特別企画

【特別企画】容量無制限、空飛ぶインターネット「JAL SKY Wi-Fi」を使ってみた(前編)

VPN接続で仕事もOK。速度は2M〜4Mbps。たまには5Mbps近くも

空飛ぶインターネット「JAL SKY Wi-Fi」サービスが提供されているJALのボーイング 777-300ER型機。JAL SKY Wi-Fiは、現在は国際線のみのサービスだが、2014年7月からは国内線でのサービス開始が予定されている

 JAL(日本航空)が2012年7月から開始した国際線機内でのインターネット接続サービス「JAL SKY Wi-Fi」。先日、国内線においても2014年7月からの導入が発表され、空のインターネットの本格的な普及が始まろうとしている。すでにサービス中の国際線用「JAL SKY Wi-Fi」を体験してきたので、本記事にてお届けする。

空飛ぶインターネットを利用できる機種は決まっている

空飛ぶインターネットの体験のため、Windows 8.1とMac OS X MavericksをBootCampでデュアル運用している13インチMacBook Air、iOS端末としてiPhone 5s、Android端末としてYOGA TABLETを持ち込んでみた

 JAL SKY Wi-Fiは、パナソニックアビオニクスコーポレーションの衛星接続サービスを利用したWi-Fiサービスで、現在ボーイング 777-300ER型機においてサービスが提供されている。サービスが提供されているボーイング 777-300ER型機の見分け方は簡単で、JALが「新間隔エコノミー」として打ち出している「JAL SKY SUITE 777(スカイスイート トリプルセブン、以下SS7)」仕様とそのベースになった777-300ER(773)の機材であればサービスが受けられる。

 2014年2月現在でJAL SKY Wi-Fiが利用可能な路線は、東京(成田)発着のニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、ジャカルタ線となっており、3月29日までであれば、悪天候時の機材調整などによる機材変更がない限りはサービスを受けられるだろう(3月30日からは、フランクフルト線の復活や羽田発着路線でのサービス開始が予定されている)。JALの国際線予約ページからは、「SS7」または「773」と表示されているのがSKY Wi-Fiを利用可能な機材となる。また、JALはSS7と同様のシートをボーイング 767-300ERに導入したJAL SKY SUITE 767(SS6)の運用も開始しているが、こちらへのWi-Fiサービスは今後としている。これは、SS7が長距離路線に投入されているのに対し、SS6は主にアジアなどの短距離路線になるためと思われる。

●JAL SKY SUITE 777、JAL SKY SUITE 767導入路線
https://www.jal.co.jp/inflight/inter/rosen/

●JAL、快適装備を充実した「スカイスイート767」を12月1日から運航開始
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131129_625665.html

●JAL、5cm拡大した普通席などで快適性を高める「JALスカイネクスト」を5月導入
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140130_633228.html

JAL SKY Wi-Fiサービスのため、ボーイング 777-300ERには衛星通信用のアンテナが搭載されている
ボーイング 777-300ERの搭乗口にはJAL SKY Wi-Fiのマークが
機内にもJAL SKY Wi-Fiのマークが付いていた

 このSKY Wi-Fiでうれしいのは、有料サービスとはなるものの、ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスの全クラスで利用可能なことと、1時間プラン、24時間プランの2種類があるがいずれも容量無制限なこと。料金は1時間プラン11.95ドル、24時間プラン21.95ドルとなるが、JALカードなどであれば割引価格が用意されている(そのほか、JALマイレージのJMBダイヤモンド、JGCプレミア会員であれば、実質無料のキャッシュバックキャンペーンもあり)。

 今回は、JAL SKY Wi-Fiがサービスされている路線のうち、東京(成田)〜ロサンゼルス便(往路:JL062便、復路:JL061便)をとんぼ返りで利用してみた。

快適なインターネット快適を提供するSS7

 ボーイング 777-300ER型機は、現在JALが保有する機材の中で最も大きな飛行機になる。777-300ER型機の機内仕様はW82、W83、W84の3種類あり、W83、W84が、ファーストクラスに「JAL SUITE(スイート)」、ビジネスクラスに「JAL SKY SUITE(スカイスイート)」、プレミアムエコノミーに「JAL SKY PREMIUM(スカイプレミアム)」、エコノミークラスに「JAL SKY WIDER(スカイワイダー)」という仕様のシートを搭載したSS7になる。

