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写真で見る ホンダ「シビック セダン」「シビック ハッチバック」(2017年フルモデルチェンジ)

10世代目となる新型「シビック」シリーズ

 本田技研工業の「シビック」は、ホンダの顔とも言えるロングセラーモデルだ。1972年に初代が登場して以来、コンパクトなハッチバックスタイルと走りのよさで多くのユーザーを魅了。クーペやセダンなどさまざまな派生モデルを生み出しつつ、2016年には世界170の国や地域で販売され、累計で2400万台あまりが生産された。しかし、Cセグメントに大型化した8代目の販売終了をもって日本市場からは消滅。9代目は日本市場に投入されることもなく、2009年と2010年に「TYPE R EURO」、2015年に「TYPE R」をそれぞれ限定販売するに留まった。

 その一方、北米では2015年から10代目のセダンモデルが販売を開始。続いて欧州、中国でも発売され、2016年には北米カー・オブ・ザ・イヤーを獲得する。そして、パリモーターショーでスポーツモデルのTYPE R プロトタイプ、そのベース車両となるハッチバックモデルが発表された。日本では同車を取り巻く各ニュースを指をくわえて見ているしかなかったが、2017年初頭に開催された「東京オートサロン 2017」で同年夏の国内投入を明言。そして7月27日に発表が行なわれ、9月29日から発売されることになった。

シビック セダン

シビック セダン。撮影車両のボディカラーは「ルナシルバー・メタリック」

 シビックシリーズのベースモデルと言えるのがこのセダン。9代目から引き続きCセグメントモデルとなっているが、新型では低重心・低慣性の新世代プラットフォームを採用。4650×1800×1415mm(全長×全幅×全高)というロー&ワイドなスタイリングに優れた空力処理と静粛性を詰め込み、居住性と快適性を向上させている。

 エンジンは直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECの「L15B」ユニットを車体フロントに横置き。小排気量エンジンに小型ターボを組み合わせた「ダウンサイジングターボ」モデルとなるが、「直噴」をはじめ、バルブタイミングの位相を連続可変する「吸排気デュアルVTC」、過給圧制御の自由度を高める「電動ウェイストゲート付ターボチャージャー」、耐ノッキング性能を高める「ナトリウム封入エキゾーストバルブ」などの採用により、環境性能を高めつつも走りを追求。このエンジンは「ステップワゴン」にも搭載されているが、シビックでの採用にあたっては過給圧を高めるとともに吸排気量の増加、バルブタイミングのセッティング変更などにより、自然吸気の2.4リッターエンジンに匹敵する最高出力127kW(173PS)/5500rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpmを発生している。

 組み合わされるトランスミッションは7速モードとパドルシフトを備えたCVTで、駆動方式はFF(2WD)のみ。ガソリンは無鉛レギュラー仕様となっており、JC08モード燃費は19.4km/Lとハイレベルな数値となっている。

 安全面では、衝突被害軽減ブレーキ、渋滞追従機能付きACCなどを含めた「Honda SENSING(ホンダ センシング)」、4輪のブレーキを独立制御して車両の挙動をコントロールする「アジャイルハンドリングアシスト(AHA)」、LEDヘッドライト、LEDフォグランプなどが標準装備という充実した内容となる。

 ボディカラーは注文色で3万7800円高となる「ホワイトオーキッド・パール」のほか、セダン専用色の「プレミアムクリスタルレッド・メタリック」(5万9400円高)と「コスミックブルー・メタリック」、標準色の「ルナシルバー・メタリック」「クリスタルブラック・パール」の計5色が用意される。

 グレード設定のない1モデル展開で価格は265万320円。レザーインテリア、運転席8ウェイパワーシート、助手席4ウェイパワーシート、17インチ ノイズリデューシングアルミホイール+215/50 R17タイヤがセットオプションとして用意されている。生産は埼玉製作所 寄居工場。

