日下部保雄の悠悠閑閑
ジオランダー A/T4 G018と空気圧
2024年4月29日 00:00
タイヤメーカーはいずれもオフロード用タイヤのブランドがある。例えばブリヂストンはDUELER、ダンロップはGRANDTREK、横浜ゴムはGEOLANDARだ。海外メーカーではピレリのScorpionが知られ、ミシュランはブランドを分けてBFGoodrichが担当する。いずれもいかにも強そうなブランド名でオフロードをイメージしやすい。
これらのオフロードタイヤはシリーズに泥濘用からオンロード志向まで多くのバリエーションをそろえる。オープンパターンが多くライフサイクルが長いのもクロスカントリー車と同じだ。
横浜ゴムのGEOLADARのA/T G015がモデルチェンジしてG018になったタイミングなので少し紹介する。AT(オールテレーン)は凍結を除きどの路面でも対応できるという守備範囲の広いオフロードタイヤでリプレイス用として広く使われている。
G015のパターンはエッジを効かせるためにブロックにもストレートグルーブを含む溝が多かった。一方、G018はG015を少しオフロードよりに振ったG016(X-AT)のテイストを入れたダイナミックなパターンとなった。G016はブロックが大きいことから剛性が高く、オフロードではトラクションも強い。G018はオンロードでの荒れた路面でもしなやかで乗り心地も柔らかい印象だ。タイヤも10%ほど軽く、燃費にも優しい。またG015と比較すると接地形状がショルダー部まで広げられており、トラクションは十分だ。
またG018のハンドリングはオフ/オンを問わず穏やかでジワリとグリップする感触でトライトンやハイラックスのようなピックアップトラックからRAV4まで一貫して共通する印象だった。
オフロードでの特徴はパターンをトラクション方向にエッジを効かせて、サイプも3D構造でちぎれなどの摩耗に対応しており、オフロード試乗で周回を重ねた後の摩耗も綺麗だった。
オンロードでのパターンノイズも意外と小さいのはパターン配列の成果だ。またすべてのサイズで凍結路以外のスノー性能を確保するスノーフレークマークを取得しており、その性能もG015に比較してかなりレベルアップしているという。このクラスには4WDが多いのでまさに全天候型だ。
試乗したのは乗用車用では見慣れないLT表示。タイヤ規格はJATMA(日本自動車タイヤ協会)か欧州のETRTO(European Tyre and Rim Technical Organization)がメジャーだが、北米はTRA(Tyre andRim Association)でパッセンジャー用タイヤはPがサイズ表示の前に付き、小型トラック用はLTと表示されるため、今回のG018は北米規格で開発されたことが分かる。
で、小型トラック用は乗用車よりも重いことや、積載時の負荷にも耐えられる必要があり、タイヤが頑丈に作られる。乗用車用の構造では特に表示されてないことが多いが3~4プライぐらい。これがLTになると6~10プライと頑丈になって、空気圧もこれに合わせて高く設定されている。今回のG018でも試乗車は330kPaとPCで見慣れた目ではギョとするような数字だがタイヤを安全に使うための適正空気圧で、同じサイズのPCよりは50kPaぐらい高い空気圧を必要としている。つまりPC規格なら270kPa前後ぐらいの空気圧になるが、実際にはクルマの使用条件などで適性空気圧は変わってくる。
もう1つ重要なのはロードインデックス。タイヤが許容できる最大質量を示し、速度の許容レンジ、SとかZの記号の前の付けられる数字だ。89Vとか72Hなどと表示されている数字で、ミニバンにサイズだけ見て装着するとロードインデックスが不足してしまうこともあるので注意。
以前にエスティマに履いたタイヤがしっくりこないと思ったらロードインデックスがわずかに不足していた。確認選択のミスだった。その後ミニバン用タイヤのRV2(今はRV3に進化している)に履き替えたらビックリするほど収まりがよかった。ロードインデックスへの認識不足です。
タイヤについてのお話でした。