●JAL 777-300ER
http://www.jal.co.jp/aircraft/conf/777.html

 ビジネスクラスのフルフラットになるJAL SKY SUITEは、SKYTRAXワールド・エアライン・アワードで「ベストビジネスクラス・エアラインシート」に輝いたほどの素敵なシートだが、今回乗ったのは往路がプレミアムエコノミーで、復路がエコノミー。SKY Wi-Fiは、シートクラスによる速度差のないサービスのため、全クラスの乗客が利用できる。

機内に乗り込む際に見かけたファーストクラスのシート。さすがに広い
こちらはビジネスクラスのシート。ファーストクラス同様フルフラットになる
往路に利用したプレミアムエコノミーのシート。後述するが、やはりエコノミーよりは快適だった
エコノミークラスのシート、スカイワイダー。ワイダーというだけあり、従来のエコノミークラスのシートより快適性は数段上

 機内にWi-Fi接続する機器として持ち込んだのは、アップルの13インチMacBook Air、iOS端末としてアップル iPhone 5s、Android端末として8インチタブレット レノボ YOGA TABLET(以下、ヨガ)、Amazonの電子書籍リーダーKindle Paperwhiteの4台。13インチMacBook Airは、普段からBoot Campで使っており、Windows 8.1とMac OS X Mavericks(10.9.1)をインストールしてある。世の中で多く使われているOSでの接続性を確認してみたかったからだ。

 JL062便は、成田を17時5分に出発し、9時50分にロサンゼルスに到着。9時間45分の所要時間となっている。離陸直後は当然のように電子機器などは使えないが、離陸後15分ほどすると電子機器使用禁止解除のアナウンスが流れる。機内モードにするなどした電子機器が使えるようになったわけだ。

 早速、MacBook AirをWindows 8.1で起動する。前席のポケットに入っている「JAL SKY Wi-Fiご利用ガイド」という冊子をざっと眺めてWebブラウザを立ち上げると、JAL SKY Wi-Fiのポータルサイトが自動的に立ち上がる。早速、手続きを開始したいところだが、ポータルサイトの右上には「衛星接続無し」の赤い表示が。離陸からしばらくの間は衛星を捕まえることができず、インターネット接続が行えない。離陸からおよそ1時間程度経過すると「衛星接続無し」の赤い表示が「衛星接続中」の緑の表示に変わる。インターネットが使えるようになったということだ。

シートポケットには「JAL SKY Wi-Fiご利用ガイド」という冊子が入っている。まずはここで、基本的な接続方法を確認
離陸後、電子機器の使用が許可されたら13インチMacBook AirをWindows 8.1で起動し、最初のワイヤレス接続を行う
Windows 8.1の無線LAN接続メニュー。「Japan Airlines」というアクセスポイントが見える
このアクセスポイントに対して接続を行う
接続し、Webブラウザを立ち上げたところ。自動でJAL SKY Wi-FiのWebサイトが表示される。が、右上には赤く「衛星接続無し」の表示が。機内の無線LANルーターまでは接続できたものの、その先の電波がなく、インターネットにはつなげない状態
離陸後しばらく経つと、「衛星接続無し」なしが緑の「衛星接続中」へと変わる。飛行機と衛星が接続され、インターネット接続のルートが確立された
注意書きを確認・承諾し、インターネットプロバイダーであるT-Mobileとの契約を行っていく

 ここからログイン作業を始めるが、作業そのものは難しくない。画面の指示に従って「1時間プラン」「24時間プラン」のいずれかを選択。9時間超のフライトなので、ここでは24時間プランを選択した。クレジットカード選択画面では、JALカードを持っていたのでJALカードを選択。これで若干の割引が受けられる。その後、画面はドイツの通信会社であるT-Mobileの画面に。名前やクレジットカード情報を登録して、IDとパスワードを得ることができる。これで一定時間の利用権を得たわけだ。

 ログイン画面から先ほどのIDとパスワードでログインすると、無事にインターネットに接続された。T-Mobileの画面には残り時間がカウントダウンされているものの、23時間という表示には十分な安心感がある。

