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ザイリンクス 林田氏、スバルのアイサイトXなど自動車向けに1億9000万デバイス出荷と紹介 ドメインコントローラも視野に
2021年1月28日 12:30
カントリーマネージャー 林田裕氏による会社概要説明会
FPGA製品などで知られるザイリンクス(Xilinx)は1月28日、カントリーマネージャー 林田裕氏による会社概要説明会を開催した。林田氏は以前、日本AMDの代表取締役としてアジア地区の法人ビジネスを統括。2020年8月よりザイリンクスのカントリーマネージャーに就任し、同社のプログラマブル ソリューションを日本市場に提供するとともに、日本法人の組織、サービス、サポート基盤の強化に従事するという。
林田氏は、グローバルでのザイリンクスの活動を紹介。2020年の売上高は31億6000万ドルで、「アダプティブ、つまり適応性の高いプラットフォームを提供している」という。とくに近年はAIなどアルゴリズムの進化や社会状況の変化が速く、シリコン設計サイクルの速度より、ザイリンクスの適応型演算プラットフォームが求められているという。
AIについては、これまでトレーニング(学習)分野の開発が主流だったが近年は推論分野の市場需要が大きくなると見込んでおり、データセンター推論やエッジ推論が膨らんでいくとしている。
そのような状況の中で、ザイリンクスのソリューションは一部だけを高速化するのではなく、アプリケーション全体にわたって高速化することができるという。
ザイリンクスが注力するオートモーティブ市場
林田氏は、とくに今後注力する分野として、データセンター向け製品、5G基地局などの通信ネットワーク製品、オートモーティブ市場を紹介。オートモーティブ市場については、「急速に進化するマーケットへの適応性」「高性能と低遅延の両立」「品質と信頼性」の3つの価値を提供できると紹介した。
この車載市場においてザイリンクスはデバイスの出荷を拡大しており、出荷数は過去15年で2桁の成長を実現。2020年は1億9000万個を超えるデバイスを出荷し、ADAS向けには7500万個を超えるデバイスを出荷しているという。
そのトピックとして挙げたのは、スバルが2020年に発売した新型レヴォーグに搭載したアイサイトXへの採用。アイサイトXでは周囲を監視しつつの自動レーンチェンジなどレベル2+相当の自動運転を実現しているが、その実現にはザイリンクスのZynqの演算能力が寄与している。そのほか、コンチネンタルの長距離レーダー「ARS540」にもZynqが採用されていることを紹介した。
林田氏が、自動車関連で紹介した機能としてDFX(Dybamic Function eXchange)がある。このDFXは名前のとおり、機能を動的に入れ替えるもので、要件ごとにデバイスを再構成。たとえば、前後センサーによる運転前の安全確保、低速運転時の全周監視、高速運転時の前方監視を動的に変更することで、システム全体の消費電力とコストを低減していくという。
今後については、センサーデバイス個々へのエッジ採用だけではなく、それらを統合するドメインコントローラへの採用も進むだろうとの見方も示した。