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マツダ、「MAZDA3」商品改良説明会 「SKYACTIV-X」はどのように進化した?

2020年11月19日から順次発売

222万1389円~397万3343円

「MAZDA3」を商品改良。画像はハッチバックタイプの「MAZDA3 ファストバック」

 マツダは11月19日、「MAZDA3」の商品改良を発表した。価格は222万1389円~397万3343円。

 本稿では事前に行なわれたオンライン説明会で、マツダ 商品本部 MAZDA3 開発主査の谷本智弘氏による商品概要解説についてお伝えする。グレードごとの価格などについては、「マツダ、『MAZDA3』商品改良 新世代ガソリンエンジン『e-SKYACTIV X』のソフトウェアをアップデート」をご確認いただきたい。

MAZDA3 ファストバック
MAZDA3 セダン
マツダ株式会社 商品本部 MAZDA3 開発主査 谷本智弘氏

 マツダは、2020年と2021年の2年を足場固めの2年間、その後、本格成長の4年間という区分けをした中期経営計画の見直しを11月9日に公表。今回行なわれたMAZDA3の商品改良は、その中の足場固めの2年間で取り組むプロダクトの第1弾という位置付けになるとのこと。

 商品改良のハイライトとしては、SKYACTIV-X、SKYACTIV-D 1.8のパワートレーンをアップデートしたほか、ファストバックのSKYACTIV-G 2.0 2WDに6速MT機種を追加。6速MT機種は「ガソリンエンジンの伸びのよさをダイレクトに操る楽しさを感じていただけるように、シフト操作のしやすさを追求して、しっかりとした節度感を持った滑らかなシフトフィールとともにお届けいたします」と紹介された。

MAZDA3商品改良の概要
ファストバック SKYACTIV-G 2.0 2WDに6速MT機種を追加

 また、創立100周年の年にワールドカー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞し、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーのトップ3にも選出された喜びをユーザーと分かち合い、感謝の気持ちを伝えるために、100周年特別記念車に2020年ワールドカー・デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞記念モデルを追加。

 ボディカラーにはプロダクトブランドカラーの「ソウルレッドクリスタル」を特別に追加。インテリアには受賞記念のオーナメントを設置して、「室内空間の彩りに、もう1つMAZDA3と特別な絆や愛着を感じていただけるように、この記念モデルに想いを込めています」とした。

100周年特別記念車に2020年ワールドカー・デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞記念モデルを追加設定

MAZDA3は「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」

 まず谷本氏は、MAZDA3の位置付けを踏まえた商品概要を紹介。MAZDA3は「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」というコンセプトのもと、デザインや走り、静粛性、クラフトマンシップ、環境安全性能といった、スペックや数値で示しきれない領域を「ときめいていただけるレベルまで高めることを目指した」という。

 MAZDA3は「ファストバック、セダン、それぞれの個性」「彩りをもたらす室内空間」「安心して運転に集中できる環境」「思い通りに扱う気持ちよさ」「クルマを身近に感じられるコネクティッド」という5つの魅力を備え、日本国内では4万台を販売している。

日常生活を豊かに感じられる商品を目指し、カーライフを通じて人生に彩りと輝きを届けたいと考え、マツダのコーポレートビジョンにその想いが込められている
MAZDA3は国内生産において「CX-5」に次ぐ生産台数を誇る重要な中核モデル
MAZDA3が目指したこと
MAZDA3の魅力
日本や海外でさまざまな賞を受賞
ワールドカー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞
日本・グローバルでの販売状況
Well to WheelでのCO2削減目標を達成するためには、「優れた内燃機関と効率的な電動化技術のコンビネーションが最も重要」と言い、内燃機関を含むベース技術を磨き上げた後に効率的な電動技術を積み上げていくという2007年に発表したビルディングブロック戦略から一貫した考えの元に開発を進めていると紹介。この戦略に基づきSKYACTIV-Xは2019年の導入時にマイルドハイブリッドを採用し、これからも理想の内燃機関の進化に向けて技術を磨き上げていくという

SKYACTIV-Xのソフトウェアをアップデートしてシャープでキレのよい走りに進化

 パワートレーンの改良については、SKYACTIV-X、SKYACTIV-D 1.8において、制御技術をアップデートして走りを進化。SKYACTIV-Xの進化の第1弾となる今回は「自在感」「瞬発力」に注力し、アクセルをゆっくり踏み込むシーンでは滑らかに思ったライン通りに素直にトレースできる一方、アクセルを素早く踏み込むシーンでは瞬発力を使って、狙ったときに狙った方向へ素早く右足でコントロールして操れるという。

