CES 2018
【CES 2018】ルネサス、自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして「R-Car H3」搭載車をデモ
優れたエッジコンピューティングとしてR-Car H3を訴求
2018年1月15日 07:00
ルネサス エレクトロニクスは米国ネバダ州ラスベガスにおいて開催された「CES 2018」において、自動運転車、ADAS(先進運転支援システム:Advanced Driver Assistance System)搭載車などの試乗会を実施した。
いずれも同社のSoC(System on a Chip)である「R-Car H3」を搭載しており、その性能を訴求していたほか、ブースにおいてR-Car H3のさまざまなソリューションを展示。自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとしてのR-Car H3活用法を示していた。
自動運転時代においては、ディープラーニングの活用が欠かせなくなっている。R-Car H3は、ディープラーニングの実行機能持っており、同社がこれまで車載半導体を作ってきた実績と、低消費電力などが特徴となっている。その詳細については関連記事(価格5~8万円の車載ソフトウェア開発キット「R-Car スタータキット」2種類を発売、「CES 2017」で展示した自動運転デモ車を日本で初めてデモ走行)をご覧いただきたいが、R-Car H3では10W切る低消費電力を実現し、自動運転開発用に便利なR-Car H3を2基搭載したHADソリューションキットでは12.5Wという値を説明。ルネサスの自動運転車では、このHADソリューションキットを2基搭載し(つまり、R-Car H3×4)、25Wの低消費電力で実行でき、多数決システムを構築できているという。
ディープラーニング環境の話で整理しておきたいのは、学習段階と、その学習結果を実行する推論段階があるということ。これは両方のソリューションを持っているNVIDIAを見ると分かりやすいが、学習段階にはTesla V100のハイスペック環境を、実行・推論段階にはDRIVE Xavier(エグゼビア)を提案している。R-Car H3は実行・推論段階のプラットフォームになり、端末側、つまりエッジコンピューティングの代表製品となっている。
PCに詳しい方なら、サーバー市場と、クライアント(とくにノートPC)市場と考えればよく、ノートPCにおいては電池で動作するため消費電力と性能のバランスが大切で、これはEV(電気自動車)にも通じる構造だろう。
この圧倒的な数の出荷が見込める車載用の自動運転実行環境の正解はまだ分かっておらず、どの程度の性能が必要なのか、どの程度の消費電力が必要なのか、自動車メーカーは開発を通じて見極めようとしている。その要求に応えるため、半導体メーカーは消費電力や性能、開発のしやすさを競っているわけだ。
ルネサス エレクトロニクスのR-Car H3はCES 2018において、すでに自動運転車を実現していることと、R-Car H3のソリューションを多数デモすることによって開発が容易であることを示していた。