ニュース

TOYOTA GAZOO Racing、“もっといいクルマづくり”に向けて2023年シーズンの国内外ラリーの参戦体制を発表

2022年11月18日 発表

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、11月18日、2023年シーズンの国内外ラリーの参戦体制およびTGRラリーチャレンジ開催概要を発表した。

 3年連続3冠獲得を目指すFIA世界ラリー選手権(WRC)では、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組がTOYOTA GAZOO Racing WRTに昇格し、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組と3台目のシートをシェアする。

 社員が監督、エンジニア、メカニックとして参加する全日本ラリー選手権では、引き続き出場する勝田範彦/木村裕介組および、眞貝知志/安藤裕一組が開発中の新型車両をドライブ。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を継続して実践していく。

 また、全国の開催地域の皆さまと力を合わせ、誰でも手軽にエントリーできる参加型ラリーのTGRラリーチャレンジを開催。ラリー開催を起点とした地域振興にも取り組んでいく。

 なお、2022シーズンのラリーに関する主な戦績では、WRCにおいてマニュファクチャラーズチャンピオンを、カッレ・ロバンペラ選手がドライバーズチャンピオンを、ヨンネ・ハルットゥネン選手がコ・ドライバーズチャンピオンを獲得し、2021年に引き続き3冠を達成。全日本ラリー選手権では、JN1クラスに参戦した勝田範彦/木村裕介組がシリーズランキング2位を、眞貝知志/安藤裕一組がシリーズランキング7位を獲得している。

 TGR主催ラリーとなるラリーチャレンジは10戦(うち2戦は新型コロナウイルス感染状況を鑑みて中止)を実施し、のべ659台が参加した。

WRCチームオーナー/トヨタ自動車 社長 豊田章男氏のコメント

「家族的な雰囲気でプロフェッショナルなチームをつくってほしい」2年前にヤリ-マティにお願いしたのはこの一言だけでした。

 先日、初めて長い時間をチームと過ごしました。私も含め、本当に家族のような気持ちでいられるチームだと感じました。どんな話で盛り上がっても行き着く話題はクルマの話。他のどこにもいない“世界一クルマが好きな家族”のように思います。

 シーズンは終わったばかりですが、このチームと、また1年、WRCを戦っていけること、今から楽しみで仕方ありません。

 カッレとヨンネはディフェンディングチャンピオンとして迎えるシーズンです。違ったプレッシャーがあるかもしれません。しかし、6年連続チャンピオンを獲ったチームメイトもいます。まずは2年目……、素晴らしいシーズンになるようサポートしていきます。

 エルフィンとスコットには少し苦しい思いをさせた2022年でした。「もっと強い結果が出せる1年」に向けて、強いクルマをつくるサポートを最大限していきます。素晴らしい年にしていきましょう。

 スポットの参戦ながらチームに大きく貢献してくれたセブには、2023年も同じ期待をしています。その貢献はポイントだけではありませんでした。若いチームメイトにさまざまなことを与えてくれています。来季は貴元とクルマをシェアすることになりますが、このチームが強くなっていくために、引き続き、力を貸してもらえればと思います。新たに加わったヴァンサンは大きなプレッシャーを感じているかもしれませんが、セブと共にチームに貢献してもらえることを期待しています。

 貴元とアーロンには来季からチームチャンピオンに向けた走りをしてもらうことになります。どんなサバイバルなラリーでもゴールまで走ってきてくれるのが2人の走りでした。そんな走りを2023年もお願いします。

 GRヤリスは、WRCで勝つためにつくったクルマです。WRC参戦1年目にして、チャンピオンを獲ることができました。2023年、GRヤリスは、次のチャレンジをはじめます。それが“ラリー2”です。

“自分たちが勝つためのクルマ”ではなく、“お客さまが勝つためのクルマ”への挑戦です。その挑戦を、全日本ラリーで、勝田範彦選手にやってもらいます。GRヤリスのラリーカーで全日本ラリーに参戦し始めた昨年のように、最初はトラブルが続くかもしれませんが、クルマを鍛え続けて“勝てるクルマ”に近づけていければと思います。

 モリゾウもGRヤリスでラリーチャレンジに参戦しています。時間が許す限り、2023年も参戦させていただければと考えています。ラリーチャレンジにもGRヤリスの参戦が増えてきました。WRCというトップカテゴリーから、草ラリーであるラリーチャレンジまで、速度域は大きく差がありますが、GRヤリスが「どんなドライバーでも安心して走りを楽しめるクルマ」になればと考えています。

 そんな“もっといいクルマづくり”に向けて、トヨタは2023年もラリーに参戦させていただきたいと思います。

追伸1

 エサペッカとヤンネ、今シーズン一緒に戦ってくれてありがとう。来年はわれわれのライバルになるかもしれませんが、また表彰式で会えることを楽しみにしています。3回転しないように!

