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ルネサス、レベル3、4自動運転のAI処理を0.3Wで実現。車載用スマートカメラ向けSoC「R-Car V3H」

2018年9月よりサンプル出荷開始

2018年2月28日 発表

ルネサスの車載用スマートカメラ向け ハイエンドSoC「R-Car V3H」

 ルネサス エレクトロニクスは2月28日、レベル3、4の自動運転システムに向けたスマートカメラ用SoC(System on Chip)の新製品「R-Car V3H」を発表した。R-Car V3Hは、2018年9月よりサンプル出荷を開始、2019年後半より量産開始予定。

 新製品R-Car V3Hは、2017年4月に発表したNCAP(New Car Assessment Program)用スマートカメラに最適な「R-Car V3M」の上位機種。トップクラスのコンピュータビジョン処理を実現するSoCとして、業界最高レベルの低消費電力技術により0.3W(同社実測値)でAI処理を実現するという。

 R-Car V3HはAI処理を実現するために専用のCNN(Convolution neural network)エンジンを搭載するとともに、ステレオカメラを用いて距離の計測を実現するステレオディスパリティや、低速あるいは高速で運動している物体についても正確なフロー追従が可能となる高密度オプティカルフロー、ある領域内の物体の高速検出を可能とするオブジェクト分類専用のエンジンを搭載した。

 また、R-Car V3Hにはルネサス独自の画像認識エンジン「IMP-X5」を進化させた「IMP-X5-V3H」も搭載。これら専用エンジンと組み合わせることで高度なコンピュータビジョン処理が実現可能という。

 そのほか、R-Car V3Mと同様、画像の絵づくりや認識処理向けにセンサ信号の変換処理を行なうISP(Image Signal Processor:画像センサ信号処理エンジン)を搭載しているため、シンプルな車載カメラとの組み合わせで使用可能としている。

 ルネサスの「R-Car」は、アーキテクチャーが異なる複数のコア(IP)を集積する「ヘテロジニアス・マルチコア」の特長を活かしたSoCであり、R-Car V3Hにおいても適材適所の仕事を各エンジン(IP:Intellectual Property)にさせることにより、高度なコンピュータビジョン処理を実現しながら、量産車に搭載可能な低消費電力も実現。実用化が目前に迫るレベル3、4の自動運転システム向け車載スマートカメラに最適としている。

 ルネサスのADASソリューション事業部 事業部長 Jean-Francois Chouteau氏は「新製品は、欧州や日本で自動運転システムの開発に先行するお客様のニーズを十分に反映して開発したSoCです。車載カメラを設置する場所には、狭い、熱い、冷めないという課題があり低消費電力が不可欠ですが、今回、AIとの両立を果たしたことにより、自動運転システムの実用化が加速すると信じています」とコメントしている。