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ルネサス、仮想化を実現する世界初のフラッシュメモリー内蔵28nm車載制御用クロスドメインマイコン「RH850/U2A」
シャシー制御やボディ制御など機能安全レベルの異なるソフトウェアを1チップに統合可能
2019年2月26日 19:07
- 2019年2月25日 発表
ルネサス エレクトロニクスは2月25日、28nmプロセス採用のフラッシュメモリー内蔵車載制御マイコンの新製品「RH850/U2A」を開発したと発表した。RH850/U2Aは、フラッシュメモリー内蔵のシングルチップマイコンとして世界初となる仮想化を実現させた。サンプル出荷は2020年1Qから順次開始予定。
RH850/U2Aは、従来のシャシー制御用マイコン「RH850/Px」シリーズと、ボディ制御用マイコン「RH850/Fx」シリーズの双方の機能を統合した後継モデル。複数の用途に使用できる車載制御マイコン「クロスドメインマイコン」として、シャシー制御、ボディ制御のほか、ドメイン制御やローエンドからミッドレンジのゲートウェイ用ECUにも最適としている。
RH850/U2Aは、400MHzのCPUを最大4コア(ロックステップ対応)搭載。各CPUにはハードウェアの仮想化支援機構を搭載して、リアルタイム性を確保しながら仮想化を実現させた。さらに、電流変動率を抑制した自己故障診断「SR-BIST(Standby-Resume BIST)」機能の搭載などにより「ASIL D」を含む機能安全レベルの異なる複数のソフトウェアを1つのマイコンで動作させることを可能にした。
また、フラッシュメモリーを最大16MB、SRAMを3.6MB内蔵しているため、将来の機能拡張に対応できるだけでなく、自動車の走行を中断せずにOTA(Over The Air)によるソフトウェア更新が可能。サイバー攻撃の脅威からクルマを守るため、「EVITA-Ful」に対応するセキュリティ機能も搭載して安全にOTAを実現する。
さらに、ADASや自動運転機能により増加する各種センサーからの信号を高速で通信するため、最大16チャネルのCAN-FDに加えて、SGMII規格の1Gbpsのイーサネット通信インターフェースを搭載するなど、ネットワーク機能を強化した。
ルネサスのオートモーティブソリューション事業本部 テクニカルカスタマーエンゲージメント統括部 統括部長の吉田直樹氏は「E/E アーキテクチャの進化により、ECUを統合し、複数のアプリケーションを動作させることができる高性能なクロスドメインマイコンへの要望が高まっています。今後、お客さまがコネクテッドカーや自動運転車の開発を加速させるためにも、このクロスドメインマイコンによりソフトウェアの共通化を図り、増大し続けるソフトウェアの開発効率の向上に貢献できると確信しています」とコメントしている。