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ベントレー、608PS/900Nmの6.0リッターW12エンジン搭載の新型SUV「ベンテイガ」日本初公開

「コンチネンタル」「フライングスパー」に次ぐベントレー主力モデル

2016年6月9日 開催

 ベントレーモーターズジャパンは6月9日、都内でプレス発表会を開催して新型SUV「Bentayga(ベンテイガ)」を日本初公開した。ベンテイガはすでに正規販売店での受注を開始しており、2016年第4四半期から順次デリバリーする予定。価格は2695万円で、初年度の導入予定は約80台としている。

日本初公開されたベントレー「Bentayga(ベンテイガ)」とベントレーモーターズジャパン 代表 ティム・マッキンレイ氏
壇上に置かれたベンテイガは、スモークが垂れ込めたなかでアンベールされる演出で日本初公開された
日本初公開に合わせて日本仕様のボディサイズも公表された。ベンテイガ日本仕様は、ボディサイズが5150×1995×1755mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2995mm、車両重量が2530kgとなる

ベントレーモーターズジャパン 代表 ティム・マッキンレイ氏

 発表会では、まずベントレーモーターズジャパン 代表のティム・マッキンレイ氏が登壇してスピーチを実施。このなかでマッキンレイ氏は、「ベンテイガはすべてのお客さまの個性を反映できる、本当に特別でラグジュアリーな経験をご提供できます。これはとても類い希なことです。『エクストラオーディナリー(類い希)』という言葉はベントレーのブランドを言い表わした言葉で、私たちの歴史はエクストラオーディナリーです。そして私たちのお客さまも、私たちのクルマもエクストラオーディナリーなのです。私たちが広範囲に渡って行なったリサーチによると、ベントレーは新しいラグジュアリーセグメントを作り出し、定義したと言えます。また、私たちはお客さまに、成熟したSUV市場に一石を投じる予想外の感動をご提供することになります。それが、世界で最初の『ラグジュアリーSUV』です」とベンテイガとベントレーブランドについて紹介。

 また、「私たちがSUVを造ると宣言して以来、世界中のお客さまとメディアが私たちの旅路を非常に近くで見守ってくれました。ベンテイガの開発プログラムは、ベントレーの歴史のなかで最も広範囲にわたるものです。ベンテイガは南アフリカの砂地やほこりのなかでテストが行なわれました。また、イギリスのぬかるみや-40℃に達する北極圏、日中は50℃を超えることもある中東、アリゾナの地でもテストが繰り返されました。ベンテイガはどんな環境においても、真のベントレーのドライビングエクスペリエンスをもたらします。それはどんなところにでも行ける能力と毎日の実用性、そして、道がある限り永遠に感じることができるラグジュアリー性を伴ったものです」と語り、ベントレーブランドで初めてのSUVとなるこのクルマながら、過酷な環境化でテストを重ねて走破性や環境対応力を磨き、かつベントレーモデルとしてのラグジュアリーさも兼ね備えていることを紹介。

「ベンテイガは最もパワフルで、最もラグジュアリーで、最もサスティナブルなSUVです。最高速は301km/hを誇り、SUVとしては最速であります。このクルマはクルーにある本社でデザイン、設計され、手作業で製造されました。『モダンブリティッシュラグジュアリーの代表』と言っても過言ではないでしょう」とも述べ、高い商品性を備えていることをアピールした。

ベントレーモーターズジャパン マーケティング・PRマネージャー 横倉典氏

 マッキンレイ氏のスピーチに続き、ベントレーモーターズジャパン マーケティング・PRマネージャーの横倉典氏が具体的なベンテイガの商品解説を実施。また、このなかで横倉氏は「ベントレーは2012年のジュネーブモーターショーでSUVのコンセプトカー『EXP 9F』を発表しました。その斬新なデザインに衝撃を受けた方もいることでしょう。当時、ベントレーがSUVを造るという発表は、世界中の多くの人から好意的に受け入れられました。世界各国でデザインクリニックを実施し、昨年のフランクフルトモーターショーでベンテイガとして正式にデビューいたしました」と、コンセプトカーとして発表したEXP 9Fがベンテイガのベースになっていることを紹介。

