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佐藤琢磨選手がインディ500ウィナーとして、中嶋一貴選手がル・マン24時間ウィナーとして優勝車とともに参加した「モースポフェス 2019 SUZUKA」

ホンダとトヨタがモータースポーツを盛り上げる

2019年3月2日~3日 開催

インディ500の優勝マシン26号車「ダラーラ DW12」で、日本人初のインディ優勝車となった佐藤琢磨選手がスピンターン!

 鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で3月2日~3日、モータースポーツが持つ魅力や運転する楽しさなどを紹介するイベント「モースポフェス 2019 SUZUKA~モータースポーツファン感謝デー~」が開催された。

 トヨタ自動車、本田技研工業、モビリティランドの3社の共催で行なわれたこのイベントは、半世紀以上の歴史を持つ鈴鹿サーキットを舞台に行なわれ、昨シーズンの2018年にル・マン24時間レースやWRC(世界ラリー選手権)、MotoGPといった世界のトップカテゴリーで優勝を飾ったトヨタとホンダのレースマシンが登場したほか、国内外のレースで活躍している多彩な4輪&2輪マシンが走行する姿を披露した。

鈴鹿サーキットのホームストレートで「ヤリスWRC」が大ジャンプ!

ル・マン24時間レースで優勝したトヨタ「TS050-HYBRID」とホンダ「CBR1000RR」

ル・マンウィナーの「CBR1000RR」と「TS050-HYBRID」が競演

 2018年6月にトヨタの8号車「TS050-HYBRID」がル・マン24時間レースで初参戦から33年目にして初となる優勝を果たしたことはこれまでにもCar Watchでたびたび取り上げてきているが、それに先立つ2018年4月に、2輪のEWC(世界耐久選手権)第2戦として開催されたル・マン24時間レースでホンダの5号車「CBR1000RR」が優勝。2018年は日本メーカーのマシンが4輪&2輪でそろってル・マンウィナーとなっている。

 イベントではTS050-HYBRIDを中嶋一貴選手、CBR1000RRをジョシュ・フック選手が操縦し、鈴鹿サーキット・国際レーシングコース(東コース)に同時にコースイン。集まったファンに凱旋走行を披露した。

中嶋一貴選手はTS050-HYBRIDでのデモ走行の最終周に、ドアを開けてグランドスタンドのファンに手を振りながらホームストレートに戻ってきた
ジョシュ・フック選手は2輪マシンならではの鋭い加速力やウイリーなどを披露
手を振りながらホームストレートに戻ってきたフック選手は、途中で手渡された青地に赤の日の丸、白抜きで「必勝」と書かれた独自のトリコロールフラッグをはためかせて走行
走行終了後には中嶋選手とフック選手のトークタイムも用意された

“夏の風物詩”のプレシーズンマッチに国内4大メーカーが集結

2018年の“鈴鹿8耐”で4連覇を達成した21号車「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」

 鈴鹿サーキットの“夏の風物詩”イベントとして40年の歴史を持つ“鈴鹿8耐”こと「鈴鹿8時間耐久ロードレース」。イベントではホンダに加え、スズキ、ヤマハ発動機、川崎重工業の国内4メーカーのマシンで参戦しているチームが集まり、国際レーシングコース(東コース)を使ったプレシーズンマッチを実施した。

スモーク演出が行なわれたピットウォールのゲートから、選手たちが次々とコースイン
スターティンググリッドから走行がスタート
2輪では国内の4メーカーが集結した
走行終了後に参加ライダーによるトークセッションが実施された
プレシーズンマッチ開始前のピットレーンの様子

鈴鹿「SRS」出身の佐藤琢磨選手が“インディ500ウィナー”として凱旋

 2017年5月に世界三大レースの1つ「インディ500」で日本人初優勝を果たした佐藤琢磨選手は、レーシングドライバー育成機関「SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)」を首席卒業したことをきっかけに、その後のレースキャリアのステップアップを重ねていったというキャリアを持つ。

 その佐藤琢磨選手がインディ500で優勝したマシン「ダラーラ DW12」(26号車)を使い、ドライビングテクニックを学んだ鈴鹿サーキットで凱旋走行を実施。走行の最後にはホームストレート上でドーナツターンを披露した。

2019年から「SRS-Kart(鈴鹿サーキットレーシングスクールカート)」「SRS-Formula(鈴鹿サーキットレーシングスクールフォーミュラ)」のPrincipalに就任することが決まっている佐藤琢磨選手は、SRS-Formulaのスクールマシンに乗って登場
ダラーラ DW12 26号車に乗り換えて凱旋走行スタート
ホームストレートを駆け抜けるダラーラ DW12 26号車
佐藤琢磨選手は走行前後にトーク時間が設けられた

SUPER GTデモラン

前年優勝マシンの証である「1」のゼッケンナンバーを付けて2019年シーズンに臨む「RAYBRIG NSX-GT」

 日本国内を中心に行なうレースながら、世界的にも高い人気を誇るSUPER GTも最新マシンの走りを披露するデモランを実施。GT500クラスにワークス参戦するレクサス(トヨタ自動車)、日産自動車、ホンダの3社から各2台のマシンが参加し、さらに5チームからGT300クラスのマシンも集まって、フリー走行やレースのように2クラスのマシンが混走するもデモランが行なわれた。

