イベントレポート
横浜ゴム、ダイハツ「コペン」向けに「フィン付きタイヤ」市販化 SUPER GTで鍛えた技術を市場投入
2023年10月28日 07:35
フィン付きタイヤ アドバン A50 市販投入
横浜ゴムは、「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)に出展。SUPER GTで鍛えた技術を市販タイヤに投入した「フィン付きタイヤ」を展示したほか、剛性をコントロールするコンセプトタイヤ、EV向けタイヤ、AIを使ったタイヤ開発など、先進技術を紹介した。
2024年の市販化が予定されている「フィン付きタイヤ アドバン A50」は、かねてからSUPER GTなどでテストが行なわれていたもの。タイヤの側面にフィンを付けることで、エアロダイナミクスを使って、クルマの空気の流れをコントロールすることができる。フィンの角度や数などにより、タイヤの転がり抵抗を減らしたり、ダウンフォースを付けたりなどが可能で、今回は乱流発生を低減することで操縦安定性の向上を獲得しているという。
ただ、このフィン付きタイヤの難点は、クルマにマッチした開発を行なう必要があること。フィンでエアロダイナミクスコントロールを行なうことから、クルマのボディ形状に合わせた開発が必要で、同じ形状でのマルチサイズ展開が厳しいとのこと。
そのため、2024年に投入されるフィン付きタイヤは、165/50 R16の1サイズ。こだわりのユーザーの多い、ダイハツ「コペン」に対応したもののみとなる。逆にコペンユーザーからすれば、完全なオーダーメイドタイヤとも言える製品になるので、ある意味とてもありがたいタイヤになる。
フィンは2組6箇所に設けられており、高さ3mm計12本のフィンでエアロダイナミクスコントロールを実現。近づいてみると分かるが、高度な金型や成形を成し遂げており、横浜ゴムの技術力の高さを感じられるものとなっている。
タイヤの剛性を電気でコントロール
横浜ゴムブースでは、そのほか2024年に欧州で発売を予定しているEV向けタイヤも展示。こちらはアドバン V107パターンを採用しつつ、タイヤをEVへ向け最適化。EV向けタイヤでは静かさなどが求められるが、V107パターンの優れた静粛性が活かされた形だ。
将来技術としては、電気で特性の変わる素材をタイヤの構造材に投入。タイヤを柔らかくしたり、硬くしたりといったことを電子コントロールできる。具体的には、滑りやすい路面が現われたら柔らかくしてグリップを上げ、通常路面では硬くして燃費を向上させるといった使い方が可能になる。アダプティブにグリップコントロールや乗り心地、車高コントールが可能なことから、側面から車両が突然来た際に衝突ポイントを計算、車高をコントロールすることで車両の一番丈夫な箇所をコンタクトポイントにするなどのアイデアがあるという。
また、横浜ゴムは構造解析などに多数のコンピュータを導入しており、AIによる試験サポートも作り上げているとのこと。AI処理はクラウドで行なう場合が多いが、横浜ゴムは自社でAIコンピュータを用意。それで演算を行ない、社内のテスト開発に役立ているとのことだった。