「ベントレーはこのSUV開発に際して最初に行なったことは、今までの先入観を捨てるということでした。すなわち『果たしてベントレーにSUVが造れるのだろうか』という考えです。私たちは新しい目で世界を見ることに決めました。ベンテイガは、乗る人を新たな環境に連れて行く『力を与えるクルマ』です。そしてそれは、緯度や経度ということだけではなく、精神的な、気持ちの面まで含めたものです。ベントレーはラグジュアリー性、スポーツ性能、オフロード性能、そして実用性まで妥協なく融合させたクルマであることをベンテイガに求めました。それはかつて、コンチネンタルGTが、未開のラグジュアリークーペセグメントを開拓したように、これまでの常識を打ち破るラグジュアリーなSUVセグメントを創り出すということへの挑戦でした」と、ベンテイガが新たなセグメントを開拓するという高い要求を受けて生み出されたモデルであることを語った。

 このほかに横倉氏は、ベンテイガの車名の由来について解説。この車名は複数の意味合いから生み出された造語であるとして、1つはスペイン領のカナリア諸島にある岩山「Roque Bentayga」、もう1つはロシアの針葉樹林である「TAIGA」で、これによって過酷な岩山から酷寒のツンドラ地帯まで、世界中のあらゆる道を走破できるベントレーであることを表現しているという。

 また、ベントレーのラインアップモデルで、「コンチネンタル」が世界で最もスタイリッシュなグランドツアラー、「フライングスパー」が世界で最も優れたラグジュアリーセダン、「ミュルザンヌ」が比類のないラグジュアリーをそれぞれ追究しているとして、ベンテイガは、個性的で優美、パワフルな真のラグジュアリーSUVを目指したモデルであるとして、今後のベントレービジネスで重要な役割を担うことを期待していると述べた。

