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【インタビュー】新型車両「NSX GT3」でSUPER GTに参戦するModulo Drago CORSEチーム

1発よりも安定してタイムを刻めるクルマ作りを目指している

2018年3月17日~18日 開催

Modulo KENWOOD NSX GT3

 今シーズンから新型車両「NSX GT3」を駆ってSUPER GTのGT300クラスに新規参入するModulo Drago CORSEチーム。1月末の富士スピードウェイでのシェイクダウン、2月~3月に行なわれた合同テストなどに参加し、マシンの熟成を図ってきたが、3月17日~18日に行なわれた公式テストに参加して、4月7日~8日に予定されている岡山国際サーキットでの開幕戦に向けてのセッティング作業などを進めた。

 本レポートでは3月18日にModulo Drago CORSEチームのピットで行なわれた道上龍選手、大津弘樹選手、チョン・ヨンフン監督による記者会見の模様をお届けする。なお、岡山の公式テストでは初日(レポートは別記事)がGT300の17位、2日目(レポートは別記事)が19位という結果だった。

公式テストを走行するModulo KENWOOD NSX GT3

1発よりもレースで安定したタイムを刻める車両作りを目指していると道上選手

左から大津弘樹選手、道上龍選手、チョン・ヨンフン監督

――シェイクダウン、メーカーテストと終わり、今この公式テストですが、ここまでの感想を

道上選手:富士スピードウェイでのシェイクダウン(その時の模様は別記事で)、岡山、鈴鹿でのメーカーテストをこなしてきて、今回の公式テストだが、クルマとしてはわるくなく、特にトラブルもなく走れている。SUPER GTのレースは長いので、それを考えた場合にはトラブルが起きないクルマであることが大事なのでそれはよかった。ミッドシップなのでリアタイヤへの摩耗は出たりしている。レースを長くなると結果を左右するポイントになる可能性がある。そこでヨコハマタイヤさんと協力して、NSX GT3に合うタイヤを見つけているところになる。セッティングからも来ますけど、他にも内圧などを合わせこんでいる段階。ヨコハマタイヤさんからは他のミッドシップ車両の状況を聞いたり、どのレンジのタイヤがいいのかを試行錯誤している。ミッドシップなのでリアはすぐに暖まるのだが、フロントの方はなかなか熱が入らずそこが課題になっており、ウォームアップなどが他車に比べて難しい状況。今後気温が暖まってくれば差が縮まってくるとは思うが、今はクルマやドライバー側の工夫でなんとかできないかとトライしている。

――ルーキーテストは無事すんだのか?(筆者注:2000年のGT500チャンピオンがルーキーテストというのもおかしな話なのだが、3年シリーズを離れていた場合にはルーキーテストを受けなければならないという規定があり、ドライバーとしては2013年までSUPER GTに参戦していた道上選手はこの規定によりルーキーテストをこの岡山で受けることになった)

道上選手:先ほど終わった。

チョン・ヨンフン監督:2人とも合格だったが、運営の方からはルーキーテストなのにパッシングしていたと言われた(笑)。

道上選手:安定して走らないといけないと聞いていたので、ばらつきがあってはいけないと思って……(笑)。

――大津選手はルーキーテストはどうだったか?

大津選手:自分のイメージは外から見ているレースだったので、そんなに気を遣わないでもGT500に抜いてもらったりが可能だった。それによるタイムの落ちもあまりなかったし、ルーキーテスト中もタイムの落ちがなく安定して走れた。

――道上選手は初めてのGT300だが、SUPER GTでは長い経験がある。ここまでの感想をお願いしたい

道上選手:スポンサー様をはじめいろいろな皆さんのご協力があって戻ってくることができた。チームを始めると決めてからここまで時間があったようで短かった。このままのペースで1年があっという間に過ぎるのかなというのはある。今年のシーズンオフはこの新しいチームをどのように軌道に乗せるかばかりを考えてきた。本当に遊びに行く暇もなくて、いつ車両がガレージに到着するのかをわくわくしながら過ごしてきた。

――BOPの変更で最低地上高が10mm上がったと聞いたが?

チョン監督:その通りだ。セッティングがやり直しになり、BOPに合わせたセットを鈴鹿に持ち込んだ。鈴鹿はこのあいだ初めて走ったのでそれがどれぐらい影響しているかは分からない。車高が上がったり、重量が重くなったりしている分があるので、予選1発よりはレースでどれだけ長持ちするかにフォーカスして進めている。

――道上選手は久々のSUPER GT参戦になる、GT300を初めて走った感想は?

道上選手:GT300を走るのは初めてだけど、レベルは非常に高い。車種も多くて、それぞれの特性が全く違っていて、現状自分たちがどこにいるのかはなかなか把握するのは難しいが、上位の方にいるとは思っていない。だが、テストをするごとにレベルは上がってきており、開幕戦に合わせ込めればいいと思っている。1発の速さももちろん大事なのだけど、SUPER GTでは長い距離を走りきったときにどの順位かが重要なレースで、それを大事にしたクルマ作りを行なっている。また、タイヤマネージメントやタイヤチョイスでも変わってきてしまうので、その対応も大事だ。特に後半の追い上げなども重要になるので、それらを見据えたレースセットアップをきっちりやっていきたい。このため、前半から安定して上位に食い込める走りができたらいいと考えている。ハンデのない開幕の結果がいいとシーズン最後まで調子がよいということもあるので、岡山の開幕戦はもちろん意識している。今年からステップアップしてきた大津選手も、F3のような車重が軽いクルマからSUPER GTのような重たいクルマに乗り換えたのに普通に乗りこなせている。彼のコメントも、クルマに求めるところもほぼ一緒なので、問題はない。クルマも本当に、1つ1つレベルが上がっていっている。

――大津選手はGT500との絡みにはもう慣れたか?

大津選手:後ろからGT500が来る感覚は、走っているうちに慣れてつかめてきた。ただ、アウトラップでGT500とGT300がどれだけ詰まるかは予測しながら走らないといけない。どちらかと言うと、まともにクリアラップをとれないことがイライラする。すっきりとした気持ちで走ることができないから……。ただ、それがSUPER GTなので慣れないといけない。テストを始めた当初は悩みもあったが、道上選手とロガーで比べて大きな差はないと分かったので自信になった。1発は出せるのだが、欲を出すとフォーミュラの時の癖が出てきてしまうので、そういうのは修正しないといけないと考えている。実際、ルーキーテストでも道上選手はフラットに走れているのに、自分はタイムがばらついているところがあった。そこはしっかり学ばないといけないと考えており、毎回が成長につながっている。

――今後の課題は?

道上選手:給油テストなどはまだやっていないので、富士では本格的にレースシミュレーションを兼ねたテストをやるので、その中でやっていかないといけないと考えている。

Modulo Drago CORSEチームのピット
左から道上龍選手、大津弘樹選手、チョン・ヨンフン監督