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スバルのモータースポーツファンが恵比寿に集結。「SUBARU 2018 モータースポーツファンミーティング」レポート

SUPER GT、ニュル24時間レース、全日本ラリー、86/BRZレースの参戦ドライバー&監督が一堂に会す

2018年3月11日 開催

 3月11日、スバルは東京 恵比寿にある本社ショールーム「SUBARU STAR SQUARE」で「SUBARU 2018 モータースポーツファンミーティング」を開催した。2018年シーズンを戦うスバルのモータースポーツ参戦マシン7台が展示された会場には、事前申込による抽選で当選した150名のファンが集まり、監督やドライバーたちとの交流を楽しんだ。

2018年シーズンを戦うスバルのモータースポーツ参戦マシン7台が会場に展示された(BRZ GT300のみショーカー)。2017年の全日本ラリーシリーズチャンピオン・勝田範彦選手のトロフィーも展示された
抽選で参加したラッキーなファンは150人
参加者に手渡された応援フラッグ

 イベントの冒頭、STI(スバルテクニカインターナショナル)の代表取締役社長である平川良夫氏は、ちょうど60年前(1958年)の3月に「スバル 360」が発売され、STIが30年前(1988年)の4月に誕生した大切な節目の時期に、モータースポーツを通じてスバルとユーザーの絆が深まればとの想いでこのイベントを開催したと語った。

 平川氏の挨拶後、今シーズンのスバルモータースポーツ新体制が発表され、以下の9名が登壇した。

スバルテクニカインターナショナル株式会社 代表取締役社長 平川良夫氏

・渋谷真 SUPER GT300クラス総監督
・辰己英治 ニュルブルクリンク24時間レース(以下 NBR24H)総監督
・井口卓人選手(SUPER GT300クラス、NBR24H、86/BRZ Race)
・山内英輝選手(SUPER GT300クラス、NBR24H)
・新井敏弘選手(全日本ラリー選手権)
・鎌田卓麻選手(全日本ラリー選手権)
・勝田範彦選手(全日本ラリー選手権)
・久保凛太郎選手(86/BRZ Race)
・池島実紅選手(86/BRZ Race)

 監督・ドライバー各々のプロフィール等の紹介後にはトークセッションが行なわれ、今シーズンの展望や目標が語られた。また、選手たちが素顔で交わす自由すぎるトークには会場が大いに湧き、終始笑顔の絶えないトークセッションとなった。

イベント当日は娘さんの誕生日だったというSUPER GT300クラス総監督 渋谷真氏
「初めて同性に対して惚れたのはセバスチャン・ローブだった」と何故か会場で告白したニュルブルクリンク24時間レース 総監督 辰己英治氏

SUPER GT/ニュルブルクリンク24時間レース(井口選手/山内選手)

SUPER GT/ニュルブルクリンク24時間レースのドライバーを務める井口卓人選手(左)と山内英輝選手(右)は大の仲よし。サーキットへも1台のクルマでいつも一緒に向かうそうだ

 2017年シーズンに苦戦を強いられたSUPER GTにおいて、井口選手は開幕戦や最終戦など寒い時期のレースでポイントが取れない状況を克服するのがカギだと語り、渋谷総監督はコーナリングスピードに勝るものの加速性能や最高速で劣るBRZ GT300がストレートで置いていかれる状況を払拭すべく、エンジンのさらなる燃焼効率の向上と空力性能の改善に取り組んでいる現状を説明。苦手だったツインリンクもてぎでのテストでは大幅なタイムアップを果たしていると報告した。

 また、ニュルブクリンク24時間レースでは、2017年までただ1人の日本人ドライバーとしてマシン開発を担ってきた山内選手に加え、SUPER GTにおいてもコンビを組む井口選手が参戦する。山内選手自身、今まで1人で判断して何かを決めなければならない状況に不安を感じることもあったと語るものの、「今年は井口選手がいるから大丈夫」と述べるとともに、今年のマシンは9分を切るラップタイムが出るのではないかと開発の順調さをファンに報告した。

 SUPER GTの総監督を務める渋谷氏は、4回勝っている辰己監督、2回の優勝経験を持ち勝ち方を知っている山内選手、7回目の参戦とすでにベテランの領域に入っている井口選手の組み合わせで、今年は5回目の優勝ができるのではないかとチームに期待を寄せた。

富士スピードウェイで行なわれたNBR参戦マシンのシェイクダウンの様子を、映像を見ながら解説した

全日本ラリー選手権(新井選手/勝田選手/鎌田選手)

長年スバルのマシンで全日本ラリーのトップ争いを演じてきた新井選手(左)、勝田選手(中央)、鎌田選手(右)。2017年シーズンは勝田選手がシリーズを制した

 全日本ラリーの最上位クラスでトップ争いを続ける3選手のトークショーは、さながらお笑いライブ。会場の大スクリーンに映し出されるスペシャルステージを走るラリーカーの車載映像を見ながらその裏側を解説。運転しながらよく喋るという新井選手の車載映像ではピー音で消されている部分もあるが、そこでは「チキショウ!」とか「コノヤロー!」などと感情をぶつけていることが多いそうだ。それに対し、勝田選手は「あぶねぇ~」とか「あ~~~」とか情けない声を発しながら走り、鎌田選手は無言で黙々と走ると三者三様の運転スタイル(?)を明かした。また、新井選手と鎌田選手のコ・ドライバーは英語、勝田選手のコ・ドライバーは日本語でペースノートを読むことに触れ、勝田選手は「英語で『CAUTION!』とか言われてもピンとこないんですよ」と笑ったが、実はWRCでも母国語でやりとりする選手が多いそうで、ラリーにまつわるさまざまな話を披露した。

