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ダイムラー、メルセデス・ベンツ「シターロ」を新型コロナ感染患者輸送用に改造

ストレッチャーと人工呼吸器を4基搭載し、最大4人の患者の移送と治療が可能

2020年4月24日(現地時間)発表

メルセデス・ベンツ「シターロ」を改造して作られた緊急大型救急車

 ダイムラーバスは4月24日(現地時間)、メルセデス・ベンツの大型バス「シターロ」を改造し、新型コロナウイル感染患者の移送と治療用の専門医療機器を搭載する大容量緊急救急車として、ドイツ赤十字社に提供したことを発表した。

 ノイウルム工場で、ドイツ赤十字社のマネージングディレクターであるデビッド・リヒター氏のアドバイスを元にシターロを改造。ローディングシステムを備えた電気油圧式車輪付きストレッチャーを4基、集中治療用人工呼吸器を4基、監視モニターを4基、超音波検査装置を1基、血液ガス分析装置を1基、それぞれ搭載する。

 また、十分な医薬品、看護器具、追加の呼吸器具、防護服のための収納スペースも作成。さらにプライバシー保護のため、バスのサイドウィンドウはラミネート加工が施され、ブルーライトとサイレンも装備する。バスの改造はノイウルム工場の12人のチームによって行なわれ、医療機器を供給するドイツ赤十字社との緊密な協力により、わずか15日間でバスを大容量救急車へと改造できたという。

 この改造バスにより、ドイツ赤十字社は必要に応じて迅速に集中治療室の患者を他の病院に搬送することができるようになった。なお、移送中はウルムの大学病院の集中治療医が2名、ドイツ赤十字社から派遣された3人の救急医師と2人の救急隊員も同乗する。また、ドライバーと保守要員は、このプロジェクトに参加している公益事業会社のSWUグループから派遣され、技術的なメンテナンスも行なっている。

 改造されたバスは新型コロナウイルス感染患者の輸送に焦点を当てているので、運転席と医療区画には壁が設けられ、換気システムもそれぞれ搭載することで完全に分離。ドライバーを感染から守るようになっている。また、移送完了後に行なう消毒スプレーも完備している。

 ダイムラーバスの責任者であるティル・オーバーヴェルダー氏は「現在さまざまな職業の中でも、特に私たちの尊敬に値する人たちは、一所懸命に仕事をしてくれている病院や介護施設のスタッフです。なので、輸送能力を提供することでドイツ赤十字社をサポートできることを嬉しく思います。バスメーカーとして、地方レベルでの新型コロナウイルスとの闘いに貢献したいと考えています」とコメント。

 また、ドイツ赤十字社のマネージングディレクターであるデビッド・リヒター氏は「大容量救急救急車により、ドイツ赤十字とウルム大学病院の医師は、集中治療用ベッドが不足している病院を効率的に救うことができます。また、ウルム市だけでなく、他の地域や州でも活用していきます」と述べている。

 なお、この緊急救急バスが配備されているウルム市長のグンターチシュ氏は、このプロジェクトを称賛し「ウルム市の代表として、このユニークなプロジェクトに参加していることを誇りに思います。ウルム市では実現可能なイノベーションを明確に示していきます」と述べている。

集中治療救急車の引き渡し時の、ダイムラーバスの責任者であるティル・オーバーヴェルダー氏とドイツ赤十字のマネージングディレクターであるデビッド・リヒター氏