SUPER GT第7戦もてぎ、8号車ARTA NSX-GTが逆転優勝 GT300は1号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS

SUPER GT第7戦もてぎは、8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/福住仁嶺組、BS）が大逆転で優勝

　SUPER GT第7戦もてぎ「2021 AUTOBACS SUPER GT Round7　MOTEGI GT 300km RACE」が、ツインリンクもてぎ（栃木県芳賀郡茂木町）において11月6日～7日の2日間にわたり開催された。7日の午後には決勝レースが行なわれ、GT500、GT300、両クラスの勝者が決定した。

　GT500では最終ラップまで12号車 カルソニック IMPUL GT-R（平峰一貴/松下信治組、BS）がトップを走っていたが、最終ラップにガス欠症状になりスローダウン。2位を走っていた8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/福住仁嶺組、BS）が大逆転で優勝した。2位は同じく最終ラップに12号車を逆転した19号車 WedsSport ADVAN GR Supra（国本雄資/宮田莉朋組、YH）、3位はなんとかフィニッシュラインにたどり着いた12号車。

　ポイントランキング1位の1号車 STANLEY NSX-GT（山本尚貴/牧野任祐組、BS）はノーポイントに終わったため、今回優勝した8号車は5点差まで点差を縮めて最終戦に向かうことになる。

　GT300はピット作戦を成功させた21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS（川端伸太朗/篠原拓朗組、YH）が優勝。2位は55号車 ARTA NSX GT3（高木真一/佐藤蓮組、BS）、3位は56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R（藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH）。ポイントランキングトップの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）は6位に終わり、56号車との差は6点差・こちらもチャンピオン争いは最終戦の結果で決まることになった。

GT500クラス、ホールショットはポールの19号車 WedsSport ADVAN GR Supraが獲るが12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがオーバーテイク

　今回のツインリンクもてぎのレースは快晴のなか行なわれ、レース前には自衛隊の「F-2B」が飛来、多くの観客を喜ばせた。

自衛隊の「F-2B」がツインリンクもてぎの上空に飛来

　GT500のレースでは、予選では10位になった1号車 STANLEY NSX-GT（山本尚貴/牧野任祐組、BS）は、実質2位に16点差、実質3位に19点差（SUPER GTでは1回のレースで優勝20点＋ポールポジション1点の最大21点を稼ぐことができる）をつけており、本人達の順位次第、そして2位以下の順位次第ではあるが、今回のレースでチャンピオンを決められる可能性がある。

GT500クラスのスタート

　そのスタートでは、ポールからスタートした19号車 WedsSport ADVAN GR Supra（国本雄資/宮田莉朋組、YH）はホールショットを奪い、そのまま順当にスタートしていった。2位には予選2位からスタートした24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R（高星明誠/佐々木大樹組、YH）、3位からスタートした8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/福住仁嶺組、BS）をオープニングラップで捉えた12号車 カルソニック IMPUL GT-R（平峰一貴/松下信治組、BS）が2位に上がった。24号車は5位まで下がり、4位には16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT（笹原右京/大湯都史樹組、DL）は4位にあがっている。

　11周目に37号車 KeePer TOM'S GR Supra（平川亮/サッシャ・フェネストラズ組、BS）がGT300の車両を押し出してしまってグラベルにはまってしまったため、FCY（フルコースイエロー）が出されることになった。後に37号車にはペナルティが出されることになった。その結果14位にまで下がってしまった（最終的に10位）。同時に38号車 ZENT CERUMO GR Supra（立川祐路/石浦宏明組、BS）を1号車 STANLEY NSX-GTがコーナーで後ろからプッシュしてしまい、38号車はスピンして最後尾に下がってしまった。ただし、この接触はレーシングアクシデントと判断され、1号車にペナルティが出されることはなかった。

　21周目に2位を走っていた12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが、タイヤが厳しくなってきたとみられる19号車 WedsSport ADVAN GR Supraからトップを奪った。24周目にトップを走っていた12号車 カルソニック IMPUL GT-R、3位を走っていた8号車 ARTA NSX-GTなどが一斉にピットに入り、各チームがピット作業を開始した。前回のツインリンクもてぎのレースではホンダ勢が他チームに先駆けてピットにはいるアンダーカット作戦を成功させて優位に立っていたが、ポイントリーダーの1号車 STANLEY NSX-GTは、アンダーカットどころか後ろから入った36号車 au TOM'S GR Supra（関口雄飛/坪井翔組、BS）にも抜かれるなどして、ピット作業でむしろ順位を11位に下げてしまった。その後1号車は後ろから追い上げてきた38号車、37号車にも抜かれ、13位へ順位を下げてしまった。結局1号車は12位とポイント圏外でゴールすることになった。

最終ラップまでトップを維持していたカルソニックGT-Rがガス欠症状、8号車 ARTA NSX-GTが大逆転で優勝

12号車 カルソニック IMPUL GT-R

　全車のピットストップを終えると、12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがトップに立ち、2位は8号車 ARTA NSX-GT、3位は19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、4位は16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、5位は14号車 ENEOS X PRIME GR Supra（大嶋和也/山下健太組、BS）となっていた。

