FCA ジャパンは10月31日、ジープブランドの新型コンパクトSUV「コンパス」の発表会を開催した。
12月2日に発売となる新型コンパスは3グレードが用意され、エントリーグレードの「Sport」が323万円、ブラックルーフが標準装備される「Longitude」が351万円、上級グレードの「Limited」が419万円となる。ボディサイズは4400×1810×1640mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2635mmで従来モデルより全長が75mm短くなっている。
搭載されるエンジンは全モデル共通で、最高出力129kW(175PS)/6400rpm、最大トルク229Nm(23.4kgm)/3900rpmを発生する直列4気筒 2.4リッターマルチエアエンジンとなり、トランスミッションは前輪を駆動するSportとLongitudeには6速ATが、4輪を駆動するLimitedには9速ATがそれぞれ組み合わされる。
また、Limitedをベースに「デュアルペインパノラミックサンルーフ」「パワーリフトゲート」の通常だと27万円分のメーカーオプションを標準装備する「ローンチエディション」も設定され、価格はベースモデルより10万円高の429万円となる。ボディカラーは「ブリリアントブラッククリスタル」「ヴォーカルホワイト」を設定し、販売台数はそれぞれ50台の計100台限定。
最高出力129kW(175PS)/6400rpm、最大トルク229Nm(23.4kgm)/3900rpmを発生する直列4気筒 2.4リッターマルチエアエンジンを搭載。組み合わせるトランスミッションは、2WD(FF)モデルでは6速AT、4WDモデルでは9速ATとなる 特徴的なデザインのLEDヘッドライトは、7スロットグリルと一体化したデザイン フロントウィンドウ内側やフロントバンパーにカメラを設置 グレードごとにホイールとタイヤのサイズが異なり、Limitedでは225/55 R18を装着 発表会では、FCA ジャパン マーケティング本部 プロダクトマネージャーの渡邊由紀氏がSUV市場やコンパスの概要について説明。続いて、FCA US ジープ コンパスエクステリア・デザインマネージャーのクリス・ピシテリ氏がコンパスのデザインについてプレゼンテーションを実施した。
FCA ジャパン株式会社 マーケティング本部 プロダクトマネージャー 渡邊由紀氏 渡邊氏は、日本における輸入車のSUVの販売に関して、コンパクトSUVセグメントの占める割合がSUV全体のマーケットに比べて比率が大きいと説明。今回投入されるコンパスはこのコンパクトSUVのセグメントに属しており、渡邊氏いわく「ポテンシャルあるセグメントへの投入になる」とのこと。
SUVセグメントの販売予測について。1990年代半ばに日本に第1次SUVブームが到来。また、2013年~2014年にかけて第2のSUVブームが到来し、今後もマーケットに定着していくことが予想されている 輸入車のSUVセグメントの販売予測について。コンパクトSUVセグメントの占める割合が大きい ジープの日本における販売について。2009年は年間998台の販売台数で、2016年は年間9388台の販売台数を記録。今年はさらにそれを上まわる予想 2007年に日本に導入されて今年で10年目となる「ラングラー」が販売台数を牽引 販売ネットワークの拡充について。2010年に比べ、2017年は約1.5倍に販売店舗数が拡大。今後も販売ネットワークは拡大をしていく予定 2016年から店舗デザインにブラックとウッドを基調とした新しいCIを導入。内装はブラックのフローリングに明るい白を基調としている。このCIは2018年末までに約80%の店舗に展開していく予定 コンパスは世界100カ国以上の国で販売されるグローバルモデルで、さまざまなニーズに応えるため、世界4カ国に生産工場を置いている 初期品質評価比較では、日本向けの仕様を生産しているインドの工場がもっともクオリティが高いということが証明された また、渡邊氏は「ジープを今まで乗って乗っていらっしゃる方、これから乗ろうと思われている方は、ライフスタイルがアクティブな方が多くいらっしゃいます。キャンプに行かれたり、アウトドアに行かれたり、荷物をたくさん積めるということは重要なポイントです」と述べ、コンパスの走行性能や安全性、ユーティリティについての説明を行なった。
