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FCAジャパン、2019年は過去最高の販売台数を記録。2020年は45モデルの限定車がデビュー

Groupe PSAとの対等合併について「2020年はこれまでと変わらないビジネス展開に」

2020年1月14日 開催

2019年の販売実績などについて報告を行なったFCAジャパン株式会社 代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏

 FCAジャパンは1月14日、同社が取り扱うジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオブランドの2019通年の合計販売台数を発表した。発表によると、4ブランド合計の販売台数は2万4666台。2019年11月末時点で2018年の販売台数を136台上まわっており、過去最高を更新した。過去最高記録更新は4年連続となり、前年比で9.9%の増加を達成している。

 ブランド別に見ると、ジープが2013年以来6年連続で台数が増加し、1万3360台を販売(対前年比16.3%増)。この好調の要因は、2018年に11年ぶりにフルモデルチェンジした新しい「ラングラー」の導入が挙げられ、年間を通じて高い需要に支えられて4873台と過去最高の販売台数を記録した。ラングラーの販売台数は2010年以降、10倍にまで増えているという。

 その他のジープモデルについても好調を維持できたとし、フラグシップモデル「グランドチェロキー」とコンパクトSUV「レネゲード」は共に過去最高を更新。新CIに基づいて行なわれているディーラー拠点の刷新も順調に推移しており、日本でのジープのブランド力の強化に大きく貢献したとのこと。新CIを導入して刷新または新築された店舗数は、2020年1月現在、全80拠点中57店舗となっている。これを2020年中に75店舗まで増やす計画が明かされている。

新CI導入とショールーム刷新について

 一方、イタリアブランドも好調を維持し、フィアット「500」およびアバルト「595」「695」シリーズの合計販売台数は、販売開始から12年が経過しているにもかかわらず過去最高を更新した。特にアバルト 595/595Cシリーズは2628台を販売し、過去最高を更新。好調の要因は、アバルト・ブランド創立70周年を記念して、2019年4月~11月に行なわれたアバルトファン感謝イベント「ABARTH DAY」を開催するなど、さまざまな取り組みを行なったことが挙げられている。

 また、アルファロメオブランドの販売は、「ステルヴィオ」が695台を販売して導入初年度を上まわり、それを支えたのが新導入したディーゼルモデルであり、販売台数の半数はディーゼルエンジン搭載モデルが占めたという。

2019年はFCAジャパンとして2万4666台の販売台数を記録。2009年から比べ3倍に伸長したという

ジープブランドは若い消費者層を引き付けている

 1月14日には、FCAジャパン 代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏が登壇してこれらの概要とともに2020年の見通しについて説明を行なった。

 あいさつの冒頭、ヘグストロム社長は輸入車メーカーの2019年の実績などについて振り返り、「2019年の自動車市場は全体的に落ち込み、国産メーカーのみならず第4四半期はインポーターも苦労しました。ただ、そういった傾向にあってもFCAジャパンは2019年、ジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオの合計販売台数で史上最高を記録しました。FCAジャパンとしての2019年1月~12月までの合計販売台数は2万4666台となり、4年連続で過去最高を更新しました。乗用車市場が全体として-2%と不調だったにもかかわらず、このような結果となっています。われわれも2019年10月の消費税増税による需要の後退の影響はありましたが、多くの競合他社に比べれば軽微に済んだと言えます」とコメント。

 また、FCAジャパンの好成績をけん引したジープブランドの成功については、「これには若い消費者層を引き付けていることがあると思います。大変魅力的なジープファミリーに入りたいと思う方が増えてきたと言えます。2019年のジープ購買者の平均年齢は39歳でした。これはおそらく数ある日本での自動車ブランドの中でも最も若いのではないでしょうか。ジープはオーナーの方々を非常に大切にしておりまして、オーナーの方々と今後の見込み客、日本全体で有意義な環境を作ることに努めています」と述べたほか、フィアット 500およびアバルト 595/695シリーズの合計販売台数が日本で販売を開始してから12年目で過去最高を記録したことについて「これは実に驚くべきことです。競争激しい日本のコンパクトカー市場を考えると快挙と言えます」と振り返った。

2019年の輸入車メーカー実績
ジープブランドの2019年の販売台数
ラングラーの販売台数推移。2009年から10倍に
フルサイズ輸入SUVランキングで「グランドチェロキー」はBMW「X5」を抑えて1位に
ジープ購入者の平均年齢は39歳
ジープブランドのマーケティング施策について

 加えてフィアットブランドの昨今の特徴について、「女性のドライバーを積極的に勧誘しています。そのやり方は非常にシンプルで、リースプログラムである『パケットFIAT』、そして『MY FIRST FIAT』といったマーケティングプログラムを行なっています。こういったアクティビティの結果、62%のフィアット 500のオーナーが女性になっています」と語っている。

 なお、ヘグストロム社長は2020年の見通しについても触れ、「2020年はわれわれとしても引き続き成長していく準備ができています。ジープブランドからは相当数の限定車が出る予定で、今年はラングラーで予定しています。まずはラングラー ルビコンで、これは私のお気に入りでスーパークールなクルマだと思います。フィアットでは、ねずみ年の始まりをオリジナルマスコットである『TOPO FIAT(トポ フィアット)』でお祝いします。フィアットでもさまざまな魅力あふれる限定車を用意しており、そのうちの1台を国際女性デーにあたる3月8日に発表します。アバルトではエキサイティングな70周年記念モデルで幕を開けます。また、日本ではAT車が主流の中で、われわれの中で最も人気の高かったモデルは左ハンドルのMT車でした。これをよき学びとして引き続きエキサイティングな限定車を導入してまいります」。

「そしてアルファロメオにとっても2020年は重要な年です。ブランドが110周年を迎えるためさまざまなイベントを予定しており、特別限定車のリリース、ジュリアとステルヴィオのアップグレードも予定しています」と述べるとともに、2シーターミッドシップ「4C」の生産終了について言及。今後コレクターズアイテムになること必至の特別限定車がデビューすることを予告。2020年にFCAジャパンとして45モデルの限定車を発売することをアナウンスした。

アバルトブランドについて、2019年は史上2番目の好成績を収めた
アバルト70周年記念モデルは、わずか10分で300のオーダーがあったという
アバルトモデルのMT比率は48%
フィアット120周年記念モデルについて
フィアット/アバルト 500ファミリーの販売実績。ローンチ後12年が経過しているにも関わらず、2019年に過去最高の販売台数を記録
フィアットブランドのマーケティング施策について
62%のフィアット 500のオーナーが女性と、女性オーナーが増加中
国産車からフィアット 500への乗り換え率は52%
FCAジャパンのビジョンとミッション
FCAジャパンの2020年の計画

 なお、ヘグストロム社長によるプレゼンテーションが行なわれた後に実施された質疑応答で、2019年10月に発表されたGroupe PSAとFCAの対等合併で販売面などに今後何か影響があるのかという質問があり、これについてヘグストロム社長は「この発表については、現在の状況をしっかりと見て当局が承認を行なわなければなりません。その後に2つの会社を合わせて事業を進めていくという状況で、それにはまず1年間はかかると見ています。なので日本でも本社でも、2020年はこれまでと変わらないビジネス展開になります。これがきちんと承認されれば購買・開発など本社レベルでシナジーが出ると思います。日本への影響という意味ではまだまだコメントするには早すぎるかと思います」と述べている。