SUPER GTデモラン

従来型を上まわるポテンシャルを披露したスーパーフォーミュラ「SF19」

 2019年から実戦投入されるスーパーフォーミュラのニューマシン「SF19」は、4月20日~21日に鈴鹿サーキットで開催されるシーズン開幕戦を前に、このイベントでシェイクダウン走行の披露、シーズンキックオフデモレースを実施した。

 3月3日午後に実施されたデモレースはあいにくのウェットコンディションとなったが、それに先駆けて午前中に実施されたフリー走行では、各チームにデリバリーされたばかりのマシンながら好タイムを連発。2018年の年間チャンピオンである山本尚貴選手は、「SF14」で記録した鈴鹿サーキットでの予選トップタイムを超える1分36秒台前半のラップタイムを計測し、ニューマシンが秘める高いポテンシャルを見せつけた。

2018年シーズンにドライバーズチャンピオンを獲得した山本尚貴選手は「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」に移籍。「1」のゼッケンナンバーがボディに施されている
「TEAM MUGEN」の16号車は、山本選手に代わって野尻智紀選手がドライブする
TRD(トヨタ)製エンジンを搭載して参戦する「KONDO RACING」の3号車。ドライバーは山下健太選手
「TCS NAKAJIMA RACING」の64号車。ドライバーはルーキーテストからレギュラーシートを獲得したアレックス・パロウ選手

南ゲートを入ってすぐの「GPスクエア」でも走行&展示イベント多数

ダカールラリーでクラス10連覇を達成した「日野レンジャー 2号車」

 鈴鹿サーキットの南ゲートとグランドスタンドの間にあるイベントエリア「GPスクエア」は、中央部分にデモ走行などを行なう「パフォーマンスエリア」を用意し、周辺に大型モニターを備えたイベントステージや参加メーカーなどの展示スペース、グッズ販売ブースなどを用意。展示車両などを眺めながらブースに足を運び、気になるデモ走行などが始まったらパフォーマンスエリア脇にすぐ移動して楽しめるレイアウトになっていた。

 車両展示では国際レーシングコースで走行を披露したさまざまなチャンピオンマシン(一部レプリカ)に加え、「NSX」や「S660 カスタマイズモデル」のほか、発売前の「GR スープラ」右ハンドル車両、TOYOTA GAZOO RacingのGRラインアップモデルなどを用意。さらにル・マン24時間レースの優勝トロフィ、WRCの優勝カップ、MotoGPで3連覇を果たしたマルク・マルケス選手の記念ヘルメットなど、歴史に残る記念品の数々も展示されていた。

ダカールラリー参戦車の迫力あるデモ走行
世界選手権のチャンピオンマシン(車両はそれぞれレプリカ)に加え、トロフィなどの記念品もケースなどに入らずそのまま展示されていた
世界三大レース優勝マシンからナンバー付きワンメイクレース車両まで幅広く展示
カワサキブースの展示車両。左側の「KAZEギャル」が左手で示しているのは「KAWASAKI」のK
発売前の「GR スープラ」に加え、2017年2月の発売から2年が経過した「NSX」も衰えることのない人気を維持して多数の来場者を集めた
TOYOTA GAZOO Racingブースでは赤いボディカラーが与えられた右ハンドル仕様のGR スープラと、1月の東京オートサロン 2019で公開された「GR スープラ スーパーGT コンセプト」を車両展示
「Modulo Nakajima Racing」の2019年SUPER GT参戦マシンである64号車「Modulo EPSON NSX-GT」のカラーリングを再現した「Modulo S660 #64 Modulo NSX-GT スペシャルカラー 2019」
TOYOTA GAZOO RacingブースではヤリスWRCの走行シーンを体感できるVRコンテンツも用意された
右側の青い車両は、トヨタ「86」をベースに、エンジンをドライサンプ化した「3S-GE」型に換装した「ケーワンレーシング」のジムカーナ車両。外観に「SANO DESIGN」のボディキットを装着している
WRC 日本ラウンド招致委員会のブース

インプレッサ WRC 98とヤリスWRCが20年の時を超えて競演

4輪からタイヤスモークを上げてホームストレートを縦横無尽に駆け抜ける、新井敏弘選手が操る「インプレッサ WRC 98」

 フィールドの異なるレースをターゲットとしつつ、水平対向の「ボクサー」エンジンを搭載するという共通点を持つWRCの「インプレッサ WRC 98」、SUPER GT GT300クラスの「BRZ GT300」、ニュルブルクリンク24時間レースの「WRX STI NBRチャレンジ」の3台が競演した「SUBARU STI WRブルーに宿るチャレンジングスピリット」では、3台による隊列走行の終了後、新井敏弘選手が操るインプレッサ WRC 98がホームストレートに残って4輪ドリフトや定常円旋回といった迫力ある走行を披露。