支払い方法のセレクト画面。JALカードだと、10%の割引になる
JALカードを選んでみた。ここで、1時間サービスか24時間サービスか選ぶ。短距離路線でなければ、24時間サービスがお勧め
必要事項を記入して申込み
申込みを終えるとIDとパスワードが発行されるので、入力画面からその2つを入力
インターネット接続が確立された。ログイン画面がカウントダウン画面に切り替わり、24時間からのカウントダウンが始まった

 無事インターネットに接続できたので、Car WatchのWebサイトなどを閲覧、Twitter、FacebookなどさまざまなWebサービスもストレスなく利用できる。規約上利用が制限されているのは、音声通話・ビデオ通話を含むSkypeなどのVoIPサービス。ベストエフォートサービスであり、限られた帯域を乗客全員で利用するためには仕方のないルールだと言える。

 飛行機の中からとくに使ってみたかったのが航空便をリアルタイムに追跡するサービス。「FlightAware」(http://ja.flightaware.com/)や、「flightradar24」(http://www.flightradar24.com/)、「planefinder」(http://planefinder.net/)などがよく知られているサービスになる。FlightAwareでJL062便を検索すると、現在地のほか飛行機の速度や高度が分かる。また、flightradar24であれば、まわりにどんな飛行機が飛んでいるのかも分かる。それだけと言えばそれだけなのだが、使っていて非常に楽しいサービスだ。

Car WatchのWebサイト(http://car.watch.impress.co.jp/)。問題なく普通に見ることができた
JALのWebサイト(http://www.jal.co.jp/)。当たり前だが、こちらも問題ない。JALマイレージバンク会員としてのログインも可能だった
飛行機の中から使ってみたかったflightradar24。自分が乗っているJL062便が表示されている。自機の速度や高度が分かるほか、まわりの航空機の位置なども分かる
飛行機の中でいろいろ調べ物ができるのは便利。これから到着するロサンゼルス空港の情報などをチェック(http://www.lawa.org/welcomelax.aspx
これは、米国版「ぐるなび」とも言える「Yelp」(http://www.yelp.com/)の画面。ロサンゼルスのレストランを探しているところ

 Windows 8.1で、あれこれ試した後、今度はMac OS X Mavericksで接続。すでにアカウントは取得しているので、ログイン画面からIDとパスワードを入力すれば問題なくインターネットに接続できた。

 そこで、今度はiOS7端末であるiPhone 5sで接続。iPhone 5sに表示されたログイン画面からIDとパスワードを入力すれば、やはり問題なくインターネットにつながる。但し、1つのIDで同時に複数の機器を接続することはできない。iPhone 5sでログインすれば、MacBook Airのインターネット接続は切れるし、MacBook Airを接続すればiPhone 5sのインターネット接続は切れる。これを解決するには2つIDを取得すればよいのだが、そうまでして使う人は少ないだろう。

 Android端末であるヨガ、Amazonの電子書籍リーダーKindle Paperwhiteも同様に問題なく接続可能。JAL SKY Wi-Fiで、Webブラウズや書籍の購入などもできた。