ロー&ワイドかつ短いオーバーハングによりスポーティなフォルム
ボディサイドまで回り込んだクローム加飾や薄型のLEDヘッドライトなどによってワイド感を強調
フォグランプベゼルの造形は左右非対称
アッパーグリルは上下2分割
フロントウィンドウは遮音、およびIR/UVカット機能を備える。上部にはホンダ センシング用の単眼カメラが付く
LEDターンランプ付のドアミラー。ミラー鏡面の曇りを除去するヒーテッド機能も標準装備
アンテナはシャークフィンタイプ
リアビューはワイド感を強調する「く」の字型のリアコンビランプが特長的
セダンはトランクスポイラーを装着
トランクリッド左側に車名バッヂが付く
ルーフからフェンダーにかけてのラインはクーペのような印象
LEDヘッドライトの点灯パターン。フロントフォグランプもLEDで、点灯イメージに統一感がある
リアコンビランプの点灯パターン
直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECターボエンジンを横置きで搭載
マフラーエンドは左右2分割
環境仕様表示
ガソリンは無鉛レギュラーガソリン仕様。リッドはプッシュオープンタイプ
16インチアルミホイールを標準装備。タイヤはミシュラン プライマシー3の215/55 R16
インパネはドライバーに向いた面が少なくワイドな印象
ステアリングは本革巻。パドルシフトを備える
ステンレス製スポーツペダルを採用
シフトセレクターはストレート形状。セレクターノブは本革巻
シフトセレクター後方に電子制御パーキングブレーキのスイッチがある
スターターはプッシュボタン式
7インチの大型液晶を中央に配置するメーターパネル。左の水温計、右の燃料計はアナログ固定表示で、発光する指針が上下する形式
新型「シビック」の電源ON~電源OFF時のメーター表示(19秒)
モード選択時の表示
方位計。カーナビで目的地を設定するとゴール方向が表示される
後席シートベルトリマインダー
メンテナンス情報
車両設定
ACCなどをONにすると右上に表示される
標準はオーディオレス(8スピーカー)だが、リアワイドカメラなどは「ナビ装着用スペシャルパッケージ」として標準装備。撮影車両にはスタンダードインターナビ「VXM-175VFi」が装着されていた
フルオートエアコンを採用
ステアリングコラム横のスイッチパネルには安全装備系のスイッチが並ぶ
センターコンソールは2階建てのような構造。下段にはDC12VソケットとUSB端子が並ぶ
上段は収納スペース。スマートフォンなどの充電ケーブルを通したときに下に落ちないよう、切り欠きが用意されている
センターコンソール後方のアームレスト。上部はスライド&後方への跳ね上げ式
収納部の前方にはカップホルダーが並ぶ
アームレストを跳ね上げた状態
後方のカップホルダーは取り外し可能
インパネアッパー部は手触りのいいソフトパッドで、メタル調パネルを加飾として装着
グローブボックス内に見えるスティック状のものはカーナビの通信用ドングル
フロントシートはショルダー部がスリムな形状
運転席ドアトリム
ドアアームレストにドアミラーとパワーウィンドウの操作スイッチをレイアウト。運転席と助手席のウィンドウスイッチはオート機能付き
ポケット前方にトランクリッドのオープナーがある
助手席側のパワーウィンドウスイッチ。こちらにもロック/アンロックのスイッチがある
リアシートの足下は十分な広さを持つ。後席ヒザまわりもフロントシートを薄くすることで、先代から55mmほど広くなっている
中央にアームレストを装備
後席シートバックは6:4分割可倒式でトランクスルーが利用できる
トランク容量はCセグメントトップクラスの519L(VDA法)を確保
トランクスルー時
後席シートバックのロック解除用レバーが左右に備わる
フロア下にはジャッキなどのツール類とパンク修理キットがある

シビック ハッチバック

シビック ハッチバック。撮影車両のボディカラーは「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」

 北米市場では追加モデルとして登場したハッチバック。3ドア、5ドアの違いがあるとはいえ、日本市場としてはセダンよりこちらの方が“シビックらしいモデル”と言えるかもしれない。

 基本骨格をセダンと共有していることもあって、ホイールベースは2700mmと共通。ただ、ボディサイズは4520×1800×1435mm(全長×全幅×全高)となり、全長はリアオーバーハング分で130mm短く、さらにホイールサイズをセダンより2インチ大きな18インチとすることでスポーティなシルエットを演出している。

 エンジンは直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECターボと、一見セダンと同じように思えるが、型式としては「L15C」と別ユニットになる。構造面で大きな違いは、エキゾーストシステム全体をストレートレイアウト化することにより排気流量を拡大していることと、燃料をハイオク仕様としている点。また、組み合わされるトランスミッションもセダンと同じCVTのほかに、6速MTがラインアップされている。

