日下部保雄の悠悠閑閑

大空に描かれた花

T-4練習機、オープニングを終わって帰ってきたところ

 航空自衛隊浜松基地で開催されたエアフェスタ浜松2023に行った。昨年はDS 4の素晴らしいサスペンションを堪能しつつ浜松までのツーリングは快適だった。今年は新幹線での移動を選んだ。共通点はKYBのショックアブソーバーぐらいかな。

 新幹線では車内販売が10月いっぱいで終わってしまうので、温かいコーヒーとあの硬いスジャータアイスクリームを買った。新幹線の楽しみの1つだっただけに寂しい。人手不足とコスト削減が要因だが、旅の楽しみと利便性の両方を失ってしまうのは残念だ。

 何度も書くがブルーインパルスには思い入れがある。コロナ禍で東京が沈んでいたとき、医療従事者を励ますために東京上空を飛んだ感動は今も強く心に残っている。自在に空を飛ぶ姿にそれまでの重い空気から解放されたようだった。

 浜松でのブルーインパルス、午前中は雲が多くて青空では見られないかなと思っていたが次第に晴れてきた。

 エアフェスタ浜松2023はT-4とT-400(基本操縦練習機)の2機の練習機が繰り広げる機動飛行でのオープニング。

 次にU-125A救難捜索機とUH-60J救難ヘリによる連携したデモンストレーション。脱出したパイロットからの信号を受信したU-125A救難機がUH-60Jを誘導し、救難隊員がロープで釣り上げるというメニューだが、今年はさらに磨きがかかっているように感じた。安定したホバリングは見事で、着陸してからグイと素早く方向転換する様子は意外でビックリ。

U-125A(MU-2の発展型の救難機)とともに遭難者を救助するUH-60J。遭難者を収容して帰隊する

 E-767はボーイング767をベースにした早期警戒管制機。背中に大きな円盤を背負っているのでよく目立つ。航空自衛隊だけが運用している機体で背中の円盤、ロートドームがグルグル回っているのを見るのは初めてだ。戦闘機と組み合わせて強力な防衛システムが築けるという。大きな機体が身近で軽々と旋回する姿も迫力がある。

E-767は背中に背負った巨大なロートドームが特徴。管制機でF-15とともに強力な防空体制を築く

 さらに遠方から轟音とともにやってきたF-2支援戦闘機とF-15戦闘機は迫力がある。F-2は獰猛な感じを受けたのがそうだったらしい。音のためか上空を飛び、さらに高速だけに点を追うだけで精いっぱい。

F-15戦闘機。力強く上昇していく
F-2支援戦闘機。対艦ミサイルを搭載して肉薄するという

 さていよいよブルーインパルスの登場、6機で編隊離陸する。F-15に比べるとビックリするほど音が静かだった。

 軽々と舞い上がったT-4の編隊は方向を変えて消えたかと思うと低空で通過、急上昇を繰り返し、1機のまわりをグルグル旋回するコークスクリューや編隊宙返り、背面飛行。さらに一気に上昇したかと思うと花が開くように散開するさまは豪快だ。

急上昇した5機が散開。大きな花のようだった

 大空にハートを描き矢で射貫くのはブルーインパルスのオリジナルという。どれも重力を無視した飛行は時間を忘れて見とれた。群青色の空に白い機体が舞うのは本当に美しい。

 それぞれのアクロバット飛行には名称がついており、次にどの形にするのかは隊長判断で行なうという。知れば知るほど見事な飛行技術だ。

太陽を背にしたブルーインパルスの編隊飛行

 渋滞を予想して少し早めに基地を離れようと決めていたが、結局渋滞に巻き込まれた。でも、アー爽快、爽快!

 翌日から首が痛くなりました。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。