スマートフォンなどは電波を発しないよう、機内モードの設定を最初に行う
WindowsやMac OSでの接続は問題なく行えたので、今度はiPhoneで接続してみる。まずはWi-Fi設定からアクセスポイントを検索
「Japan Airlines」というアクセスポイントが見つかるので、そこに接続を試みる
無事接続が確立された
ログイン画面へと移行する
ログイン画面。Windowsで取得したIDとパスワードを入力すれば、インターネットに接続される
もちろんiPhoneからもIDとパスワードの取得は可能。iPhoneの画面は、「1時間」と「フライト」となっていたが、フライトは24時間サービスのことだろう。当然ながら料金も同じ
やはりJALカードでは10%引き
iPhoneのカウントダウン画面
参考までにiPhoneの「衛星接続無し」と「衛星接続中」の画面。表示の方法もPC版と同様だ
こちらは、スマートフォンで見たPC版のCar Watchのページ
FacebookでJALのページ(https://www.facebook.com/jal.japan)も見てみた
これはFacebookで友人の投稿を見たところ
もちろんLINEも使える。但し、LINE経由の音声通話(VoIP)は規約上禁止されている。メッセージやスタンプのやりとりはOK
FlightAwareのiOSアプリ
便名を検索して、現在の飛行機の進み具合を確認
高度の変化も分かる
位置はここ。これは復路での画面だが、到着前30分でも通信は可能だった
flightradar24にもアプリは用意されている。いかに多くの航空機が飛んでいるか分かる
リアルタイムに速度や高度が分かるのはWeb版と同じ
3D画面も表示できるが、海の上を飛んでいるためおもしろさは今ひとつ
航空会社での絞り込みもできる
別のWebサイトと連携して、航空機の詳しいデータを確認することも可能
フライト情報系のアプリ以外にもインターネットを使うことでさまざまな楽しみは広がる。これは電子書籍の「i文庫S」。名作が多数ラインアップされている
iPhone 5sの画面。文字サイズやフォントは変更可能だ
これはAmazonのiOS用Kindleアプリ。JALは国際線仕様のボーイング787でマンガが読める「SKY MANGA(スカイマンガ)」(無料)というサービスを提供しているが、インターネットが使えるSS7であればAmazonから読みたいマンガを購入できる
これは8インチタブレット ヨガの画面。Android端末でもJAL SKY Wi-Fiは快適につながる。iOSのようなログイン時の工夫は必要なかった
インターネットにつながったら、まずCar Watchをチェック
KindleアプリはAndroid用にも提供されている。マンガは画面が大きいほうが読みやすい
これはKindleストアで購入してみた電子書籍「グーグルの72時間[Kindle版]」(100円、インプレスジャパン刊)。画像が中心となるマンガだとダウンロードに若干時間がかかるが、テキスト系の書籍は早く読書可能となる
旅行ガイド本の「ことりっぷ」アプリ。JALは無料ガイド本などを提供している。海外のガイド本はなく、国内のガイド本を取りそろえている。国内線のJAL SKY Wi-Fi利用時には便利に使えそうだ

接続速度は2〜4Mbps出ることも。VPN接続は便利

 接続速度については、iPhone 5sから計測してみた。筆者の使用しているiPhone 5sはソフトバンクモバイルの端末で、あらかじめ成田空港で計測したところ26.38Mbpsのダウンロード速度は出ていた。接続レスポンスともいえるPING値は31ms、まあまあ優秀な値と言えるだろう。機内で数回計測してみた結果は、2〜4Mbpsという値。ベストエフォートサービスのため計測するごとに値は異なるものの、初期のADSLサービス程度の速度は確保されている。PING値は1000msを超えることがほとんどで、httpリクエストを送ってからの反応もやや鈍い感じを受けた。

いくつかのアプリで計測してみたが、ダウンロードは2〜4Mbps程度。たまに5Mbps近い数字が出る
自社にPINGを打ってみたところ。応答速度はやや厳しいことが分かる
一度バッファリングしてから再生されるようなサービスは得意。Youtubeも開始時に少し待たされるが問題なく見ることができた
13インチMacBook Airでフル画面再生したところ

 JAL SKY Wi-Fiは、ビジネスでの利用にも配慮されている。多くのビジネスマンの場合、単にパブリックなインターネットサービスを使うのではなく、VPN(Virtual Private Network)によって社内ネットワークを使うこともあるだろう。Wi-Fiサービスを提供する機器によってはVPNが使えず、社内ネットワークに入れないという事態が発生する。JAL SKY Wi-Fiであれば、VPNも確立できるので社内インフラにアクセスすることも可能だ。筆者もVPNにより社内ネットワークに接続、社内業務をあれこれこなすことができたほか、東京の自分のデスクにあるPCにリモートデスクトップ接続を行って、ノートPCでは負荷の高い作業を行うことができた。ただ、リモートデスクトップ接続については、さくさく画面が転送される感じにはならず、許容範囲という程度。

