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ロールス・ロイス、内外装をリファインした「ファントム・シリーズII」日本初公開 価格は6050万円から

2022年10月20日 開催

日本初公開されたロールス・ロイス「ファントム・シリーズII」とロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクター アイリーン・ニッケイン氏

 ロールス・ロイス・モーター・カーズは10月20日、ブランドイベント「ビスポーク・ボヤージュ」を東京都品川区の寺田倉庫で開催。この会場で5月に内外装のデザインをリファインした「ファントム・シリーズII」を日本初公開した。

 ファントム・シリーズIIでは、ロールス・ロイスモデルの大きな特徴となっている「パンテオングリル」上部にポリッシュ仕上げの水平ラインを新設。ヘッドライトにはレーザーカットされた「ベゼル・スターライト」を採用して、車内のルーフ部分に施されている「スターライトヘッドライナー」との一体化によって夜間の存在感を高めた。価格はファントム・シリーズIIが6050万円から、ファントム・エクステンデッド・シリーズIIが7007万円からとなる。

 このほかリファインについての詳細は、関連記事「ロールス・ロイス、『ファントム』の内外装をリファイン 特別モデル『プラティーノ』公開」を参照していただきたい。

ファントム・シリーズII
ボディサイズは5770×2018×1646mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3552mm
三次元切削加工で抽象的な奥行き感を表現するパート・ポリッシュドデザインの22インチ 7スポーク・ダイナミック・ホイールを装着。タイヤサイズはフロントが255/45R22、リアが285/40R22
シリーズIIへのリファインでハイライトとなっているフロントマスク
夜間でもパンテオングリルの存在感を示す「イルミネイテッド・グリル」を新採用
ヘッドライトベゼルに580個の星をレーザーカットで施された「ベゼル・スターライト」を備え、内外装で星空のイメージを表現している
内外装をリファインしたロールス・ロイス「ファントム・シリーズII」を日本初公開するアンベールセレモニー(2分24秒)

ファントムは私たちのアイコンであり、希少な宝石のような存在

ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクター アイリーン・ニッケイン氏

 イベントの冒頭であいさつに立ったロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクター アイリーン・ニッケイン氏は「ロールス・ロイス ファントムはラグジュアリーな世界において比類ない最高峰のポジションを確保しています。ファントムは私たちのアイコンであり、希少な宝石のような存在です。この最高峰のプロダクトで、私たちロールス・ロイスが持つベリーベストをすべて体現しているのです。デザイン、エンジニアリング、そしてクラフトマンシップといったすべての領域に渡ります。そんなファントムのシリーズIIでは、お客さまが気に入っていただいているものをすべて注意深く守っています。それでありながら、意味のある改良を行ない、進化していくお客さまの要望を反映しているのです」。

「ファントムは常に『最高のクルマ』という地位を誇っています。さらにビスポークが持つ能力や手腕により、お客さまはパーソナライズによって『自分の世界』を表現することができます。この世界には、“真のラグジュアリー”と呼べるものはほんのひと握りしかありません。ロールス・ロイスにおいてビスポークは真のコラボレーションです。それはお客さまと私たちのデザイナーや職人たちのコラボレーションで生まれるものだからです。ビジョンや想像力、最高峰の素材とスキル、精度が完璧にブレンドされて真にユニークなものを生み出すのです」とコメント。シリーズIIに進化したファントムとロールス・ロイスのビスポークプログラムについて紹介した。

ロールス・ロイス・モーター・カーズ プロダクト・スペシャリスト ケンザ・サーディ氏

 ファントム・シリーズIIのアンベールに合わせて登壇したロールス・ロイス・モーター・カーズ プロダクト・スペシャリスト ケンザ・サーディ氏は「皆さま、ファントムはロールス・ロイスの歴史において最も著名なクルマ、そしてヘリテージを持っています。さらにファントムはスーパーラグジュアリーカーのベンチマークでもあります。それはハンドビルドのクラフトマンシップであり、ビスポークの能力です」。

「シリーズIIとなるこのクルマでは、まずお客さまが長きに渡って愛してくれている点についてはしっかりと守っていきつつ、ほんの小さな、しかし本当に意義のあるデザイン変更を行ないました。そんな変更によってファントムの立ち位置を固めていこうと思っているからです。また、ファントムとファントム・エクステンデッドのキャラクターをしっかりと分けることも考えています。とくにファントムはドライバーズカーとしてのキャラクターを前面に押し出しました。一方でファントム・エクステンデッドのショーファードリブンという立ち位置は変わっていません」と語り、リファインの狙いを説明した。

お披露目されたファントム・シリーズIIの実車を使ってリファインのポイントなどを説明していくサーディ氏

 また、サーディ氏はリファインの解説を行ない、以前よりもさらに押し出しの強い表現となったフロントマスクでは「3つの重要なエレメント」があると説明。3ピースのポリッシュドステンレスで構成されるパンテオングリル、580個のレーザーエッチングで星を表現したスターライト・ヘッドライト、左右のヘッドライト内に新設されたデイタイムランニングライトとグリル上部のホリゾンタルバーを完全に合わせた水平基調のホライゾンラインの3点を挙げた。

