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京セラとGLM、「人とくるまのテクノロジー展」で初公開する「コンセプトカー」説明会

プロスト vs セナの1989年F1日本GPを再現したいと京セラの稲垣氏

2018年5月22日 開催

京セラ株式会社 執行役員上席 研究開発本部長の稲垣正祥氏(左)、GLM株式会社 COO 田中智久氏(右)

 京セラは5月22日、「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」(会期:5月23日~25日)で一般初公開する同社のコンセプトカーに関する説明会を実施。説明会に京セラ 執行役員上席 研究開発本部長の稲垣正祥氏、GLM COO 田中智久氏が出席してプロジェクトの狙いを話した。

 今回、京セラブースにはEV(電気自動車)スポーツカー「トミーカイラZZ」に同社製デバイスを搭載したコンセプトカーが展示される。同車両には、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)に向けた高精細なカメラや液晶ディスプレイのほか、セラミック技術を応用した超薄型スピーカー「ピエゾスピーカー」、シートやエアコンには電流で冷却・加熱の温度制御が可能な半導体素子「ペルチェ素子」を用いた温度調整装置など、京セラ独自の12種類のデバイスやシステム、素材を実装した。

京セラ株式会社 執行役員上席 研究開発本部長の稲垣正祥氏

 説明会で稲垣氏は、京セラグループではさまざまな自動車向け製品を展開しており、自動車向け世界シェアNo.1製品としてディーゼルエンジンに採用されるピエゾスタック、セラミックグロープラグ、ヘッドライト・デイライトLED用セラミックパッケージ、タンタルコンデンサなどをラインアップしていることを紹介。

 今回の協業について、稲垣氏は「(さまざまなデバイスを)クルマに搭載する過程でいろいろな問題が生じるので、それは両社のエンジニアが一緒になって解決した。自動車メーカーが求めるスペックを満たして製品を納品するのとは違う、われわれが経験することのない世界がある。また、実際に運転を体験することによって初めて気付くこともあり、非常に学ぶことが多くエンジニアの人材育成にも役立っている」と自社技術の提案力を高めるための取り組みであると語るとともに、「自動運転に向けたデバイスの開発は活発にやっている。今回は12種類のデバイスを搭載したコンセプトカーとなっているが、第2弾、第3弾をやっていきたい。開発中のデバイスをどんどん搭載して新しい驚きを提案していきたい」と今後の展望を示した。

京セラグループではさまざまな自動車向け製品
京セラのリソースを組み合わせてADASの進化に向けた研究開発を進めている
コンセプトカーを紹介するビデオ
コンセプトカーについてのスライド
GLM COO 田中智久氏

 一方、GLMの田中氏からは、現在GLMでは「完成車事業」と「プラットフォーム事業」を展開していることを紹介。プラットフォーム事業では、自動車開発ソリューションを提供して顧客のものづくりにおける課題を解決することを行なっており、今回の京セラとの協業では、搭載デバイスが機能を果たしユーザーが快適に使用できるよう内装デザインを考案。そして、デザインに合わせた内装設計やデバイス搭載位置確保、ハーネス設計などを実施。さらに、設計に合わせた車両部品の取り付け、デバイス実搭載、動作確認などを行なって、実走行時の動作検証を実行したことを紹介した。

現在GLMでは「完成車事業」と「プラットフォーム事業」を展開している
京セラとのプロジェクトで実施したこと
GLM COO 田中智久氏

 このプラットフォーム事業について、田中氏は「今回のプロジェクトで大事に感じたのは、モノづくりの時間を分かち合うこと。トライ&エラーをしながら実際にモノづくりを進めていくことが重要であることを感じた。今回京セラ様のご要望の1つに“自動車開発がどういうものか知りたい”という要望があり、お互いのエンジニアが相互に時間を分かち合いながら、自動車開発がどういったものかそれぞれの目線で確認し合うことが重要であった。プラットフォーム事業は、自動車開発ソリューションを提供してお客さまのものづくりにおける課題を解決することと申し上げていますが、これは一方向でなく双方向なもので、こういったことを展開していきたい」と話した。

京セラ株式会社 執行役員上席 研究開発本部長の稲垣正祥氏

 このプロジェクトの将来的な展開について稲垣氏は、東京へ向かう新幹線の中で想像した“妄想”と前置きしつつ、「アラン・プロストとアイルトン・セナの対決があった1989年のF1日本グランプリを再現したい」と明かし、同GPでプロストとセナがシケインで接触して、2人ともコースアウトしたことを紹介。

 稲垣氏は「全天頂衛星による高精度なポジショニングと、バーチャルリアリティのHUDを使って、フロントウィンドウにプロストを映して、自分がセナになってシケインでプロストと接触せずに交せるのか、実際に鈴鹿で運転して体験できるというもの。これは技術的にはかなり確率の高いもので鈴鹿で実現できるかどうかが問題となってくるが……」と話し、「まったくビジネスにはならないが、テクノロジーの可能性を示せることと、やっている私達は寝食を忘れるくらい楽しいはず、そういった想像をたくましくしてやっていきたい」と、その考えを示した。

「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」に出展する技術

「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」に出展する技術
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高品質・高耐久の通信モジュール
アンテナ回路一体型ミリ波レーダー用基板
ヘッドアップディスプレイ用高性能液晶ディスプレイ
カメラLiDARフュージョンセンサー
コンセプトカーに採用されたeミラー