 スバルのファンイベントの特徴なのか、会場にはラリー観戦経験者も多く、終始笑いに包まれながらも会話に散りばめられた興味深いトップドライバーならではの話は充実したものであった。日本人ただ1人のFIAワールドシリーズチャンピオン経験者である新井選手は、海外のファンは仲間とBBQをしながらだったり、家族連れでだったりとさまざまなスタイルで観戦していることに触れ、日本のファンにももっともっと気軽にラリー会場に足を運んでラリー観戦を楽しんでほしいとトークを締めた。

日本のトップラリースト3人組は映像を見ながらベテランらしい爆笑トークが炸裂

86/BRZレース(久保選手/池島選手/井口選手)

今シーズンの86/BRZレースをBRZで戦う久保選手(左)、池島選手(中央)、井口選手(右)

 スバル BRZ、トヨタ 86のみで行なわれるワンメイクレースに参戦するのは井口選手、久保選手、池島選手の3名。例えば富士スピードウェイなら10周というスプリントレースゆえ、スタートからフィニッシュまで高い集中力を維持しなければならない大変さを語る久保選手だったが、このレースで唯一BRZに優勝をもたらした経験を持つ井口選手から「でも(そんな短期決戦のスプリントレースでも)僕は頑張っているんですけど……」と久保選手に対して厳しいツッコミ。レースではアグレッシブな走りを見せる久保選手だが、この仲よしスバルドライバー軍団のなかでは完全なイジられキャラ。トークショーの最初から最後まで厳しい先輩方から愛のあるツッコミを受け会場を沸かせた。

 軍団の紅一点・池島選手も、完全イコールコンディションのワンメイクレースの戦い方に慣れてきたようで、今は走るのが楽しいとコメント。また、井口選手は「SUPER GTで戦っているときはピリピリしていることも多く、ファンの方がピットなどに近寄りがたいこともあるけど、86/BRZレースはファンとドライバーの距離も近い。SUPER GTなどに参戦しているトップドライバーも多いので、サーキットに足を運んで僕らのチームのテントにも遊びにきてほしい」と語った。

久保選手をイジる井口選手、へこむ久保選手、ウケる紅一点の池島選手のトークショー

 楽しいトークの後、14時45分から1分間、選手、関係者、来場者全員が東日本大震災の被災者に黙祷を捧げた。7年前の3月11日は、あの大震災が起こった日なのだ。

 黙とうの後、休憩時間を挟んでステージでは後半のプログラムが開始。スタートはSUBARU BRZ GT GALS「BREEZE」の新メンバーの紹介と、新ユニフォームの発表が行なわれた。また、SUPER GTの毎レース用意されているSUBARUファンシートの紹介や、参加者特典としてプレゼントされるファンシートグッズの2018年バージョンも披露された。なお、SUPER GT開幕戦は4月7日~8日に岡山国際サーキットで行なわれる。

2018年のSUBARU BRZ GT GALS「BREEZE」
腰に配されたSTIエンブレムは市販車に装着されているものそのもの
SUBARUファンシートグッズ2018年モデル(キャップ)
SUBARUファンシートグッズ2018年モデル(フラッグ)
SUBARUファンシートグッズ2018年モデル(トートバッグ)

 そのほかSUPER GT、全日本ラリー、86/BRZレースをスバル車で戦う本イベント参加ドライバーを応援するWebコミュニティ「スバコミ」が行なうSUBARU MOTORSPORT応援プロジェクトの紹介、来場者とドライバーや監督が一緒にアトラクションを楽しむSUBARUドライバーズチャレンジ、参加ドライバーや監督が個々に持ち寄ったグッズを抽選でファンにプレゼントするSUBARUグッズ抽選会、全員での記念写真を撮影するなど、後半はファンとチームや選手を直接結ぶプログラム中心の構成となっていた。

2017年シーズンのSUBARU MOTORSPORT応援プロジェクトの応援フラッグを紹介
今年のNBR参戦マシンに応援プロジェクトマネージャーの井元氏がステッカーを張り込み、応援宣言を行なった。なお、会場に集まった全ての車両がこのステッカーとともに今シーズンを戦う
ゴルフパターゲームをはじめ、3種のゲームや参加ドライバーや監督が個々に持ち寄ったグッズを抽選でファンにプレゼントするSUBARUグッズ抽選会など、ファン参加型のプログラムが用意された。辰己監督からのプレゼントは、かつてNBRの実戦で使用したチームウエア
カテゴリーを超え、ドライバー同士の連携が強くファンとの一体感も強いのがスバルモータースポーツの特徴の1つだ
イベント開始前に書き込まれたファンからのメッセージを読む選手たち

 ドライバー同士が仲よく、しかもファンとの距離が近く、ドライバーとファンが一体となってチームを構成しているようなスバルらしい雰囲気で笑いに包まれながら行なわれたイベントは、選手や監督とファンの握手会で幕を閉じた。