 この「自在感」「瞬発力」を実現するため、人とクルマがより広い範囲でシンクロできるように、2つの技術を緻密化して狙いの燃焼を実現。1つ目は空気、燃料、混合気の状態を予測してより細やかに気筒内の状態を確認し、燃焼をコントロール。2つ目はアクセルペダルの踏み方でドライバーの意思を細やかに確認した上で、出力をコントロール。これをMAZDA3に搭載して、ドライバーの意図をエンジンやクルマが理解して、足先で狙ったときに狙った方向へ向かえるように、きめ細かく操るコントロール性にこだわったとしている。

進化を続けるSKYACTIV-X
自在感とは、踏んだその瞬間に、その踏み方に応じてゆっくりそして素早く操れる力
瞬発力を兼ね備えた自由自在なコントロール性のSKYACTIV-Xに飛躍
瞬発力を使い、洗練化した自在感について

 具体的にはEGR制御の精度を高め、より多くの空気を加えてトルクと出力を向上。さらに、シリンダープレッシャーセンサーによる燃焼フィードバック制御の精度を高め、応答性を向上。操る力の範囲を広げる制御として、素早い踏み込み方にも応えられるように今まで以上に速やかに空気を加えて、シャープでキレのよい走りに進化させたとしている。

SKYACTIV-Xの進化と技術

 その結果、スペックは最高出力を180PSから190PSに、最大トルクは224Nmから240Nmにそれぞれ引き上げられている。

SKYACTIV-Xの主要諸元

 なお、これらのアップデートはSKYACTIV-Xのすべてのユーザーに同じ価値を提供できるよう、すでにSKYACTIV-X搭載モデルを所有しているユーザーに対して、無償でソフトウェアのアップデートを提供する方向で検討を進めているという。

 谷本氏は、自在感のある「思い通りに意思が通じ合う相棒」「信頼できるパートナー」を目指し、「クルマがドライバーの体の一部になったかのような思い通りに扱える楽しみ方を発見できれば、その後のカーライフや人生に彩りが与えられるのではないか」と考え、「人生を楽しむ機会や経験を豊かに広げることをお客さまに届けたい」と述べた。

市街地を緩やかに走行するシーンでは滑らかに、高速道路での合流やワインディングでコーナーを駆け抜けるシーン、上り坂で素早く踏み増して追い越すようなシーンでも、瞬発力が思い通りの走りに効果を発揮する
SKYACTIV-Xが目指すもの
SKYACTIV-Xの価値
MAZDA3には新しく「SKYACTIV-X」「e-SKYACTIV-X」バッヂが与えられた
SKYACTIV-Xの無償アップデートの実施を検討している

トルクフルな加速を生み出すSKYACTIV-D 1.8

 マツダのSKYACTIV-Dは低回転から力強く走り、長距離ドライブにも適した実用燃費と経済性の高さを持ち合わせた、人にも環境にも優しい日本市場に適したスモールクリーンディーゼル。

 今回の改良では「ディーゼルの力強さをダイレクトに操る走り」を目指し、最高出力を116PSから130PSに向上。最大トルクの変更はないが、より広いエンジン回転域で力強いトルクを発揮する制御を行ない、アクセルを踏み始めた瞬間の応答性を高めたとしている。

SKYACTIV-Dの特徴
主要諸元
SKYACTIV-Dの進化と技術

 そのために、燃料制御を最適化して力強い加速の持続性を高めた。EGRの緻密な制御により応答性を向上させ、踏み始めも踏み込んでからもしっかりとついてくる、伸びのある力強い走りを実感できる。ドライバーの意図通りのギヤを素早く選択する技術を採用することで、思い通りの加速を実現した。

SKYACTIV-Dの価値

車両ダイナミクスと予防安全装備

 車両ダイナミクス性能の進化では、サスペンションのバネの見直しを実施。フロントサスペンションのスプリングとバンプストッパーを変更するとともに、フロント/リアダンパーの減衰特性を変更。

 予防安全装備の進化では、制御技術をアップデート。マツダはカーライフを通じて人生の輝きを人々に提供し、運転することで元気になってもらえるようなクルマ作りをしている一方で、ドライブ中の疲労が溜まるとドライブが楽しめなくなってしまうため、疲労軽減を目的とした開発に積極的に取り組み、クルーズトラフィックサポートを導入時点から採用している。

 その疲労の軽減に向けて、周囲の交通量に応じて使用できるように、車線の中央を走る機能を高速域まで拡大。前方のクルマに追従する機能のマツダレーダークルーズコントロールも合わせて進化させて疲労軽減を実現。これにより、渋滞やロングドライブでの疲労を軽減し、より安心してクルマの運転を楽しめるようになったとしている。

車両ダイナミクス性能の進化
先進安全技術「i-ACTIVSENSE」の進化