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ツインリンクもてぎ、4月2日~3日に「スーパー耐久シリーズ 2016 第1戦 もてぎ5時間耐久レース」開催

FIA GT3からコンパクトカーまで混走する異種格闘技レース! 脇坂寿一“選手”も参戦

2016年4月2日~3日 開催

前売り券(2日間通し):大人3600円、学割(高校生以上の学生)1800円、中学生以下の子供は無料(ただし大人の同伴が必要)

2015年のスーパー耐久シリーズ開幕戦のスタートシーン

 ツーリングカーを利用した耐久レースとなるスーパー耐久シリーズは、今週末の4月2日~3日に、栃木県茂木町にあるツインリンクもてぎにおいて2016年シーズンの開幕戦を迎える。

 スーパー耐久は、FIA GT3というレーシングカーと、わずかに改造することが許された市販車が混走するというレースで、その市販車クラスも5つのクラスに分かれており、BMW Z4のようなハイエンドなスポーツカーから、トヨタ 86などのライトウェイトのスポーツカー、さらにはヴィッツやフィットといったエントリークラスのハッチバック車までが同じコース上を走る“異種格闘技戦”的なレースとなっている。

 ツインリンクもてぎで行なわれる開幕戦には、全クラス合わせて62台がエントリー。異なるクラスの車両が混走することで、サーキット全体にわたって車両が走っている状況が現出することもあり、通なユーザーに人気のレースとなっている。また、出走するドライバーもプロドライバーだけでなく、いわゆる“ジェントルマンドライバー”も混在する形になっているが、とくに上位クラスとなるFIA GT3車両で争われる「ST-Xクラス」には、SUPER GTにもエントリーしているような人気のドライバーが多数参戦している。また、SUPER GTでの参戦を引退して今年から監督として活躍することになった脇坂寿一氏が、スーパー耐久では引き続き“脇坂寿一選手”として参戦している点も要注目のレースだ。

ST-4クラス、ST-5クラスのスタートシーン。速度域が異なる6クラスのマシンが混走する“異種格闘技戦”的なレースだ

市街地を走っている見慣れた車両を利用するレース

派手なカラーリングやエアロパーツが施されているものの、人々の生活圏内を走る市販車をベースにした車両で争われるレースとなっている

 スーパー耐久は、SUPER GTのGT500クラスやスーパーフォーミュラといった国内トップカテゴリーのレースが専用設計されたレーシングカーを利用していることに対し、市販車をベースとした車両を使って競い合うカテゴリーというコンセプトを明確に打ち出したレースとなる。前述したように複数のクラスが用意されているが、いずれのクラスでも、例えばエンジンの搭載位置を変えたり、ボディを大幅に造り替えるといった極端な改造をレギュレーションで禁止しており、外装の改造は、一般のユーザーでも普通に手に入れられるアフターパーツまでに制限され、基本的に市街地を走っているクルマに近い状態でレースを行なうというコンセプトになっている。

 このため、ジェントルマンドライバーと呼ばれるプロドライバーではない選手も比較的気軽に参加できるレースとしても知られており、「偉大なる草レース」と呼ばれることも多い。もちろん、プロドライバーが参加していないかと言えばそんなこともなく、SUPER GTやスーパーフォーミュラといった日本のトップカテゴリーレースにも参戦経験があるプロドライバーも多数走っている。今年のエントリーリストを見ると、SUPER GT GT500クラスで走行経験がある選手に限っても、柳田真孝選手、片岡龍也選手、星野一樹選手、平中克幸選手、脇坂寿一選手、細川慎也選手、荒聖治選手などがエントリーしており、この顔ぶれだけでもかなり豪華のラインアップであることが分かるだろう。

現役トップドライバーから一線を退いたベテランドライバー、プロではないジェントルマンドライバーなど出走する選手も多彩
今シーズンからSUPER GTの監督に就任した脇坂寿一氏も、スーパー耐久では現役選手として出走

 とくに今年は、SUPER GTのドライバーから引退してチームルマンの監督に就任した脇坂寿一氏が、このスーパー耐久では現役選手として走る予定になっている。これまでも熱い走りで何度も見せ場を作ってくれた脇坂氏が選手としてレースを走る姿を見せるのは、少なくとも今年はスーパー耐久だけとなっている。

 ワールドワイドで見ると、こうした市販されているツーリングカーを利用するレースというのは非常に盛り上がっており、近年有名になりつつあるニュルブルクリンク24時間レースやスパ・フランコルシャン24時間レースなども、スーパー耐久に似た規定で行なわれている。これらのレースでは近年になってメーカーがワークスチームを組んで出場することも増えているが、主役はプライベートチームになっているのもスーパー耐久と同様だ。日本のスーパー耐久の場合は、基本的にプライベーターによるレースになっており、参加する側が自分たちも楽しみながら、見て楽しいレースにするべく努力を続けているのだ。

6つのクラスに分かれており、コース上のいたるところでバトルが展開!