 ほとんどのインターネットサービスが使えるJAL SKY Wi-Fiだが、インターネットプロパイダーにT-Mobileが使われている関係で、T-Mobileの本社があるドイツのユーザーとして認識されているようだ。これにより問題が起こるのが、海外からのサーバー経由では提供を受けられない、もしくは提供を想定していないサービス。たとえば、大人気のWebブラウザゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」などは海外から接続するとサービスプラットフォームの関係で「このサービスはお住まいの地域からはご利用になれません。」というメッセージが出る。これは、プロパイダーは海外という状態のため、このようなメッセージが出てしまう。

 このような状態を解決するのにもVPNは役立つ。住んでいるのは日本、そして日本に籍のある航空機で、場所は公海上、かつOSレベルで日本にあるVPNサーバーと接続することで、Internet ExplorerやGoogle Chromeなどの一般的なWebブラウザで艦これが起動できるようになる。ただ、実際にプレイしてみたものの艦これはデータ転送量も多く、場面転換などでは待たされることが多い。セットし忘れた遠征を行う程度に使うのがよいだろう。

 さすがにレスポンスを要求されるWebブラウザゲームを楽しむのにはつらいものがあるが、逆に速度的にはかなり出ているので、Youtubeなどバッファリングを行ってから再生するサービスは通常と同様に再生が可能だ。MacBook AirでもiPhoneでも普通に楽しめるのには驚いた。

「L2TP」というのが、筆者が使っている社内VPNサービスの名前。プロトコル名をそのまま安易に付けている。これは人によって違うだろう。問題なく社内ネットワークにログインできた
社内ネットワークの例としてイントラネットの画面を掲載したいところだが、それを掲載するとシステム管理者に怒られるので、東京のオフィスにある自分のPCをリモート操作してみることにした。VPNで同じネットワーク内に存在するため、問題なく接続できる
13インチMacBook Airの中に表示された、東京にあるデスクトップPCの画面。速度はなんとか実用になるかなと言う程度。但し、できるのとできないのは大違いなので、VPNが使えるのはありがたい
VPNの活用例としてWebブラウザゲーム「艦これ」を遊んでみることにした。いつもと同じようにログインしようとすると、海外と判断されログインができない
そこで、会社のVPN(日本の東京にある)に接続してからログインすると無事起動できた。速度はやや遅めのため、遠征を3つセットして終了
ちなみにこちらはストリーミングラジオサービスのiOSアプリ「radiko.jp」。海外のため起動できなかった
地方局のラジオアプリだと地域限定としていないものもある

 唯一トラブルらしいトラブルは、復路にiOS端末でIDとパスワードの発行作業をしたときに、Webブラウザの画面切り替えに長時間かかり次のステップに進めなかったこと。これは、「設定」-「Wi-Fi」にある「Japan Airlines」のプロファイルにある「自動接続」「自動ログイン」の項目をOFFにすることで、次のステップにスムーズに進めるようになった。iOSはバージョンごとにこの辺りの項目が変わることが多く、筆者の場合iOS 7.0.3でこのような症状となっていた。すでにiOSは7.0.6までアップデートされており、SS7の機材によっても振る舞いは異なるのかもしれない。もし、そのような状況になったら、この辺りの設定を変更してみてほしい。

デフォルトでは、「自動接続」「自動ログイン」の項目がONになっている
自動接続や、自動ログインの項目をOFFにすることで、ログイン画面が進むようになる。OSのバージョンにもよると思うので、うまくいかないときは試してみてほしい
おそらくこの2画面構成のログインステップが影響しているような気がするが……。とくにとまどう人の多いログインステップは、まめに検証してほしい部分ではある

エコノミーシートは快適、しかしながらプレミアムエコノミーはもっと快適

 SS7のウリは、このJAL SKY Wi-Fiサービスが行われていることと、シートが新世代のものへと進化していること。エコノミークラスのスカイワイダーは、シート間隔を31インチ(約79cm)から最大34インチ(約86cm)へと最大約7cm拡大。シートバックの約3cmのスリム化と合わせて、約10cm足下空間を拡大したほか、シート幅も約2cm拡大されている。足下空間の拡大も嬉しい部分だが、席の足下(4席なら3つ、3席なら2つ)にAC110V/60Hz(最大75W)電源が用意されているし、各席に1つUSB充電ポートが用意されている。筆者のようにあれこれガジェットを持ち込むユーザーとしては、何よりも嬉しかった点だ。

