イベントレポート

【CES 2019】ステレオカメラ向け新技術、高精度路面認識でサスコントロールする日立オートモティブシステムズのクルマに乗ってみた

2019年1月6日~7日(現地時間) プレスカンファレンス

2019年1月8日~11日(現地時間) 一般公開

日立オートモティブシステムズの「細かな路面形状を高精度に検知可能な車載用ステレオカメラ向けの技術」搭載車。市販車を改造している

 日立オートモティブシステムズは1月7日、「細かな路面形状を高精度に検知可能な車載用ステレオカメラ向けの技術」を発表した。この新技術は車載用ステレオカメラを使うことで得られる精度の高い情報をもとに、路面の状態を認識。盛り上がったバンプ、穴の開いたホールなどに対応してサスペンション制御を行なうというものだ。

 この技術を搭載したクルマを、米ラスベガスで開催されている「CES 2019」に出展。同乗試乗する機会を得たので、ここにお届けする。

 搭載されたサスペンション制御は、1輪1輪独立して行ない、バンプやホールを車輪が通過する時刻を正確に予測することで、非制御のときと比べて衝撃(加速度)を軽減する。この際に、盛り上がったバンプを通過するときは柔らかい方向へ制御し、凹んだホールを通過するときは固い方向へと制御する。固い方向へと制御するのは、サスペンションが伸びないようにして、タイヤが穴に落ち込まないようにということだ。

各種モニタが並んだ室内
路面に開いた穴、つまりホールを再現。浅いように見えるが、システムOFFで通過時には強いショックが発生した

 日立オートモティブシステムズのスタッフによると、アメリカではこのようなバンプやホールがある道が多く存在するという。とくに、ホールにタイヤが落ちるとパンクなどの危険性もあり、安全・安心の観点から有効なシステムであるとする。

 このように、路面状況が読めるようになったのは、現在市販車に搭載されている車載用ステレオカメラからさらに解像度を上げ、処理内容も変更しているためという。

 実際にこの新システム搭載車の後席に乗り、特設のミニコースをシステムONとOFFで同乗走行したが、体感でもはっきりと分かるほどの違いは出ている。それどころか、バンプにおいては激しく衝撃が来るため、そもそもクルマのほうが大丈夫だろうかという心配もあった。この強烈な衝撃が緩和されるため、非常に有効なシステムだと実感することができた。

日立オートモティブシステムズの新システム搭載車の同乗走行映像。モニタに検出結果や加速度などが表示された

 ドライバーによっては、両輪が通過するようなバンプを通過する場合、事前に少しブレーキをかけて前輪のサスペンションを縮め、通過直前に緩めてサスペンションの伸びを誘発、後輪通過時にほんの少しブレーキをかけ(もしくはアクセルを緩め)て、後輪のサスペンションを伸ばすなど、荷重移動を使って対応している人もいるだろう。このシステムがあれば、そのようなテクニックを使わなくてもよいし、片輪が落ちるホールに対しても有効に対処できる。認識の問題、通過速度の問題などは、実走で解決すべきところだろうが、市販車への搭載が非常に楽しみなシステムだ。

編集部:谷川 潔