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ルネサス、「R-Car E3」やコネクテッドカー用SDKなどを展示した「R-Carコンソーシアムフォーラム」開催

執行役員 吉岡真一氏が自動運転やコネクテッド分野の取り組みを紹介する説明会

2018年10月17日 開催

ルネサス エレクトロニクス 執行役員 吉岡真一氏

 ルネサス エレクトロニクスは10月17日、同社車載事業のパートナーが集まるイベント「R-Carコンソーシアムフォーラム」を開催。同会場でルネサス エレクトロニクス 執行役員 吉岡真一氏が、ルネサスの車載事業における自動運転、ADAS、コネクテッド分野などへの取り組みを話した。

 R-Carコンソーシアムフォーラムの会場には、大型ディスプレイを使用した3Dグラフィックスクラスタを実現する新製品「R-Car E3」やコネクテッドカー用ソフトウェア開発環境を提供する「コネクテッドカー用ソフトウェア開発ツール」といった発表されたばかりの製品展示のほか、パートナーとのコラボレーションによるデモも実施されていた。

3Dグラフィックスクラスタを実現する「R-Car E3」のデモ
コネクテッドカー用ソフトウェア開発ツール
コネクテッドSDKを使って開発されたつながるクルマ
センシングソリューションの統合デモカーとルネサス エレクトロニクス オートモーティブソリューション事業本部 テクニカルカスタマーエンゲージメント統括部シニアディレクター 吉田正康氏
パートナー企業のデモ

 同会場で行なわれた説明会において、吉岡氏は「自動車市場変化」「自動運転・ADAS、コネクテッド分野の取り組み」「R-Carコンソーシアムの今後の取り組み」といった項目で、同社の取り組みを紹介した。

自動車市場変化

 自動車市場の変化については、CASEと呼ばれる「Connected(コネクテッドカー)」「Autonomous(自動運転)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」といった自動車市場の変化に対応するために、車載コンピュータにおいては、クルマだけの世界でなくクラウド側とデータをやり取りをするコネクテッドの要素が加わってくるという流れが紹介された。

 吉岡氏は「その過程においてわれわれが提供するプラットフォームは、お客さまがシステムを開発しやすくすることが重要。それを実現するのがR-Carコンソーシアムのミッションである」と述べるとともに、自動運転時代に向けてルネサスが掲げたコンセプト「Renesas autonomy」における「OPEN」「INNOVATIVE」「TRUSTED」といった3つのキーワードを紹介した。

 このOPENという言葉については「R-Carコンソーシアムのプラットフォームはオープンな環境下で開発することができ、ブラックボックスソリューションでなくお客さまが自由に選択して開発している」と述べ、INNOVATIVEについては「技術的に尖っていないとお客さまの課題解決に貢献できないので、そこは半導体のサプライヤーとして技術的に尖らせる」と吉岡氏は語った。

 また、TRUSTEDについては「われわれは長年、自動車業界に半導体を提供しており、マイクロコンピューターは年間13億個出荷している。1日に換算すると400万個以上出荷していて、クルマの頭脳となるマイクロコンピュータが世界中のクルマできちっと動き続けることがわれわれの事業」と、これまでの採用実績による信頼性を強調した。

自動運転・ADAS、コネクテッド分野の取り組み

 自動運転・ADASへの取り組みとしては、AI(人工知能)処理を実現するための専用CNN(Convolution neural network)エンジンを搭載したR-Car V3M、R-Car V3Hプラットフォームを展開していることや、ニューラルネットワーク変換ツールを用意していることを紹介。

自動運転への取り組みを示すスライド
2025年を見据えたロードマップ

 また、コネクテッドカーに向けた取り組みについては、コネクテッドカーに向けた開発ツール「コネクテッドカーSDK」を発表したことを紹介するとともに、2025年を見据えたロードマップを示して、自動車メーカーの持つネットワーク構成の変化、クラウド連携のタイミングを捉えて、ソリューションを提案していく計画を示した。

 吉岡氏は「テスラさんが導入したコンセプトで、プログラムをダウンロードしてアップデートするという、クルマの機能や性能がソフトウェアの更新で進化するといったことを完成車メーカーはどこもやりたいと考えている」と話し、そういった方向を目指したクラウド側の開発が盛んに検討されていることを紹介。

 吉岡氏は「将来確実にこの方向にクルマの構造が変わっていく。ある欧州メーカーは、まずはEVから始めてガソリンモデルに展開していく計画をしており、先進的なネットワークアーキテクチャを用意して、R-Carを使いながらそういった検討をしている」と話した。

コネクテッドカーに必要となるクラウド側の進化に合わせて必要なソリューションを提供していくという

R-Carコンソーシアムの今後の取り組み

2018年の活動の振り返り

 今後のR-Carコンソーシアムの取り組みとしては、AIやコネクテッド対応のソフトウェア開発環境を、周辺環境の変化に合わせてタイムリーに提供していくとともに、参加するパートナー企業を自動運転・ADAS、コネクテッド、コックピットといった領域に分類して、自動車メーカーに開発環境やツールを提供していく考えを示した。

 吉岡氏は「R-Carコンソーシアムはオープンなプラットフォーム。参加企業は250社を超え拡大の一途をたどっており、お客さまの課題解決への近道が分かりにくいという一面もある。そこで、お客さまのアプリケーションや用途に応じてメニュー化して、ある自動運転機能を開発する時に、どこの企業と付き合うと開発ができるのかグループ化しようと、ワーキンググループを立ち上げようと考えている」と述べた。