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JATMA、タイヤ空気圧点検の実態調査。点検しないのは「距離を走らないから」
「月に1回以上の点検推奨」4人に3人が“知らない”
2020年4月7日 14:46
- 2020年4月3日 発表
JATMA(日本自動車タイヤ協会)は、「タイヤの日」である4月8日を前に、全国のドライバー2000人を対象にタイヤの空気圧点検に関する実態調査を実施。その結果を公開した。
タイヤの空気圧点検、やり方を知らない人も
これは、自分でクルマを運転する20代〜60代のドライバー男女2000人を対象にアンケートを行なったもの。まず、タイヤの空気圧点検の頻度については、63.3%がタイヤの空気圧点検の頻度は「足りている」と答えている。しかし、タイヤの安全のために「月に1回以上の空気圧点検が推奨されていること」については、全体の4人に3人が「知らない」(72.5%)と答えており、特に女性ドライバーでは84.6%とさらに高くなったという。
そこでタイヤの空気圧点検を行なうと答えた1935人にその頻度を聞くと、「月に1回以上」と答えた人は24.3%にとどまり、「直近1年以内には行なっていない」と答えた人が15.2%に上った。空気圧を月に1回以上点検する割合は、男性の32.7%に比べ女性は15.9%と半数近く少なく、年間走行距離別に見ると、走行距離が短いほど月1回以上の空気圧点検をする人が少なくなったという。この結果から、週末などの限られたときだけクルマに乗る人の方が、タイヤの空気圧点検をまめに行っていないことが推測される。
また、タイヤの空気圧点検の頻度が不足していると答えた735人にその理由を聞いたところ、「自分でチェックする方法がわからない」が47.2%と最も多く、続いて「面倒だから」と答えた人も36.9%と多い。また、4人に1人は「あまり距離を走ることがないため」(25.6%)と間違った認識を持っていた。
JATMAでは、長距離のドライブに出掛けるときはもちろん、タイヤの空気圧は普段から点検し、タイヤの傷やひび割れ、溝の深さ、ホイールの点検、ボルトやナットの緩み、スペアタイヤの点検なども行なう必要性があるとしている。
4人に1人がパンク・バーストを経験
これまで運転中に体験したトラブルを聞くと、「バッテリーあがり」(39.6%)に次いで多いのが「タイヤのパンク・バースト」で、27.2%の人が経験。これを走行距離別に見ると、「バッテリーあがり」は走行距離が短い方が経験しやすく、「タイヤのパンク・バースト」は走行距離が長い人が多い結果となった。
直近1年での経験に限定しても「タイヤのパンク・バースト」は「バッテリーあがり」に次いで多く、100人に4人(4.1%)は1年以内にパンクをしている。
また、JAF(日本自動車連盟)「2018年度ロードサービス救援データ」でも、高速道路での出動理由のトップは「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」(36.97%)で4割近くを占めており、走行距離にかかわらず、クルマに乗る前の点検が重要だとしている。
燃費のためには空気圧管理が重要
燃費については、ドライバーの82.5%が「気にする」と回答。さらに、今の自家用車を選んだ理由も「燃費の良さ」(37.4%)を挙げた人が最も多くなった。
また、消費税が10%に引き上げられたことで「ハイブリッドカーやエコカーへの関心が強くなった」(38.8%)、「自動車の燃費を意識しエコドライブを心掛けるようになった」(38.5%)、「軽自動車やコンパクトカーなど維持費の安い自動車への関心が強くなった」(36.2%)など、エコや節約、燃費への関心が一層高くなっていることが分かった。
タイヤの空気圧は燃費と密接な関係があり、空気圧が適正よりも低いとタイヤの接地面が増え、抵抗が大きくなることで燃費性能は低下する。タイヤの空気は、運転していても、していなくても自然に抜けていくものなので、燃費の悪化を防ぐためにも月1回の空気圧点検が重要だとした。なお、空気圧の適正値は、運転席ドアを開けたところなどに表示されている。
ドライブ前に空気圧点検
先ごろの年末年始の長距離運転について聞いたところ、長距離運転をした人は42.1%で、このうち61.9%の方は「出発前点検をまったく行わずに運転をした」と答えた。
さらにガソリンスタンドやカー用品店でタイヤの空気圧点検をしてもらえることを知っているかという質問に対し、ガソリンスタンドやカー用品店で空気圧点検をしていない人の87.3%が「知っている」と回答。知っているにもかかわらず点検をしていないということは、タイヤの空気圧点検がそれほど重要ではないと捉えているからだと推測される。
