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トヨタ 豊田章男社長の原動力は、「世の中のクルマラブと自動車業界を支えている人たちのため」への思い

タイ25時間耐久レース終了後、世界初公開した「IMV 0 プロトタイプ(セーフティカー仕様)」と一緒に記念写真に収まるトヨタ自動車株式会社 代表取締役 豊田章男社長

タイで精力的に活動する豊田章男社長

 12月18日、「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」(タイ25時間耐久レース)を開催中のチャーン・インターナショナル・サーキットにおいて、タイ25時間耐久レースに参戦中のモリゾウ選手ことトヨタ自動車 代表取締役 豊田章男社長に合同で話を聞くことができた。

 豊田社長は先週末にタイに入り、12月12日にタイ最大級の企業グループであるCP(Charoen Pokphand)グループと、カーボンニュートラル社会実現へ向けての取り組みで協業検討を合意。2日後の14日には、トヨタ モーター タイランドの60周年記念式典で精力的なプレゼンテーションを行ない、新型車「IMV 0コンセプト」「ハイラックスRevo BEVコンセプト」を発表。16日には、日本で令和5年度税制改正大綱が決まったことから、日本自動車工業会の豊田章男会長としてコメントを出し、同時にタイ25時間耐久レースの予選に挑んでいた。

タイトヨタの60周年記念式典でスピーチする豊田社長
タイで協業検討に合意したCPグループと共同記者会見

 そして、17日~18日にかけて水素GRカローラで25時間耐久レースに参戦し(水素などの燃料の関係もあって、スタート後4時間、ゴール前4時間の8時間参戦)、その合間をぬって現場にいた報道陣の質問に答えていた形になる。

 豊田章男社長は、CPグループとの合意について、水素GRカローラでの参戦について、タイトヨタ60周年についてなど、一連のカーボンニュートラル活動の先に、2023年のG7広島サミットやCOP28を見据えていることを語ったほか、税制改正大綱への質問にも回答。モビリティ社会の将来について、多様な選択肢を持つための活動を語った。

「世の中のクルマラブと自動車業界を支えている人たちのような誰かのために戦っているんです」

タイ25時間耐久レースゴール後の豊田社長

 豊田章男社長の、この行動力はどこから来ているのだろう。記者はその点について、「この1週間の動きを見ていて、とてもパワフルだと思います。モリゾウさんを突き動かす元はなんでしょうか?」と聞いてみた。

 豊田章男社長は少し考えて、「突き動かすものって、そうね、満身創痍でやっています。なんで、なんでやっているんでしょうね。ジャパンラブも陰りを見せたし。その中でなんでやっているんでしょうね。やっぱりね、クルマ好き、運転好きの方はサイレントではありますけれども、ずっと応援団だと思います、私の。私の本音トークがあったんですよ『ガソリン車が大好き』とか。あれをSNSとかでバックグラウンドミュージックのように使ってくれている。あれを思うと世の中の自動車好き、バイク好きにとって、この人が希望の星というようになっている。誰がやるんだという仲間が出てくるまでは、倒れるまでやるしかないじゃないですか。それが結果、パワフルに映っているんだろうと思っています」と語ってくれた。

 最後に、「やはり、世の中のクルマラブと自動車業界を支えている人たちのような誰かのために戦っているんです。そんな人をちょっと応援してほしいなと思いました」(豊田社長)と、自分を後押ししてほしいとも語った。

ゴール後、セーフティカー仕様の「IMV 0プロトタイプ」を見つけ、早速荷台に乗り込む豊田社長
そして記念写真。新型車のアピール、さらにピックアップらならではの荷台の耐荷重もさりげなくアピール。クルマ愛でもあり、気配りでもある

 以前から感じていたことだが、豊田社長はトヨタ自動車社長としてクルマを売るためというより、自分の大好きなクルマを好きでいてくれる人たちや、そのクルマを作ったりかかわったりする人たちのために働いているように見える。

 とくにそれを強く感じたのは11月のラリージャパンのときで、記者が「センチュリーGRMN」による登場はショーファー文化を守るためなのかと聞いたときに、記者はセンチュリーについて質問しているのに対し豊田社長はセンチュリーについてではなくショーファーに必要な運転手という職業について語ってくれた。当初はこのずれが分からなかったが、話をしているうちに記者とクルマを捉える視点が異なることに気がついた。記者は目の前のクルマだけが見えているのに対し、クルマを作る人たちに囲まれて育った豊田社長は、そのクルマの先にいる人など幅広い視野でものごとを捉えている。

 具体的には、新型クラウンの発表の際も記者は新型クラウンそのものに注目してしまいがちなのに対して、豊田社長のスピーチは第○代目クラウンを作った○○さんとクルマと人が一体になったものだった。

 そんな豊田社長は、クルマ好きやクルマにかかわっている人のために今はがんばっているという。社長や自工会会長、モリゾウ選手など、多彩な顔でクルマの選択肢を広げようとしている豊田章男氏の挑戦に対して、クルマ好きの方はSNSなどいろいろな形で声を届けてみていただきたい。それが、豊田社長の行動の活力や後押しになっていくのは間違いない。