追伸2 ドライバーのヤリ-マティへ

 WRCドライバーだったヤリ-マティを相手に僭越とは思いながらも……君は僕のライバルだと思っています。だから、君と走るときは、どうしてもお互いのタイムを意識してしまう。

 最初に競ったのは6月の富士24時間。予選は僕の勝ち、決勝は君の勝ち。結果はドローでした。

 ラリージャパンの後の休日もみんなとダートコースで過ごしましたね。そのときは僕の勝ち。あのコースは、まさに僕がGRヤリスを開発した場所……。開発初期にクルマとモリゾウ自身を育ててくれた“ホーム中のホームコース”です。だから、絶対に、ここでは負ける訳にはいかなかった……。

 次はフィンランドで対決しましょう。冬の凍った湖は、スウェーデンで勝った君にとってはホームコースだと思います。

 もし、そこでも勝負がつかなければ……、その次は全日本ラリーに出てみませんか? 君はチーム代表だったから、ラリージャパンで走れませんでした。君にも、ぜひ日本の道を走ってみてもらいたいと思います。昔、君が表彰台に乗ったことのある北海道あたりでどうでしょう?

WRCチーム代表/ドライバーコメント

ヤリ-マティ・ラトバラ氏

 2022年はチームにとって最高のシーズンとなりました。3年連続の3冠は大きな挑戦となりますが、間違いなくわれわれの来シーズンの目標であり、それを達成するために引き続き力を合わせていかなければなりません。貴元がセブとクルマをシェアし、レギュラーチームのラインアップに加わるのはとても喜ばしいことです。彼にはフルシーズン出場する機会を用意し、引き続き経験も積んでもらいますが、このステップアップは適切なタイミングだと判断しました。2022年、貴元はWRCで最も安定してポイントを重ねたドライバーなので、チームにしっかりとポイントをもたらしてくれると確信しています。その他の3人は、ラリーに勝って選手権争いをしてくれる力のあるドライバーです。カッレはタイトル防衛という新しいチャレンジになりますが、よりモチベーションも高まるでしょうし、彼はなにより運転することが大好きです。エルフィンにとって、2022年は難しい1年となりましたが、クルマに対してはよいフィーリングでシーズンを終えたと思いますし、2023年も競争力ある走りをしてくれると確信しています。セブはフル参戦でなくても優勝争いができる速さを持っていますし、引き続きチームにも多くのことをもたらしてくれるはずです。

カッレ・ロバンペラ選手

 TGRと一緒に戦ってきたこれまでは素晴らしい3年間となっています。特に2022年は本当に素晴らしい結果を達成することができました。来年もチームの皆と共に戦い、3冠を勝ち取りたいと思っています。競争は常に激しくなっているのでタイトルを守るのはさらに大きなチャレンジになると思いますが、もちろんベストを尽くします。

エルフィン・エバンス選手

 TGRと共に戦う4年目をとても楽しみにしています。2022年は望んでいたような年にはなりませんでしたが、最初の2年はとてもよい内容でした。常に改善に向けて懸命に働き、結果を出しているチームの一員であることをとてもうれしく思っています。個人としては、2023年はもっと強い結果が出せる1年にしたいですし、チームとしても引き続き素晴らしい結果を継続したいと思っています。

セバスチャン・オジエ選手

 2023年も今年と同じような参戦の形をとり、TGRでの4年目の年を迎えられることをとてもうれしく思っています。トップチームでラリーに参戦し、自分の情熱を継続しながらも、家族との時間や別のことをする時間を持つこともできているので、とてもよいバランスで、ありがたく思っています。来年もTGRのチームの一員として、さらに多くの勝利を目指して戦うことを楽しみにしています。

勝田貴元選手

 自分のキャリアにおいて、次の一歩を踏み出すことをうれしく思っています。チームの中でこのような役割を担うことは自分にとって大きな目標でした。このような素晴らしい機会を与えていただいたことに感謝しています。もちろんこれまでよりプレッシャーも増えますが、来シーズンに向けて準備をしっかりして、チームのために自分ができるベストを尽くしたいと思います。

2023年参戦体制

FIA世界ラリー選手権(WRC)