 駆動方式はFF(2WD)のみ。最高出力はCVT車が134kW(182PS)/6000rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpm。6速MT車はターボの過給圧をアップすることで、最高出力は500rpm低い回転数で同様の数値134kW(182PS)をマークするとともに、最大トルクは20Nmアップして240Nm(24.5kgm)/1900-5000rpmと、スポーティなフィーリングを強めたセッティングとなっている。JC08モード燃費はCVT車が18.0km/L、6速MT車が17.4km/L。

 主要装備はセダンと基本的に同様で、ボディカラーはハッチバック専用色となる「フレームレッド」「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」、そのほかセダンと同じ「ホワイトオーキッド・パール」「ルナシルバー・メタリック」「クリスタルブラック・パール」の計5色。

 セダン同様1グレードのみで、価格はCVT車/6速MT車ともに280万440円。セットオプションはレザーインテリア、運転席8ウェイパワーシート、助手席4ウェイパワーシートの組み合わせ。生産は英国 スウィンドン工場。

ハッチバックで採用するリアまわりのウィンドウは、セダンのソフトタイプと異なり色の濃いプライバシータイプになる。リアオーバーハングはセダンより130mm短い
フロントグリルはセダンがクロームなのに対し、ハッチバックはピアノブラック
ボディサイドに付くガーニッシュ類もピアノブラックで統一
アンテナはセダン同様シャークフィンタイプ
ルーフエンド、テールゲートエンドの両方にスポイラーを装着
リアハッチ左側の車名バッヂ
LEDヘッドライトの点灯パターン
リアコンビランプの点灯パターン
直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECターボエンジンを横置きレイアウト。エンジン型式はセダンと異なるが、見た目にはほとんど違いがない
18インチアルミホイールが標準。タイヤはグッドイヤーのイーグル F1で、サイズは235/40 R18
ガソリンは無鉛プレミアム仕様。ハッチバックの給油口はキャップレスタイプ
センターデュアルエキゾーストは見た目にもインパクト大
インテリアはルーフライニングまでブラックにしてスポーティな雰囲気を演出
本革巻ステアリング
メーターパネルには赤いアクセントラインが追加されている
6速MT車のシフトノブ。こちらも本革巻
スイッチ類はセダンと同様
クラッチペダルを備える6速MT車のペダルまわり。こちらもステンレス製スポーツペダルが標準装備
インパネ加飾はカーボン調パネルとなる
プッシュ式スタートスイッチを採用。スマートキーも標準装備
シートはセダンと同様
ドアトリムの加飾もカーボン調パネルを採用する
トランクではなくリアハッチとなるため、オープナーが省略される
リアシートはセダンより35mm前方に設置。セダンよりリアオーバーハングが短い分をカバーして、ハッチバックらしいラゲッジスペースの使いやすさを確保している
格納式のセンターアームレストを装備
ラゲッジスペースを外部の視線から隠すカバーは上下2分割で、リアハッチと車内側の2カ所に付く
室内側の「カーゴエリアカバー」は世界初の横引き機構を採用。取り外してベース部分を左右どちらのサイドにも固定できる
ラゲッジスペースの開口部は最大幅1120mm×高さ960mm。フル乗車時でも420Lの容量を確保
フロア下にパンク修理キットを収納
ラゲッジ左サイドにDC12Vソケットを装備

純正アクセサリー装着車

ホンダアクセスの「エキサイトスポーティ」アクセサリーを装着したシビック ハッチバック

 ホンダ車向けの純正用品をリリースするホンダアクセスからは、ドレスアップ用の各種アイテムが発売される。ハッチバック用には「エキサイトスポーティ」「プレミアムスポーティ」、セダン用には「ブラックスポーティ」「プレミアムスポーティ」のそれぞれ2タイプのスタイルを提唱。インナードアハンドルやドアポケットなどのインテリアイルミネーションが楽しめる、レッドとブルーのイルミネーション製品もラインアップする。

フロントグリルやドアパネル下側など、オレンジ色のアクセントカラーを随所に追加できる
アルミホイール「MS-037」。サイズは18×8Jインセット50mm。切削/ガンパウダーブラック塗装で、こちらにもオレンジの差し色が入る
大型のテールゲートスポイラー
実用性が高いステンレス製のリアバンパープロテクター
オレンジのインテリアパネルで車内のムードを一変
赤いイルミネーション付のステンレス製サイドステップガーニッシュ