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トヨタの人工知能研究会社「TRI」、ベンチャー投資を行なうベンチャーキャピタルファンドを1億ドルを投じて設立

「人工知能」「ロボティクス」「自動運転・モビリティサービス」「データ・クラウド技術」の4分野のベンチャー企業へ投資

2017年7月11日(現地時間)発表

Toyota Research Institute CEO ギル・プラット氏

 米国にあるトヨタ自動車の人工知能研究会社「Toyota Research Institute」(TRI)は7月11日(現地時間)、ベンチャー企業への投資を目的としたベンチャーキャピタルファンドを1億ドルを投じて設立すると発表した。

 このファンドは、TRIが設立する新会社「Toyota AI Ventures」が運営。「人工知能」「ロボティクス」「自動運転・モビリティサービス」「データ・クラウド技術」の4分野で、設立から間もない有望ベンチャー企業への投資を行なう。

 また、TRI本社で助言やサポートを提供することを通じて、選り抜きのベンチャー企業の育成支援も企図しており、ベンチャー企業を指向する優秀な人材とも協力する機会を得ることができると考えているとのこと。

 ファンドの運営は、TRIの研究開発業務から分離した投資知識や経験の豊富な専属マネジメントチームが、リスクやリターンを伴うベンチャー企業投資における意思決定を行ない、投資先候補から様々な提案を受けて投資先を決定するだけでなく、自ら研究開発における重要な課題を特定し、解決を図るための起業を支援する投資モデルも模索していくとしている。

 なお、すでにTRIが実施している投資で、事故防止に向けドライバーの運転行動や道路環境をモニタリングし、運転行動の向上などにつなげるシステムを企業向けに提供する「Nauto」、自動運転車やドローンなどの技術が周辺地図情報、位置情報を生成するためのアルゴリズムを開発する「SLAMcore」、一人暮らしの高齢者等が自宅にいながら家族や友人と交流できるロボット「ElliQ」などを開発する「Intuition Robotics」の3社に対しては投資を引き継ぎ、今後さらなる投資先を検討していく。

 TRI CEOのギル・プラット氏は「トヨタの歴史は、1930年代には織機から自動車事業に進出し、90年代には初代プリウスにより世界初の量産ハイブリッド乗用車を実現したほか、今後も自動運転・モビリティやパートナーロボットを実用化していくなど、その時代の常識を覆す技術革新の連続だといえる。TRIの研究が拡大していく中で、今こそ、世界トップの起業家精神にあふれた優秀な人材との連携を拡大することが極めて重要だと認識している。『人々の暮らしを豊かにしたい』。TRIは、トヨタと目標を共にするベンチャー起業家のこうした志を実現すべく尽力しており、今回のファンドの設立は、その重要な一歩である」とコメント。

 TRIのデータ・事業開発担当バイス・プレジデントで、今回設立したファンドのマネージング・ダイレクターに就任するジム・アドラー氏は、「TRIだけで全てを解決しようとするのではなく、多くの革新的な技術を生み出すベンチャー企業の成功を後押ししたいと考えている。起業家が抱える課題の一つに、適切な商品を適切な市場に向けて開発できているのかを判断する難しさがあるが、私たちはそうした課題の解決を手助けできると考えている。彼らが成功することで私たちも成功できるのであり、起業家のニーズに合った形で支援できるよう取り組んでいきたい」とコメントしている。