全と安心の道、この地の振興には不可欠な道」と語る大船渡市長など、この道路に関係する各首長から挨拶が行われた。

 また、国土交通省 道路局長 徳山日出男氏からは、震災時には国も県も市もなく、関係各所から戦友のような形で復興に力を貸してくれたこと、そして地元住民、地権者に対して感謝の意が述べられた。このほかに衆議院議員 黄川田徹氏、平野達夫氏、岩手県立大船渡病院 院長の伊藤達朗氏らが祝辞を述べている。その後、岩手県立高田高校の藤原奈々さんが「沢山の人に愛され、支えられて復興が進む高田の街は自慢の街です」と高田道路開通への思いを発表した。

岩手県立大船渡東高校の太鼓部による和太鼓の演奏により式典が始まった
陸前高田市「氷上太鼓」の演奏
岩手県知事 達増拓也氏
陸前高田市長 戸羽太氏
大船渡市長 戸田公明氏
国土交通省 道路局長 徳山日出男氏
衆議院議員 黄川田徹氏
衆議院議員 平野達夫氏
岩手県立大船渡病院 院長 伊藤達朗氏
岩手県県立高田高校の藤原奈々さんが「高田道路開通への思い」を発表した
大船渡市の「おおふなトン」と陸前高田市の「たかたのゆめちゃん」
開通式は陸前高田IC(157kmポスト付近)で行われた
事前申込者は徒歩で楽しみながら開通を祝った
一部2車線区間もある
平坦かつ急カーブのない自動車専用道の開通により、急病人や妊婦の搬送などに大きなメリットが生まれるとのこと
道路から見える陸前高田市の街にはまだまだ震災の傷跡も見えるが、この高田道路の開通が復興に大きく貢献するだろう

すばやく安定した救急搬送と地域経済発展を担う高田道路

 今回の高田道路全線開通により、東日本大震災時に浸水被害の大きかった国道45号の通行止め時にも代替ルートが確保された。また、現状では陸前高田市からの急病者の約9割が、急カーブが多いルートを使って隣接する大船渡市の病院に搬送されているが、勾配やカーブが少ない高田道路の開通により、迅速で安静な救急搬送が可能となる。

 産業の面においても大消費地である東京へのアクセスがスムーズになるという。たとえば、三陸産サンマの巨大水揚げ港として知られる大船渡港の大船渡魚市場から東京に出荷する所要時間が55分(約12%)の短縮され、輸送経費を約7%削減できる。そのほかの地域産業でも多くのメリットを生み出すと説明された。

南三陸国道事務所長から事業報告が行われた
国道45号線のいたるところに設置された看板。震災時は道路が冠水して物流が断たれ、復興の大きな妨げとなった
高田道路の開通は、津波警報発令時に国道45号の代替ルートとしても大きな役割を果たす
市内にはまだ工事中の道路がいたるところに存在する
駅も線路もご覧のとおりの状況。鉄道の復旧にはまだまだ時間がかかりそうだ
周囲の被害の大きさを考えると、そこに留まったことはまさに奇跡といえる「奇跡の一本松」。保存に関しては賛否もあったようだが、街のシンボルでもあった「名勝 高田松原」からただ1本留まり続けたその存在は「復興のシンボル」としてふさわしいだろう

(高橋 学)