3台のスバルレースマシンの競演イベント「SUBARU STI WRブルーに宿るチャレンジングスピリット」
インプレッサ WRC 98
「BRZ GT300」
「WRX STI NBRチャレンジ」
「WRブルー」にカラーリングされた3台がボクサーサウンドを鈴鹿サーキットに響かせた

 するとそこに、TOYOTA GAZOO Racing WRTでチーム代表を務めるトミ・マキネン氏が、ヤリスWRCをドライブして乱入する(!?)という演出が行なわれ、そこから2台のWRカーがホームストレートでタイヤスモークを上げながらの競演を実施。とくにマキネン氏はホームストレート上に設置されたジャンプ台を使い、ヤリスWRCの車体5台分ほどの距離を豪快にジャンプ! 悪路を走破するWRカーの強靱さを強烈にアピールした。

タイヤから盛大に白煙を上げ、長い距離を助走して大ジャンプを披露して喝采を浴びたマキネン氏ドライブのヤリスWRC
マキネン氏は、次週の3月7日~10日(現地時間)にメキシコで行なわれるWRC 第3戦に挑むTOYOTA GAZOO Racing WRTを応援してほしいと来場者に訴えかけた
「SUBARU STI WRブルーに宿るチャレンジングスピリット」の実施前には、STI チーム総監督の辰己英治氏(左)、新井敏弘選手(中央)、井口卓人選手(右)によるトークショーも行なわれた

日産 本山哲・トヨタ 脇阪寿一・ホンダ 道上龍の「新・永遠のライバル対決」

 2018年まで鈴鹿サーキットで行なわれていた「モータースポーツファン感謝デー」の恒例行事となっていた「永遠のライバル対決 星野一義vs中嶋悟」は、2018年に最後のバトルを行なって終了となっているが、今回から「新・永遠のライバル対決」として、本山哲氏、脇阪寿一氏、道上龍氏の3人によるレースが実施されることになった。

 まず最初にこれまでの振り返りとして、2018年までレースを行なっていた星野一義氏と中嶋悟氏がホームストレート脇のステージに登壇してトークを展開。続いて新たに対決を実施することになった本山氏、脇阪氏、道上氏の3人が加わって勝負に向けた意気込みなどを語った。

「新・永遠のライバル対決」冒頭のトークセッション
2018年まで「永遠のライバル対決」でレースを披露してきた中嶋悟氏(左、中央)と星野一義氏(右)
本山哲氏
脇阪寿一氏
道上龍氏
新旧のレジェンドドライバーはトークでも来場者を魅了
チャンピオンベルトも新たに用意された
「絶対に勝ちたい!」と意気込んでいた脇阪氏。グリッド順を決めるじゃんけんで後出しまで試みたものの、結局はやり直しで1人負けとなって3番グリッドに

 対決に使われるマシンは、本山氏が2008年のSUPER GTで年間優勝した「XANAVI NISMO GT-R」、脇阪氏が2002年のJGTC(全日本GT選手権)で年間優勝した「エッソ ウルトラフロー スープラ」、道上氏が2000年のJGTCで年間優勝した「Castrol 無限 NSX」の3台。予選は行なわれず、じゃんけんでスターティンググリッドを決定。3月2日のレースは本山氏、道上氏、脇阪氏の順番でローリングスタートが切られた。

ホームストレートで並ぶかつてのGTチャンピオンマシン
「XANAVI NISMO GT-R」
「エッソ ウルトラフロー スープラ」
「Castrol 無限 NSX」
レース前の様子
レースはローリングスタート

 初日のレースは途中にオーバーテイクによる順位変動があったものの、チェッカーフラッグを受けた段階ではスタート時と同じ、本山氏、道上氏、脇阪氏という順位となった。2日目となる3月2日も同様に進み、本山氏、脇阪氏、道上氏の順番でレース開始。レインコンディションで貴重な車両を使ったバトルとなったが、3氏ともひるむことなくバトルを展開。2日目は脇阪氏が勝利して、本山氏、道上氏と続いた。これにより、本山氏が1位、2位の合計ポイントでトップとなり、新・永遠のライバル対決初代チャンピオンの座を手に入れている。

中盤で本山氏が失速して順位が大きく入れ替わるシーンもあったが、チェッカーフラッグを受けたときにはスタート時と同じ並びとなった

初日最後には花火と共に2輪&4輪のル・マンウィナーがナイトラン

ピットレーンを走行するTS050-HYBRIDとCBR1000RR。「鈴鹿8耐×SUZUKA 10h トワイライトマッチ」では鈴鹿サーキット夜空に花火が打ち上げられた

 初日3月2日の終盤には、長時間の耐久レースで日没後も走行が続く鈴鹿8耐とSUZUKA 10hのレース風景を紹介するため、ライトON状態で模擬レースを行なう「トワイライトマッチ」を実施。また、鈴鹿8耐の名物となってるスティックライトがグランドスタンドの来場者に配られ、コースを走行する選手たちとの競演が行なわれた。

 最後は花火が打ち上げられる中でル・マンウィナーのTS050-HYBRIDとCBR1000RRがパレードランを行ない、1日のイベントを締めくくった。

ヘッドライトを点灯させ、来場者がスティックライトを振る幻想的な雰囲気で耐久マシンが走行を披露