　レース終盤には9位を走っていた23号車 MOTUL AUTECH GT-R（松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI）が緊急ピットイン。これにより23号車はリタイアになり、トップとの差が1レースの最大ポイントである21点以上の差がついてしまったため、これで23号車は最終戦を前にチャンピオン争いから脱落することになった。

12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと8号車 ARTA NSX-GTのトップ争い

　レースの最終盤にはトップの12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと8号車 ARTA NSX-GTのトップ争いにサーキットの視線は釘付けになる。ポイントランキングトップの1号車がノーポイントに終わることが濃厚になっていたため、12号車と8号車の両車の争いを制した方が、最終戦で1号車への挑戦権が与えられるため、どちらもトップを譲れないレースだ。

　そのままファイナルラップに入り12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが優勝するかに見られた2コーナーから3コーナーに向けて突然スローダウン。それを8号車 ARTA NSX-GTがオーバテイクしていく。その後12号車はガス欠症状とみられるような車を振る動きを見せる。結局それで勝負あり、8号車 ARTA NSX-GTは前戦に続き2連勝となった。その後12号車は、最終的に19号車 WedsSport ADVAN GR Supraにも抜かれ、3位に落ちてしまった。4位はレース終盤に16号車と14号車をコースで抜いてきた17号車 Astemo NSX-GT、5位は16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、6位は14号車 ENEOS X PRIME GR Supraとなった。

2位の19号車 WedsSport ADVAN GR Supra

GT500クラス表彰台

GT500クラス レース結果（暫定）

順位	カーナンバー	車両	ドライバー	タイヤ	サクセスウェイト	周回数
1	8	ARTA NSX-GT	野尻智紀/福住仁嶺	BS	35	63
2	19	WedsSport ADVAN GR Supra	国本雄資/宮田莉朋	YH	20	63
3	12	カルソニック IMPUL GT-R	平峰一貴/松下信治	BS	32	63
4	17	Astemo NSX-GT	塚越広大/ベルトラン・バゲット	BS	44	63
5	16	Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT	笹原右京/大湯都史樹	DL	13	63
6	14	ENEOS X PRIME GR Supra	大嶋和也/山下健太	BS	35	63
7	24	リアライズコーポレーション ADVAN GT-R	高星明誠/佐々木大樹	YH	16	63
8	36	au TOM'S GR Supra	関口雄飛/坪井翔	BS	41	63
9	38	ZENT CERUMO GR Supra	立川祐路/石浦宏明	BS	26	63
10	37	KeePer TOM'S GR Supra	平川亮/サッシャ・フェネストラズ	BS	30	63
11	39	DENSO KOBELCO SARD GR Supra	ヘイキ・コバライネン/中山雄一	BS	26	63
12	1	STANLEY NSX-GT	山本尚貴/牧野任祐	BS	60	63
13	64	Modulo NSX-GT	伊沢拓也/大津弘樹	DL	5	63
14	3	CRAFTSPORTS MOTUL GT-R	平手晃平/千代勝正	MI	36	59
15	23	MOTUL AUTECH GT-R	松田次生/ロニー・クインタレッリ	MI	37	55

　これでチャンピオン争いは、今日はノーポイントに終わった1号車 STANLEY NSX-GTが60点でトップ、実質2位は今日優勝した8号車 ARTA NSX-GTで2位、実質3位は17号車 Astemo NSX-GTで52点。実質4位は惜しくも今回のレースで3位に終わった12号車 カルソニック IMPUL GT-Rで45点、実質5位は36号車 au TOM'S GR Supra（関口雄飛/坪井翔組、BS）で44点、実質5位は14号車 ENEOS X PRIME GR Supra は40点で、ここまでがチャンピオンの権利がある形になる。ホンダ勢は1-2-3フォーメーションを築いており、かなり優位な立場を築いて最終戦に向かうことになる。

ランキングトップの1号車 STANLEY NSX-GT

ランキング実質2位の8号車 ARTA NSX-GT

ランキング実質3位の17号車 Astemo NSX-GT

GT300クラスは、ピット作戦を成功させた21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSが優勝、GT-R3位、BRZ6位でチャンピオン争いは最終戦で決着

21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS（川端伸太朗/篠原拓朗組、YH）

　GT300もポイントリーダーの61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）が、2位の56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R（藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH）に12点、3位の244号車 たかのこの湯 GR Supra GT（三宅淳詞/堤優威組、YH）に14点の差をつけており、ランキング2位や3位の結果次第ではあるが、はやりこのレースでチャンピオンを決定できる可能性がある。

　スタートでは、予選2位だったその61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがホールショットを決めて、予選でポールポジションを獲得した18号車 UPGARAGE NSX GT3（小林崇志/名取鉄平組、YH）を抜いてトップに立った。山内選手操る61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはじりじりと2位以下を引き離していく。

