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【人とくるまのテクノロジー展 2018】シミュレーターやサイドeミラー、高精度ロケータなど自動運転向け技術をピックアップ
京セラの高精度LiDAR、Valeoの次世代LiDARなど世界初公開
2018年5月24日 00:00
- 2018年5月23日~25日 開催
- 入場料:無料(登録制)
5月23日~25日まで、パシフィコ横浜・展示ホールで自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」が開催されている。ここでは、数ある展示の中から、自動運転やIoTに関わる国内外の企業のブースをピックアップした。
自動運転向けのステアリングを展示するZFジャパン
ZFジャパンは、自動運転レベル3を想定した自動車用マルチファンクションステアリングを参考出品。自動運転レベル3では自動運転と手動運転の切り替えが発生することから、その切り替えにドライバーが違和感なく気付き、スムーズに手動運転に復帰できるようにする工夫が盛り込まれている。
ステアリング上部には、自動運転中から手動運転に移行する際にそれが分かるようインジケーターを設け、ステアリング中央部では現在のシステムの状態を視認できるようにしている。また、ステアリング下部にはシフトボタンを用意し、ハンドルから手を離さずにシフト操作が可能。背面のパドルシフト付近はイルミネーションで演出するなど、遊び心も取り入れている。あくまでも参考出品のため、このデザイン・機能のままで市場に登場する可能性は低いが、自動運転時代のステアリングのあり方についても今後議論の的になることは間違いないだろう。
自動運転の賢さを“試せる”デンソーのシミュレーション
デンソーは、周囲の交通状況を勘案して協調行動をとる自動運転アルゴリズムを披露。3D CGで再現されたドライビングシミュレーターの形で展示され、来場者が本線上にいるクルマを運転し、自動運転車がその車列に割り込んでくる状況で、自動運転車の挙動を観察できる。
例えば、ドライバーである来場者が前車と十分な車間距離をとれば、その間に自動運転車がゆっくり車線変更してくる。しかし、割り込めないように車間を詰めると、自動運転車も無理に割り込もうとせず、やり過ごして後方に回り込もうとする。このとき、自動運転車の進行しようとしている方向が矢印で表され、複数の進路候補が表示されたり、衝突リスクの高さに応じて色分け表示。これにより、自動運転車の判断の仕方が理解しやすくなっている。
トラフィックの先読みにつながる「高精度ロケータ」を展示する三菱電機
三菱電機は、自動運転に必須とされる現在地推定に用いる「高精度ロケータ」を展示。GPSをはじめとするGNSS(全球測位衛星システム)を活用し、誤差0.25mの精度で車両の位置を推定。国内ではゼンリンなどのHDマップデータを、海外ではHEREのHDマップデータを内蔵メモリに格納し、走行中のレーンを識別できるレベルの精度を実現する。走行して得られた実際の道路形状などのデータをモバイルネットワーク経由でクラウドサーバーに送信することで、車両位置や道路・交通状況の確認、情報更新をリアルタイムで行なうこともできるようになっている。
これを応用することで、運送会社などではドライバーに効率的に走行できるルートをレーン単位で指示できるほか、ドライバー自身が前方の交通状況を容易に把握できる仕組みも構築可能になるとしている。すでに一部の事業者にはサンプル出荷を始めており、2020年頃から量産を開始する計画。
「サイドeミラー」と、世界最高レベルの精度を誇るLiDARを展示する京セラ
京セラのブースでは、従来のサイドミラーの代わりに小型カメラを採用した「サイドeミラー」が注目を集めていた。ドア部分に埋め込まれたディスプレイで左右後方の状況を確認できるだけでなく、下方向を撮影するカメラでサラウンドビューも実現している。
同社はさらに、世界初公開となる高精度LiDARも披露。レーザー光を用いた通常の仕組みのLiDARによるセンシングデータと、カメラの映像を組み合わせるフュージョンセンサーで、0.05度という分解能を達成した。従来のLiDARのみの場合だと、高さおよそ30cm以下の物体は認識できない課題があったが、同社の新しいフュージョンセンサーでは15cm以下、場合によっては数cmの高さの物体も識別できるという。分解能の高さを活かして、車両については200m先まで、人間サイズであれば80m程度先までであれば検知可能になるとのこと。2022年から2023年を目処に量産を開始したいとしている。
Valeoは次世代LiDAR「Valeo SCALA Gen2」を世界初公開
Valeoは、次世代のLiDAR製品「Valeo SCALA Gen2」を世界初公開。2017年から量産している従来の「Gen 1」に比べて、高さ方向の視野角が3.2度から10度へと約3倍に、ビーム数も4から16へと4倍に増加し、認識範囲と精度を高めた。左右方向の視野角は従来通りの140度以上を維持して、車両、人、自転車などの物体検知に加え、道路標示の認識などにも広く活用できる。
また、これとは別に4つのカメラによる360度サラウンドビューで周囲の物体の認識、方向検知を実現する「AI 3D 認知技術」、ステアリング周辺に設置する車内カメラを用いた操作用インターフェース「3D ジェスチャーユーザーインターフェース」なども展示している。
車両の走行状況をリアルタイムで監視するHKSのIoTデバイス
HKSは、車両の位置や挙動をクラウド経由で監視できるようにするIoTデバイスなどを出品。GPSで車両の位置や走行経路などの情報を記録し、国内の大手3キャリアの4Gネットワークを介して専用のクラウドサーバーにデータ送信する。このデータを分析することで車両位置の特定や状態の監視などを行なえるようになるというもの。また、デバイスをタッチすることで信号を送信する「eコール」機能を備え、例えばトラブル発生時にSOSを発信するなど、導入した企業が独自に機能を割り当てることができる仕組みにもなっている。
乗用車に搭載する非防水のモデルと、工事現場の特殊車両などに搭載する防水モデルを用意。すでに2社と協力して検証を行なっており、2018年9月ごろには量産を開始する。
これとは別に、2輪向けのドライブレコーダー型デバイスもモックアップを展示している。こちらは水平方向に360度の視野角をもつカメラで周囲を常時撮影し、内蔵メモリに上書き記録。衝撃を検知した場合は、その前後数十秒の映像を自動でクラウドにアップロードする機能をもつ。2018年内に試作品を完成させたいとしている。