レビュー
【ナビレビュー】パナソニック・フロントインフォディスプレイ「CY-DF100D」
発売直前のヘッドアップディスプレイ付きストラーダRを試してみた
(2013/9/17 14:08)
パナソニックのカーナビ、ストラーダRシリーズ専用オプションとして用意されたのが、フロントインフォディスプレイ(FID)「CY-DF100D」だ。10月発売の製品だが、同システムを装着したクルマに少しだけ試乗する機会を得たので、簡単なレビューをお送りしたい。
さて、このFID。名前からだとイマイチどんなモノか分かりづらいかもしれないが、ヘッドアップディスプレイ(HUD)といえば想像できるハズだ。この手のデバイスは自動車メーカーが標準装着するなど以前からポツポツと市場に出てきてはいたものの、残念ながらそれほど広く認知されることはなく、出ては消え出ては消えといった状況が続いていた。
だが、昨年カロッツェリアがサイバーナビ用に「AR HUDユニット」をリリースした後、ケンウッドも対応モデル「MDV-737HUD」を発売するなど、ここへ来てにわかに広がりを見せつつある。
この2社に続く3番目のメーカーとして名乗りを上げたのがパナソニックだ。ハードウェア面から見ると、先行2社がコンバイナー(ディスプレイ部)とプロジェクションユニットを一体化。装着場所をフロントウインドー上部としているのに対し、パナソニックは別体式かつオンダッシュタイプとしているのが大きな相違点。このレイアウトを選んだのは視線移動が少なく安全、そして安心感が高いためとのこと。
システム自体はきわめてコンパクトだ。コンバイナーとプロジェクションユニット、そして座席下などに設置可能なマルチエクスパンドユニットに3分割されることもあって、それぞれがシンプルにまとめられている。このなかでシステムの核となるのがマルチエクスパンドユニットで、ナビ本体から受けたデータを元に専用の画面を描画、プロジェクションユニットに送っている。つまり、コンバイナーは単なるスクリーン、プロジェクションユニットは単なる映写装置となるため、ダッシュボード上に置く装置をコンパクトにまとめることができるワケだ。また、ナビ本体側でデータを作製する必要がないので、余計な負荷を掛けずに済むというメリットもある。
システムを推奨位置にセットした場合、表示は「ドライバーから125cmの位置に約6.5インチのモニターがある」イメージになると事前に説明を受けてからクルマに乗り込む。そして実際にFIDを前にして驚くのは、画面の大きさ云々よりも映像の美しさだ。コンバイナーに映る表示そのもののクオリティが高く、そのクッキリとした映像は見づらさを感じることは一切ナシ。試乗日が曇天だったことを割り引いたとしてもトップクラスの見やすさを持っているといっていい。また、ダッシュボード上にコンバイナーがあるのも見やすさの点では大きなプラスポイント。見通した場合、映像のバックが道路になるため、風景と重なってチラチラして見づらい! なんてことがないのだ。ナビ画面とは別に専用に描かれるという画面の内容も、シンプルながら文字が大きく表示され、また方向を示す矢印がとてもわかりやすい仕上がりだ。
今回の試乗はごく短時間だったので画面のバリエーションは一部しか確認することができなかったけれど、その実力の一片を感じることができた。そんなふうにかなり心を動かされるアイテムではあるものの、若干の注意も必要だ。それはコンバイナーとプロジェクションユニットを装着するために、ダッシュボード上に奥行きとコンバイナーが収まる高さが必要になる、という物理的な制約がある点。メーターフードがラウンドしているクルマは、この点から取り付けしづらいことになる。そこで同社では、Web上でトヨタのプリウスやアルファードなどといった取り付け対応車種を公開している。現在リストアップされているのは確認が取れた車種とのことで、今後も確認作業を続けていくという。気になる向きはチェックしてみるといいだろう。