ベンテイガの前身となったのはコンセプトカーのEXP 9F。丸形ヘッドライトが片側1灯から2灯になるといった変更が行なわれている
車名はカナリア諸島の岩山「Roque Bentayga」、ロシアの針葉樹林「TAIGA」から生み出された造語
ベンテイガのエクステリアに与えられたデザイン要件
ボディ構造ではベントレーモデルとして初めてアルミモノコックボディを採用。従来のスチールボディと比較して236kg軽量化している
リアシートは3人掛けのほか、センターコンソールを備える2人掛けを設定。これにより、乗車定員は5人、または4人となる
ラゲッジスペースに全車標準装備されるディバイダーは、後方にスライドさせて展開させると、簡易的なベンチとしてレジャーシーンなどで利用できる
6.0リッターのW型12気筒ツインターボエンジンはベンテイガ向けに再設計されたまったく新しいエンジン。ツインスクロールターボをバンクごとに1基設定しており、最高出力447kW(608PS)/5250-6000rpm、最大トルク900Nm/1250-4500rpmを発生。軽量化や気筒休止機構、アイドリングストップなどのによって環境性能も高めている
センターコンソールに備えたダイヤルで8種類のドライブモードを統合制御する「ドライブダイナミクスコントロール」を採用。左側の4モードで主にオンロードを、右側の4モードで主にオフロードを担当して走行設定を最適化する
3km/h~60km/hのあいだで任意の速度を指定して坂道を下っていける「ヒルディセントコントロール」を標準装備
「マルチモードエアサスペンション」は、通常状態から走行用にアップとダウンそれぞれに2段階に車高調整が可能。さらに後輪側だけを75mm下げて乗降や荷物の乗せ降ろしを楽にするアクセスモードも用意されている
世界初となる「48V電気式アンチロールバー」で4輪を制御。背が高く重いボディのロールを抑制して高速走行時の車両安定性を高め、オフロードでの走破性も確保できるほか、ラグジュアリーSUVとしての卓越した快適性もしっかりと提供する
センサーとカメラを使ったADAS(先進運転支援システム)も多彩に用意。自動操舵によるパークアシストなども備える
ボディカラーは108色。インテリアでもシート表皮や内装色、加飾パネルなどを多彩に組み合わせてオーナーのリクエストに応える
タイヤは285/45 R21のピレリ製オールシーズンタイヤ「スコーピオンヴェルデ」のほか、サマータイヤのP-ZEROもオプション選択可能。オフロードシーンに対応する20インチサイズ、オンロードシーンに対応する22インチサイズも用意されている
オプションは多彩に用意されており、ブライトリングが特別に製作した機械式アナログ時計は車載の巻き上げ機構をセット。パッケージオプションの「ツーリングスペック」「オールテレインスペック」などはすべてを盛り込むこともできる
ベンテイガ日本仕様の主要諸元の一部。アウディ「Q7」やポルシェ「カイエン」よりもコンパクトであることをアピール
2016年度は82台の日本導入を予定。年間を通じて供給できる2017年度以降は、さらなる販売台数の増加を期待しているという
新型SUVのベンテイガ
丸目2灯タイプのヘッドライトは、外側の中心部にポップアップ式のヘッドライトウォッシャーを内蔵、フロントマスクの常時見える部分に不要なものを使わない工夫とのこと
シャープなリアフェンダーラインも外観デザインのポイント
リアコンビネーションランプやフロントフェンダーのエアアウトレットなどにベントレーのBをモチーフにした造形を採用
標準タイヤは21インチのオールシーズンタイヤだが、オンロードのグリップ力を重視したP-ZEROもオプション設定。アルミホイールはナットを敢えて見せることでSUVとしての力強さを表現している
W型エンジンは同じ12気筒のV型と比較して24%ほど全長を短くでき、レイアウトの自由度が高いことも採用理由の1つ。片バンクの1基のツインスクロールターボを備えるツインターボ
ラゲッジスペース容量は430L。リアシートの背もたれを6:4分割で前方に倒して拡大可能
全車に備えるディバイダーは、簡易的なベンチとしても利用可能
レザー表皮は12色、ウッドパネルは7タイプから選択可能。インパネとシートで異なるカラーを選ぶこともできる
最高速が301km/hということで、300km/hオーバーのスピードメーターを採用。燃料タンク容量は85L
トランスミッションはZF製の8速AT
「ドライブダイナミクスコントロール」のダイヤル。中央がエンジンスタートのボタンになっている
「マルチモードエアサスペンション」のアクセスモードはラゲッジスペース側面のスイッチでも操作可能
大型フットレストを備え、ペダルのメタルカバーにはゴム製の滑り止めを設定
細かい3列のローレット加工が施されたエアコンのアウトレット
センターコンソールに8インチのタッチスクリーンによるインフォテイメントシステムを標準装備
ダッシュボード中央にアナログ時計を設置
レザーシートの肩口や座面両サイドなどの負荷がかかりやすい部分にキルティング加工を施して、乗り心地を損なうことなく耐久性を高めている
運転席のパワーシート操作パネル
リアシートの座面側面のレバーでシートバックの前倒しやリクライニングを操作する
パワーシートは、シートバックや座面のサイドサポートを上下に可動させてサポート性を調節できる
ドアトリムにもウッドパネルやレザーを使用
プレス発表会ではベンテイガをイメージして作られたオリジナルカクテルも登場。ミントとライムを使ったもので、これまでベントレーは「ブリティッシュレーシンググリーン」と呼ばれる濃いグリーンをイメージカラーとして使ってきたが、現在では若年層にもアピールしていくため、ライトグリーンもコミュニケーションカラーとして使っている。さりげなくアピールするため、会場内にはライトグリーンをあしらったミニフラッグや観葉植物なども置かれていた