 国際線航空機の楽しみの1つであるエンターテイメントシステムも、タッチパネル式10.6インチモニターとなっていた。映画や音楽、航空機の位置などが表示できる多機能なものだが、正直、JAL SKY Wi-Fiがあるためほとんど使うことはなかった。離陸1時間後から、着陸30分ほど前までWi-Fiサービスが使えると、寝ている時間が足りないくらいだった。通常はもてあましてしまうだろう機内の時間を、仕事や趣味、そして遠征(艦これ)など有効に使うことができた。

エコノミークラスのシートであるスカイワイダー
足下の空間イメージ写真。最大約10cmの余裕が生まれているという
SS7のエンターテイメントシステムは最新のMAGIC-V
テーブルを開いてみたところ
13インチMacBook Airを乗せてみたところ。ちょうどテーブルの大きさと同じくらい
ノートPCを開くとこのような感じ。さすがに13インチPCだと狭く感じる
そのような場合は、タブレットPCかスマートフォンが便利。テーブルの空きスペースも十分

 肝心のシートだが、エコノミークラスのスカイワイダーは、約10時間のフライトを十分快適に過ごせるものだった。これまでのJALのエコノミーシートからすると本当に快適だ。すべての機体に導入してほしいくらいのできとなっている。そして、さらに快適なのはプレミアムエコノミーのスカイプレミアム。こちらはシート間隔が最大42インチ(約107cm)と、エコノミーと比べて文字どおり桁が違う。電源もAC110V、USBポートとも各座席に1つずつ装備され、隣の人を気にすることもない。また、テーブルもA4サイズのPC以上の大きさを持ち、エコノミークラスよりも楽に作業をこなせるだろう。

往路で乗ったプレミアムエコノミーのスカイプレミアム。復路で乗ったエコノミークラスよりさすがに上級なシートだった(乗り比べてよさがよく分かった)
13インチMacBook Airをテーブルに乗せてみたところ。エコノミークラスよりも余裕があることが分かるだろう
さすがのプレミアムエコノミー。テーブルが大きいのはとてもうれしい
SS7ではすべての席にUSB充電ポートや、ビデオ入力端子がそなえられている
iPod classicを使ってビデオをMAGIC-Vの画面で見たところ。iPhone 5sなどではHDMI出力になっているため、このようなことはできない。IT機器の進化のスピードは速く、航空機会社の装備担当はいろいろ悩ましいところだろう
とはいえ、エンターテイメントシステムも進化している。タッチパネルでさまざまな操作ができるMAGIC-V
現在地表示や、高度、速度の表示もできる
復路でのワンカット。単冠湾近くで、艦これを起動してみた。ただ、そういう写真が撮りたかっただけだ

 そして、ビジネスクラスは……と書きたいところだが、乗降の際に一目見ただけで「あ、フルフラットってよさそうだな」と思えるほどのもの。ビジネスクラスからは食事のグレードも上がるので、ビジネスクラスを必要とする場合は、そちらを選ぶとよいだろう。

JAL SKY Wi-Fiがあれば航空機の中から仕事の打ち合わせも可能。これはテックライターでもある笠原一輝氏とメール中のスクリーンショット。さすがテックライターだけあり、仕事を兼ねたテストメールだったことに感づいたようだ

 1つ言えるのは、JAL SKY Wi-Fiは有料サービスであるものの、どのクラスの乗客でも等しく同じサービスを受けることができ、その容量も無制限だ。1つのIDで複数台の端末を同時につなぐことはできないが、高空を800km/h以上で移動する乗り物で、これだけのインターネットサービスが受けられるのは感動だ。JAL SKY Wi-Fiは、2014年7月から国内線にも拡大されるので、ぜひ乗る機会を見つけて、容量無制限の空のインターネットサービスをお楽しみいただきたい。

 後編では、SS7を運行するJALと、SS7の通信機材を担当するパナソニックアビオニクスコーポレーションへのインタビュー記事をお届けする。

●【特別企画】容量無制限、空飛ぶインターネット「JAL SKY Wi-Fi」を使ってみた(後編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20140303_637173.html

(編集部:谷川 潔)