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新型ロードスターやル・マン参戦車も走った「マツダファンフェスタ2014イン岡山」

ロードスター生誕25周年記念トークショーに、ND開発主査の山本氏をはじめレジェンドが登場

2014年12月7日開催

多くの来場者が新型ロードスターに熱い視線を送った

 12月7日、岡山国際サーキット(岡山県美作市)でマツダファンの祭典「マツダファンフェスタ2014イン岡山」が開催された。

 今年のマツダは、9月に受注を開始した新型「デミオ」が2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、ファン参加型イベント「マツダ ロードスター THANKS DAY IN JAPAN」で新型「ロードスター(ND)」を公開し、11月上旬に米ラスベガスで開催されたカスタマイズショー「SEMA SHOW」で2016年から新型ロードスターを使用した「グローバルMX-5カップ」を北米、欧州、アジアで開催すると発表。さらに11月下旬にはロサンゼルスオートショーの前夜祭で新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」を初公開したことに加え、改良型「CX-5」「Mazda6(日本名:アテンザ)」を発表するなど、マツダファンに多くの話題を提供する1年となった。

 そのマツダファンが楽しみにしているマツダファンフェスタが今年も開催。会場では「MAZDA 787B #202(JSPC[ジャパンスポーツプロトタイプカーチャンピオンシップ]参戦車)」「MAZDA 767B #202(ル・マン参戦車)」をはじめ、現役のスーパー耐久&全日本ラリー選手権出場車、「ファミリアロータリークーペ」「サバンナ RX-3(S124A)」「サバンナ RX-7(SA22C)」といったレジェンドマシンによるデモンストレーションラン、デミオ、アクセラ、アテンザ、ロードスターのオーナーによるパレードランなどが行われるとあって、寒風が吹きつけるなか多くの来場者が会場に足を運んだ。

開会式にはマツダの関係者が登壇
マツダ 常務執行役員 毛籠勝弘氏は開会式の冒頭、「今日は難しいことは忘れて皆さんと一緒に楽しみたい」とコメント
“ミスタール・マン”の愛称で知られるオートエクゼの代表取締役社長 寺田陽次郎氏。「今日は床が抜けるほどアクセルを踏んでください。床まで踏んで、マツダのクルマはこんなにいいんだぞということを思い切り味わっていただきたい」と話した
マツダOBのRX-7担当主査を務めた小早川隆治氏は「一連のスカイアクティブ技術について、マツダOBの1人として拍手を送りたい。今日は天気もいいので楽しんでください」と述べた
マツダOBの2代目・3代目ロードスター開発主査を務めた貴島孝雄氏。「こう見えても私技術屋のものですから、いかに重量を軽くし、慣性モーメントを小さくし、重心を下げるか、車体剛性を上げるかにこだわってきた。それを頑なに守ってきた結果、他社とは少し味の違う楽しいクルマを作り続けているマツダのベースの部分を担えたかなと思っている。そうした部分を皆さんに支えてもらっているということをいつも嬉しく思っています」とコメント
マツダOBのRX-8開発主査・片渕昇氏は「RX-8は街中やサーキットで走るのを見ると、我々が考えてきたスポーツカーのあり方について間違っていなかったと思っている。現在は残念ながらロータリーエンジンは作っていないが、長年ロータリーエンジンで培ってきたモータースポーツの歴史を新しいスカイアクティブが引き継いで、さらにマツダのモータースポーツ活動が拡大していくことを期待している」と述べた
ル・マン24時間に携わるなどレースエンジンに深くかかわってきた元マツダスピード技術部長の松浦国夫氏は、「ロータリーエンジンは現在ああいう状況ですが、素晴らしいクルマがどんどんできつつあるので、これからも応援してほしい。“レース馬鹿の松浦”と覚えておいてください」と語った
会場である岡山国際サーキットは歴代のマツダ車で埋め尽くされた
マツダブースでは新型デミオやアクセラ、アテンザに加え新型ロードスターの展示や、物販も行われた
新型デミオの前には2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤーで獲得したトロフィーを展示。とはいえ来場者がもっとも注目したのは……
やっぱり新型ロードスターでした
会場にはロータリー用エンジンオイルやスポーツシートから、KTCの工具、中古パーツなどを購入できるブースが所狭しと並んだ
魅力的な出店が並ぶ

新型ロードスターにはマツダOBも太鼓判

ロードスター生誕25周年記念トークショーには来場者の多くが耳を傾けた。司会はロードスターと同じく創刊25周年を迎えたTipo編集長の佐藤孝洋氏が務めた

 イベントのなかで高い関心が寄せられたのは、何といっても新型ロードスターだ。新型ロードスターが展示された場所にはひっきりなしに来場者が訪れ、常に人だかりができるほど。加えて、特設ステージで行われた「ロードスター生誕25周年記念トークショー」にも多数の人が集まり、登壇者である新型ロードスター開発主査の山本修弘氏、チーフデザイナーの中山雅氏、マツダOBの2代目・3代目ロードスター開発主査を務めた貴島孝雄氏、元RX-7担当主査の小早川隆治氏の発言に耳を傾けた。

