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パナソニックコネクト、トヨタモビリティパーツに導入した「配送見える化ソリューション」を活用した共同配送の事例説明会

2022年6月14日 開催

トヨタモビリティパーツに導入した「配送見える化ソリューション」を活用した共同配送の事例について説明会を開催

 パナソニックコネクトは6月14日、トヨタモビリティパーツに導入した「配送見える化ソリューション」を活用した共同配送の事例について説明会を開催した。

 トヨタモビリティパーツは、2020年4月1日に全国33社のトヨタ部品共販とタクティーが統合して発足した修理部品などの販売会社であり、2020年6月からダイハツ工業およびスバルと修理部品の共同配送を開始している。

トヨタモビリティパーツに導入した共同配送の概要

 今回導入した配送見える化ソリューションは、自動車メーカーの垣根を越えた共同配送によって、ドライバー不足の解消や環境保全にも貢献するものであり、ドライバーはパナソニックの頑丈ハンドヘルド端末「TOUGHBOOK(タフブック)」を利用。運行管理者のパソコンとドライバー端末をクラウドを通じて相互連携し、配送状況や配送作業をリアルタイムに把握することで、業務や管理の効率化を実現するという。

頑丈ハンドヘルド端末「TOUGHBOOK」
TOUGHBOOKの画面

 パナソニック コネクト モバイルソリューションズ事業部 事業開発部 Zetes事業課の里平利彦主幹は、「2022年4月からトヨタモビリティパーツの全国の拠点で活用しており、誤配が減少したほか、リアルタイムでのデータ確認による顧客サービスの向上、ドライバー端末のパフォーマンスの向上によるオペレーションの効率化などの成果が上がっている」と述べた。

パナソニック コネクト株式会社 モバイルソリューションズ事業部 事業開発部 Zetes事業課の里平利彦主幹

 物流業界では、2024年問題と言われるドライバー不足の課題や、手作業が中心であるため現場でのデジタル化が進展しないこと、CO2削減などの環境保全への取り組みが求められるなど、多くの課題がある。

 こうした課題を解決するための手段の1つとして、複数の物流企業や事業所が連携した共同配送が注目されている。だが、各社で使用しているシステムが異なったり、使用するラベルが異なったりすることで、現場での運用が煩雑になり、目視検品での運用が増加。結果として、ミスにつながりやすいといった問題が発生していた。

 パナソニック コネクトの里平主幹は、「各社で分かれている管理体系の統一化や、それぞれの荷物の追跡を実現すること、異なるメーカーの配送先に対する優先度をどうするかといった点などが、共同配送を実現する上での課題となっていた」と指摘する。

 今回のシステムでは、ラベルの統一化などによって異なるメーカーの部品を管理できる環境を1つの配送管理システムで運用でき、作業の効率化や物流品質の担保が可能になった点が特徴だという。

 1つめの特徴は、システムの統一化によりトヨタ自動車、ダイハツ、スバルの各社で異なるラベルをトヨタ方式に統一して一元管理。「他社部品が混在しても管理できるようになり、煩雑な追加作業が不要で、自社と同レベルの高品質でローコストな配送が可能になった」という。

 2つめはリアルタイムで、荷物の管理や追跡を可能にする仕組みを導入した点だ。「ドライバー端末から配送実績をクラウド上にリアルタイムで送り、運行管理者はトヨタ、ダイハツ、スバルといった異なるメーカーの部品でも情報を一元的に管理できる。また、ドライバーや現場の状況をリアルタイムに把握できるようになっている。問い合わせにもリアルタイムで対応できる」という。

 3つめがドライバーの高位平準化の実現だという。ドライバー不足やドライバーの高齢化が進む中で、デジタル化によってオペレーションが煩雑になることには現場から大きな抵抗がある。「ドライバーの作業を分かりやすいオペレーションとし、誰でも使いやすく、新たに入ってきたドライバーでも翌日には利用できるように設計している。オペレーションにはこだわった」とした。

ドライバーの位置情報も確認できる
ドライバー端末の画面
管理者側の画面

 今回実用化した共同配送の仕組みでは、さまざまなメーカーの部品が倉庫に入荷した時点で、出荷ラベル発行専用アプリで発行したラベルを荷物に貼付。それをもとに配送コースごとに仕分けを行なう。ドライバーは、端末を使って統一されたQRコードを読み取ると、どこに配達するのかが分かるようになっている。複数の拠点に配送する際には最適な配送ルートも表示され、ドライバーの配送状況は「ZETES CHRONOS(ゼテス クロノス)」を活用して、リアルタイムで管理。配送上の問題が発生した場合にも即座に対応することができる。

 また、配送先の拠点に用意されたQRコードを読み取ることで、荷物の誤配がないようにしているほか、配送が遅れている状況や、不在の際には荷物を持ち帰ったという状況も管理できる。すべての配送実績はデータとして蓄積することが可能だ。今回の輸送手段シェアリングに続き、今後は、倉庫機能のシェアリングにも取り組むという。

 共同配送システムの中核となるのが、パナソニック コネクト傘下のゼテス・インダストリーズが提供するZETES CHRONOSである。ゼテス・インダストリーズは1984年3月に設立した企業で、欧州を中心に配送現場のプロセスを見える化するシステムで実績を持つ。30か国でビジネスを展開しており、社員数は1300人、サプライチェーンに関連するグローバルトップ500社のうち、80%に導入されているという。2017年7月にパナソニックグループが全株式の取得を完了し、2018年12月から日本でのサービスを開始している。

ゼテス・インダストリーズについて

 また、ドライバーが活用しているTOUGHBOOK FZ-N1シリーズは、210cmの高さからの落下試験やMIL-STD-810Gに準拠した耐振動試験を実施しているほか、IP66/68に準拠した防塵、防滴、防水機能を実現するなど、高い堅牢性を備えたハンドヘルドデバイスで、44種類のバーコードやQRコードの読み取りに対応。12時間の長時間バッテリ駆動が可能だ。

 パソナニック コネクトでは、将来の構想としてサプライチェーン全体が自律的に稼働するオートノマスサプライチェーンの実現を目指している。

 パナソニック コネクト モバイルソリューションズ事業部 事業開発部 Zetes事業課の計盛大課長は、「現場の情報を把握するところからオートノマスサプライチェーンが始まる。リアタイムの情報や、実績データをもとに、サプライチェーン全体の計画につなげていくことになる。サプライチェーンの課題に解決に取り組みたい」としたほか、「物流現場のプロセスを改革することでCO2を削減したり、働き方改善によって安心して働ける環境を実現したりといった取り組みを通じて、社会のサステナビリティにも貢献したい」などと述べた。

パナソニック コネクト株式会社 モバイルソリューションズ事業部 事業開発部 Zetes事業課の計盛大課長