パワートレーンについて。トランスミッションは6速ATはアイシン製、9速ATはZF製となる Limitedには「ジープ アクティブドライブ」を採用。「レネゲード」と同じアーキテクチャーを少し引き延ばした「スモールワイド4×4アーキテクチャー」に、天候や路面状況に合わせて4つのモードを切り替えられる「セレクテレインシステム」を搭載。AUTOでは2WDと4WDの切り替えがドライバーの介入なしにシームレスに行なうことができるようになり、燃費の向上にも貢献する フロントとリアに「FSDショック・アブソーバー」を採用 サスペンションは前後ともにマクファーソンストラット式の4輪独立懸架を採用。フロントのホイールアーティキレーションを最大17cm、リアは20cm拡大することでコーナリング性能の向上やジープならではのオフロード走行に対応 ボディ剛性について。高張力スチールの使用率を約70%に高め構造接着剤を多用することで、車両の運動性能や衝突安全性能を高めている 車線逸脱警報やアダプティブ クルーズコントロール(STOP&GO機能付)、前面衝突警報(クラッシュミティゲーション付)、ParkSense縦列/並列パークアシストなど、合計約70点の安全装備を設定している 第4世代の「Uconnectシステム」を全車に標準装備。8.4インチ型のタッチスクリーンパネルを搭載したヘッドユニットをパナソニック製に変更し、先代と比較してレスポンスの速さや画像の表示などが改善されている。また、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応 ラゲッジルームでは3段階に調節できるフロアボードを採用して荷物を多く積めるようにしたほか、助手席のシートを上げるとシートの中にも荷物を積めるように工夫されている 最後に渡邊氏は、「新型コンパスは、コミュニケーションターゲットを30台半ばの男女に設定させていただきました。30台半ばといいますと、例えば結婚を考えたり、転職を考えたり、出産を考えたり、そういう悩める人生の転換期にあると思います。コンパスはまさに羅針盤として、その人のやりたい道へ導いてくれる。そういった思いを込めて“人生のコンパスになる”といった言葉を、今後伝えていきます」と締めくくった。
続けて、FCA US ジープ コンパスエクステリア・デザインマネージャーのクリス・ピシテリ氏がコンパスのデザインについてプレゼンテーション。
FCA US ジープ コンパスエクステリア・デザインマネージャー クリス・ピシテリ氏 最初に、「ジープファミリーのデザインを理解するにあたって、毎年アメリカの南西部のユタ州モアブで開催される1週間のイベント『イースター・ジープ・サファリ』に参加し、ジープを所有している何万人ものユーザーと交流を行ない、実際のユーザーと1対1で対話をして、どのようにジープを使っているのかなどの理解を深める重要な機会としている」とデザインを行なう上での取り組みについて紹介。
コンパスのデザインについてピシテリ氏は、「ジープ最小の『レネゲード』と大型の『チェロキー』の中間となる、全長4400mmというCセグメントのコンパクトSUVということがあり、インテリアやラゲッジのスペースを効率的に使うとともに、グランドチェロキーに代表されるようなプレミアム感も実現しようとしたことがメイン」と説明。
コンパスのエクステリアは、駐車場などの広い場所で遠くからでもジープだと分かるようなデザインとしてトリムラインを導入。サイドミラーから窓を沿ってリアへ行き着く途切れのない1本のラインにより、視線が下の方に誘導されることで、力強さや保護というイメージを表現 1941年以降に導入された台形のホイールアーチで、力強さや能力、実力というものを示ししている ボディサイドでは力強さ、筋肉質な形、シンプルさを表現するために、数本の横に走るラインとそのラインの間に余裕を持たせるような曲線のデザインを採用 7スロットグリルは1つ1つ独立したスロットを黒で縁取りして際立たせるとともに、瞳をイメージした“心のあるマシン”というテーマのヘッドライトと一体性を持たせることで、視線を下に寄せて広がり感を出している 戦闘機をモチーフにして、初期のデザインイメージを作成 インテリアでも台形のモチーフやラインの間を曲線で繋ぐデザインを採用して共通のテーマを持たせている 乗員が触れる部分に柔らかい素材を採用し、コンソールやシートアームレストなどに手縫いの技法を用いてプレミアム感を創出 エクステリアとインテリアに共通したデザインモチーフも ピシテリ氏は、「これらは最終的にデザインの中に集結して、とてもプレミアムな感触がある小型車をつくることができた」と話した。