 世界のあらゆる道で戦いクルマを鍛え続けることで、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をさらに進めるとともに、ヤリ-マティ・ラトバラ代表の下、2022年に引き続きトップカテゴリーのRally1クラスに参戦。3タイトル(マニュファクチャラー、ドライバー、コ・ドライバー)の3年連続獲得を目指していく。

チーム名:TOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)
チームオーナー:豊田章男氏
チーム代表:ヤリ-マティ・ラトバラ氏(フィンランド)
車両:GR YARIS Rally1 HYBRID(4207×1875mm[全長×全幅])
エンジン:GI4B
タイヤ:ピレリ製

ドライバー:カッレ・ロバンペラ選手(フィンランド)
コ・ドライバー:ヨンネ・ハルットゥネン選手(フィンランド)
ドライバー:エルフィン・エバンス選手(イギリス)
コ・ドライバー:スコット・マーティン選手(イギリス)
ドライバー:セバスチャン・オジエ選手(フランス)
コ・ドライバー:ヴァンサン・ランデ選手(フランス)
ドライバー:勝田貴元選手(日本)
コ・ドライバー:アーロン・ジョンストン選手(アイルランド)

ドライバー育成(TGR WRCチャレンジプログラム)

 サステナブルなモータースポーツ業界づくりに向けて、優れた才能の発掘や育成、継続的なステップアップのサポートなど、日本および世界のトップカテゴリーで活躍できる若手ドライバーの育成と輩出を目的としたプログラムを継続的に実施していく。

 勝田貴元/アーロン・ジョンストン組はTGR-WRTとして参戦しないラリーにはチーム外で参戦。車両はWRTと同様にGR YARIS Rally1 HYBRIDを使用する。また、引き続き大竹直生選手、小暮ひかる選手、山本雄紀選手がフィンランドを拠点として欧州の地方選手権ラリーを中心にRally4車両で参戦する。

全日本ラリー選手権

 社員が監督、エンジニアおよびメカニックとして参加し、人材育成と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実践するとともに、「ラリーファン」の裾野を広げる活動に取り組んでいく。

 2022年に引き続き、トップカテゴリーのJN1クラスに参戦。JN1の規定変更により、2023年から未発売・開発中の技術を用いた車両での参戦が可能となる。

 第1戦は2022年参戦車である「GR YARIS GR4 Rally」で参戦予定とし、第2戦より、勝田範彦/木村裕介組は「GR YARIS」をベースに開発中の「GR YARIS WR Concept(仮称)」で、眞貝知志/安藤 裕一組は開発中の次世代スポーツ自動変速機(DAT)を搭載した「GR YARIS GR4 DAT Rally」で参戦。開発中のクルマ、ユニットを鍛えていく。

チーム名:TOYOTA GAZOO Racing
車両/クラス:
GR YARIS WR Concept(仮称)/JN1クラス
GR YARIS GR4 DAT Rally/JN1クラス
主な仕様:1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジン、スポーツ4WDシステム“GR-FOUR”
ドライバー/コ・ドライバー:
勝田範彦選手/木村裕介選手、眞貝知志選手/安藤裕一選手
チーム監督:トヨタ自動車 凄腕技能養成部 豊岡悟志氏

2023年TGR主催ラリー

TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ

主管:TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge事務局

 TGRラリーチャレンジは、誰でも手軽にエントリーできる参加型ラリーをコンセプトに、国内ラリーの入門編として日本全国で開催。競技には、日本自動車連盟(JAF)が発行する国内Bライセンスの所有者であれば誰でもエントリー可能で、「GR86」「GRヤリス」のようなスポーツカーだけでなく、「ヤリス」「アクア」などAT車でも参加できることが魅力。

 また、開催に際しては、各地域の人々と力を合わせ、ラリー観戦と地域の魅力を体感できる観光を掛け合わせた「ラリーツーリズム」、モータースポーツで培った知識と技術を安全運転に活かす活動である「グッドドライバーレッスン」を実施するとともに、地元名産品の物販やキッチンカーを出展し、地域を盛り上げていく。

開催スケジュール

3月25~26日:三好(徳島県)
4月15~16日:八ヶ岳 茅野(長野県)
5月20~21日:恐竜 勝山(福井県)
6月3~4日:蘭越 ニセコ(北海道)
7月1~2日:渋川 伊香保(群馬県)
7月22~23日:利府(宮城県)
9月2~3日:唐津(佐賀県)
9月23~24日:びわ湖 高島(滋賀県)
10月21~22日:高岡 万葉(富山県)
11月4~5日:富士山すその(静岡県)
11月25~26日:豊田(愛知県)