　7周目にGT300のレースは大きく動いた。ポールからスタートして2位でトップの61号車を追いかけていた18号車 UPGARAGE NSX GT3がリアから白煙を上げてコース脇の安全な場所にストップし、このレースからリタイアになってしまった。これで2位に上がったのは予選3位からスタートした予選3位の55号車 ARTA NSX GT3（高木真一/佐藤蓮組、BS）だが、すでにトップの61号車とは4秒ほど差がついている。ところが、そこから55号車が徐々に追い上げていき、15周目に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTをオーバーテイクしてトップに立った。

　トップの55号車は33周目にピットストップ、その翌周に2位を走っていた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがピットインするなど、各車ピットストップを行なった。この時に55号車はリアタイヤのみを交換し、フルサービスを行なった61号車よりも短いストップで、61号車がピットアウトすると両車の差は大きくなった。さらにその61号車に先がけてピット作業を行なっていた56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-Rが前をいっており、このレースでのチャンピン確定は難しそうな状況だ。

　全車がピット作業を終えると、トップに立っていたのは21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS（川端伸太朗/篠原拓朗組、YH）。2位は55号車 ARTA NSX GT3、3位は56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R、4位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、5位は88号車 JLOC ランボルギーニ GT3（小暮卓史/元嶋佑弥、YH）。レース終盤の見所は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTと88号車 JLOC ランボルギーニ GT3（小暮卓史/元嶋佑弥、YH）の激しいレースだが、終盤には61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが単独スピンして順位を2つ、6位へと下げてしまった。

21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS

　結局レースはピット作業でトップに立った21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS、2位は55号車 ARTA NSX GT3、3位は56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R、4位は88号車 JLOC ランボルギーニ GT3（小暮卓史/元嶋佑弥、YH）、5位は25号車 HOPPY Porsche（松井孝允/佐藤公哉組、YH）、6位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTとなった。

2位の55号車 ARTA NSX GT3

3位の56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R

GT300クラス表彰台

GT300クラス レース結果（暫定）

順位	カーナンバー	車両名	ドライバー	タイヤ	サクセスウェイト	周回数
1	21	Hitotsuyama Audi R8 LMS	川端伸太朗/篠原拓朗	YH	－	59
2	55	ARTA NSX GT3	高木真一/佐藤蓮	BS	45	59
3	56	リアライズ日産自動車大学校 GT-R	藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ	YH	57	59
4	88	JLOC ランボルギーニ GT3	小暮卓史/元嶋佑弥	YH	39	59
5	25	HOPPY Porsche	松井孝允/佐藤公哉	YH	15	59
6	61	SUBARU BRZ R&D SPORT	井口卓人/山内英輝	DL	75	59
7	244	たかのこの湯 GR Supra GT	三宅淳詞/堤優威	YH	54	59
8	11	GAINER TANAX GT-R	平中克幸/安田裕信	DL	48	59
9	52	埼玉トヨペットGB GR Supra GT	吉田広樹/川合孝汰	BS	45	59
10	10	GAINER TANAX with IMPUL GT-R	星野一樹/石川京侍	DL	17	59
11	60	SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT	吉本大樹/河野駿佑	DL	44	58
12	34	Yogibo NSX GT3	道上龍/密山祥吾	YH	8	58
13	360	RUNUP RIVAUX GT-R	青木孝行/大滝拓也	YH	－	58
14	96	K-tunes RC F GT3	新田守男/阪口晴南	DL	35	58
15	7	Studie PLUS BMW	荒聖治/山口智英	YH	－	58
16	30	TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT	永井宏明/織戸学	YH	12	58
17	35	arto RC F GT3	ショーン・ウォーキンショー/ジュリアーノ・アレジ	YH	－	58
18	5	マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号	平木湧也/平木玲次	YH	9	58
19	9	PACIFIC NAC CARGUY Ferrari	ケイ・コッツォリーノ/横溝直輝	YH	21	58
20	6	Team LeMans Audi R8 LMS	本山哲/片山義章	YH	－	58
21	50	Arnage AMG GT3	加納政樹/柳田真孝	YH	－	58
22	31	TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT	嵯峨宏紀/中山友貴	BS	32	57
23	48	植毛ケーズフロンティア GT-R	田中優暉/飯田太陽	YH	－	57
24	2	muta Racing Lotus MC	加藤寛規/阪口良平	BS	35	50
R	65	LEON PYRAMID AMG	蒲生尚弥/菅波冬悟	BS	42	32
R	87	グランシード ランボルギーニ GT3	松浦孝亮/坂口夏月	YH	12	12
R	4	グッドスマイル 初音ミク AMG	谷口信輝/片岡龍也	YH	38	12
R	18	UPGARAGE NSX GT3	小林崇志/名取鉄平	YH	5	5

　これで、ランキングトップは55点となった61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTで変わらず、2位は11点を加えて49点となった56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R、3位は2位で15点を加えて45点とした55号車 ARTA NSX GT3。GT300はまだまだポイント差が小さく、最終戦の結果次第でチャンピオン争いも大きく動きがありそうだ。

ランキング1位の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT

ランキング2位の56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R

ランキング3位の55号車 ARTA NSX GT3