 サイドビューでは切り詰められたフロントオーバーハングと長いホイールベース、後席に座る人のプライバシーを守って車内の静粛性も印象付ける力強いCピラーといったファントム特有の要素に加え、3D切削加工の技術を使った22インチのダイナミックホイールを新たに採用。このホイールはとくに走行中、キラキラと光を反射することによってダイナミズムを表現できるという。

インテリアのプライマリーカラーは「チャールズ・ブルー」。銅のパウダーで文様を表現したウッドパネルも備えている
インパネの助手席側に設置される「ギャラリー」と呼ばれる加飾パネル。ファントム特有の装備で、この車両では小さな滝の連なりや雨音のイメージをレーザー加工でステンレスプレートに刻み込んだ「カスケードスティール」を装着
ステアリングホイールの内側にマルチメディア機能を操作する多数のスイッチ類をレイアウト
アナログ式の3眼メーターを採用
アームレスト前方にインフォテイメントシステムの操作ダイヤルを配置
毛足の長いフロアマットにはレザークッションも設定。アクセルペダルはオルガン式
シートは前後ともに電動調節式。ハイファッション業界からインスピレーションを得たというピオニー・ピンクをコントラストステッチやパイピング類に採用
フロントシートの背面にピクニック・テーブルを内蔵
リアシートのアームレスト後方にクーラーボックスを装着。内部ではシャンパングラスも冷えていた
Cピラーの内側に電動式のリアドアやオーディオ、昇降式フットレストなどを操作するボタンと照明が用意されている
ドアトリムにもスピリット・オブ・エクスタシーの姿をエンボス加工で施す
ボディの後方側にヒンジを設定する観音開き式のリアドア。90度近くまで開いて高い乗降性を生み出す
ドアアームレストにエアコンの調節ダイヤルやシガーソケット、アッシュトレイなどを備える
リアドアに傘を収納している
前後のドアを開けた状態
光ファイバーを使って星空を表現する「スターライトヘッドライナー」。2007年デビューの「ファントム クーペ」で初登場し、ほかのモデルでも採用が拡大している
会場にはファントムのヘリテージを示す展示車として、1930年式の「ロールス・ロイス ファントムII コンチネンタル ドロップヘッドクーペ DHC by カールトン」も置かれていた

内装にバラの刺繍を施してアート作品仕上げに

ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋およびヨーロッパ ビスポーク・セールス・マネージャー クリストファー・コーデリー氏

 会場ではファントム・シリーズIIの日本初公開に加え、ロールス・ロイスのカスタマイズプログラムを手がける「ビスポーク スタジオ」について紹介するプレゼンテーションや見本展示などが行なわれた。

 ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋およびヨーロッパ ビスポーク・セールス・マネージャー クリストファー・コーデリー氏はプレゼンテーションのなかで、クルマを購入するときにはショールームに足を運び、そこから実際にクルマを手に入れるまでの旅が始まるというのが一般的だが、ビスポークで考える場合は、自分の身のまわりにあるものや家族、もっと単純に歩いているときに思いつくような、自分が好きでクルマに反映したいと思えるようなインスピレーションを受けるところからスタートしているのだと解説。

 これまでビスポークで手がけてきた具体例を挙げ、顧客の着想とそこから生み出されたカスタマイズについて説明。「ローズ・ファントム」と呼ばれているビスポークモデルでは、動植物を深く愛する顧客から「外にある世界を車内に取り込んでほしい」とのオーダーを受け、この挑戦に対する答えとして、ドアやルーフのトリム、インパネにあるギャラリーなどの箇所にバラの刺繍を施すことでアート作品のように仕上げた。刺繍はルーフトリムだけでも100万ステッチを数える気が遠くなるような作業だったが、完成した刺繍は日中や夜間など、光の当たり方によって常に異なる表情を見せる素晴らしいものになったという。

ロールス・ロイス・モーター・カーズ ビスポーク・エンブロイダリー・スペシャリスト ジョシュア・リレス氏

 そんなローズ・ファントムの刺繍を実際に手がけたロールス・ロイス・モーター・カーズ ビスポーク・エンブロイダリー・スペシャリスト ジョシュア・リレス氏は、十数年前に自分がロールス・ロイスで刺繍の作業に携わるようになった当時は、ヘッドレストに刻まれるRRのモノグラムを購入者自身のイニシャルや会社のロゴマークに変更するといった内容がメインだったが、歳月を経ることに進化を続け、今ではロールス・ロイス車のインテリアをキャンバスのように扱って、ローズ・ファントムのようなアートワークが可能になっているとアピールした。

会場では両氏によるプレゼンテーションのほか、実際にビスポーク スタジオで製作された見本品や資料などの展示も行なわれ、通訳を介して両氏に質問することもできた
内外装のカスタマイズ見本の展示
リレス氏の所属するチームが手がけたステッチの見本
ファントムで使われるギャラリーの例
革細工の実演コーナー
ロールス・ロイスモデルの内装に使われるレザー素材をさまざまな色に染めて作ったグラスマーカーから1色を選び、イニシャルの刻印を入れてもらうというデモ内容
流れるような手さばきでアルファベットの刻印がセットされ、あっという間にイニシャル入りのグラスマーカーが完成した