 スーパー耐久では、現時点では車両クラスによって上から「ST-X」「ST-1」「ST-2」「ST-3」「ST-4」「ST-5」という6つに分かれる規定になっている。

ST-X

FIA GT3規定の車両により争われるクラス。FIA GT3は中古市場もすでに成立しており、世界中のGT3レースから安価に中古車を購入できるようになったこともあり、近年は支持を高めて参加台数が増加傾向にある。日産自動車 GT-R NISMO GT3、メルセデス・ベンツ SLS AMG GT3、BMW Z4 GT3、アウディ R8 LMS ultra、フェラーリ 458 GT3、マクラーレン 650S GT3などがエントリーしている。

ST-1

従来はスーパー耐久の最上位クラスだったが、現在はST-Xクラスができたことから参加台数は減少傾向にある。エンジン排気量3501cc以上のクラスという大排気量の車両が参戦できる。BMW Z4M クーペとポルシェ 991 GT3 Cupの各1台がエントリー。

ST-2

排気量2001~3500ccまでの4輪駆動車がエントリーできるクラス。三菱自動車工業のランエボIX&Xとスバル(富士重工業)のWRX STIがエントリーしており、4輪駆動車同士の熱い戦いが繰り広げられる。

ST-3

排気量2001~3500ccまでの2輪駆動車がエントリーできるクラス。日産のフェアレディZ、レクサス(トヨタ自動車)RC350、トヨタ マークXなどがエントリーしている

ST-4

排気量2000cc以下の車両により争われるクラス。本田技研工業 シビック TYPE R、トヨタ 86、スバル BRZ、ホンダ S2000、マツダ ロードスター(NC)など参戦車種が最もバラエティに富んでおり、台数自体も最多となるクラスだ。ちなみに、脇坂寿一選手がエントリーしているのはこのST-4クラスで、52号車のトヨタ 86に乗る予定。

ST-5

排気量1500cc以下の車両により争われるクラス。ST-4に次いで参加台数も多く、ホンダ フィット、トヨタ ヴィッツ、マツダ デミオ、マツダ ロードスター(ND)などにより争われる。

 このように、スーパー耐久はクラスも6クラスもあり、全クラス合わせると62台もの車両がエントリーしている。もちろん、レースによっては参加しない車両もあるため、必ず全車両が走るというわけではないが、現地に足を運んで見ていると、サーキットのどこにいても次から次へと車両がやってくる印象だ。とくに走っているクルマを撮影することが好きな人にとっては撮影チャンスが次々とやってくるので、非常に楽しいのではないだろうか。なお、参加車両のエントリーリストはツインリンクもてぎのWebサイト内で公開されている。

話題の86/BRZレースも同時開催。各種イベントも用意されている

2015年の86/BRZ Race プロフェッショナルシリーズのスタートシーン

 今回のスーパー耐久シーズン開幕戦は「GAZOO RACING 86/BRZ Race 2016 Rd.1」と併催になっている。GAZOO RACING 86/BRZ Raceはトヨタ 86、またはスバル BRZを利用して行なわれているワンメイクレースで、当初は1イベントで開催されていたが、参加台数が増えたこともあり、2015年からプロドライバー向けの「プロフェッショナルシリーズ」と、アマチュアドライバー向けの「クラブマンシリーズ」に分離して開催されるようになったほどの盛況だ。

 2016年もその2シリーズ制が継続されており、両シリーズで熱い戦いが繰り広げられることになりそうだ。なお、本誌でも執筆しているモータージャーナリストの橋本洋平氏も「TOKYO NEXT SPEED」というチーム名で引き続きクラブマンシリーズに参戦。悲願の初優勝とシリーズタイトルを狙っていくことになる。

橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記を連載中の橋本洋平氏のシーズン開幕戦もこのツインリンクもてぎとなる

 このほか、レース以外でも実にバラエティに富んだ各種イベントが計画されている。4月3日のピットウォーク開催中には、ロードコースで愛車に家族を乗せてレーシングコースをパレード走行できる「みんなでスーパー耐久ファミリーパレード」(観戦券のみで参加可能)、さらには決勝レースのスタート前に行なわれる「グリッドウォーク」(グリッドウォーク券ないしはファミリーパスポートセット券が必要)、4月2日の全スケジュール終了後には「コースウォーク」(観戦券のみで参加可能)が楽しめる。

 また、今回も“檄感エリア”と呼ばれるコースから近い観戦エリアが設定される予定となっている。1コーナーと5コーナーのイン側、5コーナーのアウト側が檄感エリアになり、VIPスイート、満喫セット券、パドックパスなどパドックに入場可能なチケットを持っている人が楽しめる。迫力のある写真を撮りたいといった場合にも要注目と言えるだろう。

 このほかにも複数のイベントが予定されていてすべては紹介しきれないので、詳しく網羅されているツインリンクもてぎのWebサイトの「イベント情報」を参照していただきたい。

レースマシンや選手などと身近に触れ合えるピットウォークなども連日実施

 なお、観戦チケットは2日間通しの前売り券(モビリティランドのWebサイトではすでに販売終了。プレイガイド、コンビニエンスストアでは4月2日まで、ツインリンクもてぎチケットセンターの窓口では4月1日17時まで販売)が、大人3600円、学割(高校生以上の学生)1800円、中学生以下の子供は無料(ただし大人の同伴が必要)となっている。自家用車で行く場合には別途駐車券(4輪1500円~3100円、2輪500円)が必要になる。

 このほか、ピットウォークパス、パドックパスなどは別売りになっているので、そうしたチケットが必要な場合には別途購入する必要がある。チケットの詳細については、ツインリンクもてぎのWebサイト内「チケット情報」を参照していただきたい。

(笠原一輝)