JATMAでは、適正ではないタイヤの空気圧状態では燃費が悪化し、パンクやバーストといった非常に危険な事故の原因にもつながる。タイヤの空気圧点検は手軽にできる安全確認で、月に1回の空気圧点検を習慣化するよう訴えている。
自動車ジャーナリスト協会会長が語るタイヤの空気圧点検の重要性
最後に今回の調査結果を受けて、日本自動車ジャーナリスト協会 会長である菰田潔氏にコメントを聞いている。以下は菰田氏のコメント。
今回の調査では、タイヤの空気圧点検を月1回以上行なっているドライバーは2割しかいませんでした。なぜ空気圧点検を行なわないのかと言えば、点検をすること自体を知らない、もしくは、しなくてもいいと思っている人が多いからでしょう。
実際、タイヤの空気圧が多少減っても、見た目や乗り心地で分かる人はなかなかいません。例えば、タイヤがクギを踏んでも、すぐに走れなくなるわけではなく、徐々に空気が抜けていきますが、すぐに運転には影響しないケースもあります。そのため気が付かずに数日走っていると、タイヤの劣化が激しくなり、気が付いたころにはボロボロになって使い物にならなくなるわけです。パンクして徐々に空気が抜ける現象、いわゆるスローパンクチャーが多々あります。自分では気が付かなくても、空気圧を測ることでスローパンクチャーも発見でき、タイヤが傷まないうちに修理することもできます。
タイヤの空気圧点検をすることは、タイヤを大事に使うためだけではなく、クルマの燃費やコーナリング、乗り心地にも影響します。そして何よりも乗る人の安全に関わる問題です。タイヤの空気圧は月1回以上の点検が叫ばれていますが、個人的には「2週間に1回」を心掛けることで、月1回が実現できるようになるのでは、と思っています。
距離を走らないから点検はしないという人も少なくないようですが、何もしなくてもタイヤの空気は抜けていくものです。自転車のタイヤが穴が空いていなくても自然と空気が抜けるのと同じこと。「クルマは高性能だから、空気が自然と抜けるなんて……」と思っていませんか? 確かにクルマの性能はどんどんよくなって、暖機運転も不要になり、エンジンオイルの交換時期も長期化し、メンテナンスも手軽になったことから、タイヤもメンテナンスフリーと勘違いしてしまうのかもしれませんが、ゴムの性質上、タイヤの空気は抜けます。
空気圧はガソリンスタンドなどで測定してもらえますが、私のオススメは空気圧が自分で測れる「マイエアゲージ」を持つことです。空気圧は温度と関係し、気温が高いと気圧も高く気温が低いと気圧も下がるので、季節や気温差はもちろん、日なたと日陰でタイヤごとに違ってきます。空気圧は走行前のタイヤが冷えた状態で測定することが望ましいのですが、「マイエアゲージ」があれば乗車前にすぐに測定できます。空気圧は簡単に測れるので、乗車前測定を習慣化するとタイヤの変化が手にとるように分かるようになり、あれこれこだわりたくなりますよ。エアゲージはカー用品店などで、シンプルなものから多機能なものまで、1000円前後から販売されています。
普段から運転する人も、久しぶりに運転する人も、まずは点検をしてください。タイヤに関しては空気圧はもちろんですが、タイヤの溝もチェックしてください。△マークのスリップサイン(残溝1.6mm)が出ていなければ、車検も取れて走行可能ですが、安全性を考えれば溝は深い方が安心です。溝の深さが足りないと、雨天の高速道路では要注意。タイヤが水に浮いてハンドルもブレーキも効かなくなるハイドロプレーン現象も起きやすくなります。新品のタイヤの溝はおおよそ8mm程度ありますが、私は半分程度になったら要注意だと考えています。また、タイヤはゴム製品なので、溝が残っていても経年劣化している場合があります。中古車の場合、クルマの製造年は分かっていても、タイヤがいつ製造されたかは案外知らないものです。タイヤの側面には4桁の数字が表示されており、後ろの2桁が製造年、前の2桁が製造週を示しています。例えば「4018」なら2018年の40週目(10月上旬)に製造されたことになります。保存状態にもよりますが、6年以上経っているようであれば交換の目安としているメーカーもあるようです。ちなみにJATMAでは、10年を目安に交換を推奨しています。
また、タイヤを同じ位置で長期間使用すると、前後で摩耗が異なる場合があります。タイヤを長持ちさせ安全に走行するためには、タイヤの位置を入れ替える定期的なローテーションなどの対応も必要です。連休の1日をクルマのメンテナンスの日にすることも、有意義な過ごし方ではないでしょうか。