新型ロードスター開発主査の山本修弘氏
チーフデザイナーの中山雅氏
マツダOBの貴島孝雄氏(写真左)、小早川隆治氏(写真右)もトークショーに参加

 トークショーの冒頭、山本氏は5月に行われた国内最大規模のロードスターミーティング「軽井沢ミーティング2014」で新型ロードスター用スカイアクティブシャシーを公開したことに触れ、「まずシャシーを見て来場者の皆さんがはじめに気付いたことが、ホイールの取付けボルトが4本だったこと。ホイールが4穴ということは、それだけクルマが軽くできているということを表している」「公開したスカイアクティブシャシーはエンジンもトランスミッションもデフもサスペンションも付いているのですが、何も説明しなかった。それはこのシャシーがどのような性能を持っているのだろうかと想像して欲しかったから」と語る。

 その軽井沢ミーティングで初めてシャシーを見たという貴島氏は、「見たときロードスターのDNAが引き継がれているなと思った。ロードスターはスタイリングも大事だが乗り味も大事。その味も、シャシーを見て大丈夫だと感じた」と、早くも新型ロードスターへの期待感を示した。また、新型ロードスターのデザイナーを務めた中山氏は、歴代ロードスターオーナーに新型ロードスターがどのように映ったのかとても気になったといい、「(デザインを初めて見せたマツダ ロードスター THANKS DAY IN JAPANの会場である)舞浜では正直ドキドキしたが、見せた瞬間に大歓声だったのでいけると思った」と、確かな手応えを得たことを語った。

 その新型ロードスターのデザイン上でも見どころを聞かれた中山氏は、「新型ロードスターは歴代ロードスターのなかで一番全長が短い。たぶん、このクルマを1/43のミニカーにして水がいっぱいのコップに浸けると、こぼれる水は新型ロードスターが一番少ないと思う。これを実現するのに何をしたかはまだ秘密なのですが、とくに見てほしいのは人が座るポジションで、前後ホイールのちょうど中央に人がいることが分かる。それを見ると、たぶんこのクルマのことを嫌いになれないと思う」と、注目してほしいポイントについて紹介を行った。

 加えて貴島氏は「オープンカーはヒップポイントの高さ、ベルトラインの低さ、あとはドライバーがクルマのセンターに座れるか、シフトやハンドルの位置・角度が適正かどうかが大事だが、そういうのがキチッとできていた」、小早川氏は「新型ロードスターは色々なところの造形が“走りたい!”と思わせてくれるデザイン。スポーツカーというのはフェンダーのピークが見えるというのが大事な要素で、今回のクルマはそのあたりが実によくできている」と語り、オープンカーとしての完成度に太鼓判を押した。

 また、トークショーの終盤に司会者から新型ロードスターの詳細は明かされていないものの、グローバルMX-5カップの発表や、同レースで使う車両が2.0リッターエンジンを搭載することがアナウンスされるなど、いくつかのサプライズがあったことから今後もサプライズが用意されているのでは? と聞かれた山本氏は「新型ロードスターの導入については色々なスペックを数値で語るのではなく、メディアを含め多くのお客様に実際に見てもらってどう感じるのかを大事にしたかった。10月のパリショーでは欧州に出すクルマには1.5リッターエンジンが、11月になってアメリカに出すクルマには2.0リッターエンジンがあることをいったが、日本国内については何もいっていない」と語る一方、グローバルMX-5カップで使われる車両を近いうちに日本でも公開することを予告した。

歴代ロードスターのパレードランで新型ロードスターがサプライズ参加。エンジン音が聞けるとあって、ブースから新型ロードスターが出る際は来場者が押し寄せた
山本氏は来場者に向けエンジン音がよく聞こえるようアクセルをあおった。その表情が何とも嬉しそうだったのが印象的だった
パレードの先頭を新型ロードスターが走った

多数のクルマが展示・デモ走行

こちらはル・マン24時間参戦車の767B #202。4ローターエンジン(13J改)を搭載し、「767」からモノコックの剛性アップをはじめ、可変吸気システムの採用などによって出力を15%アップ。1989年のル・マン24時間で、従野孝司/エルベ・ルゴー/エリオット・フォーブスロビンソン組(#202)が総合9位(クラス2位)に入賞
デモ走行前にパドックに置かれた787B #202(JSPC参戦車)。ル・マン仕様と比べ、外観上では高照度ヘッドライトがなく、レナウンカラーのグリーンとオレンジの配置が逆転されているのが大きな特徴
787B、767Bのデモ走行。滅多に聞けないエンジンサウンドに感動です
767Bは数周したのち、バックストレートで突然エンジンストールしてしまい、残念ながら途中でリタイア
787Bは引き続き元気に走った
現役のスーパー耐久や全日本ラリー選手権などに出場する車両もデモラン
マツダの歴史を彩る「コスモスポーツ」「サバンナ RX-3」「サバンナ RX-7」「ファミリアロータリークーペ」なども走行した
歴代デミオによるパレードランも行われた。同じクルマに乗るオーナー同士が和気あいあいと語れるのも、マツダファンフェスタの大きな魅力だ

(編集部:小林 隆)