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日本ミシュランタイヤ、本社移転完了発表会 新たに創造と革新の場「コラボレーションスペース」創設

2023年8月3日 発表

日本ミシュランタイヤが新たに群馬県の太田サイトに作ると発表した「コラボレーションスペース」の完成イメージ

「群馬から世界へ」を目指し進化し続ける日本ミシュランタイヤ

 日本ミシュランタイヤは8月3日、2021年12月から進めていた群馬県太田市への本社移転に関して、8月1日に登記も完了したことを報告すると同時に、今後の新たな取り組みなどを発表した。

 日本ミシュランタイヤ代表取締役社長の須藤元氏は、「群馬からワクワクする価値創造を実現すべく1歩ずつ歩みを進めてきましたが、これからより多くの群馬県内の企業とともに成長していくことに期待で胸がいっぱいです」とあいさつ。

日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長 須藤元氏。今回の本社移転に合わせて自身も引っ越し、住民票も群馬県に移したことを明かした

 また、2022年4月から稼働している金属積層造形「ミシュラン AMアトリエ」や、その技術推進を図るGAM(一般社団法人群馬積層造形プラットフォーム)も参画企業が増えているほか、群馬大学とのインターンシップの受け入れや出張授業など人材交流も盛んになり、須藤社長は「群馬県への移転をきっかけに、さまざまな企業や人とつながり、サポートしていただいている」と改めて感謝を述べた。

金属積層造形はミシュランの本国であるフランスでは2000年代初頭から利用している

 さらに、ドライバーと輸送力の不足によって2024年には全物流の30%が配達できなくなると懸念されている物流業界の「2024年問題」を解決すべく、群馬県にある美松運送と、車両動態運行管理を実現するドコマップジャパン、群馬大学と連携し、「ぐんまの運輸デジタルイノベーション」を8月1日からスタートさせたと発表。これは産官学連携事業として2023年度の群馬県の“デジタルイノベーション加速化補助金”の対象となっていて、環境に優しく荷主に選ばれる運送事業を目指すプロジェクトとなる。

ぐんまの運輸デジタルイノベーション参画企業
ぐんまの運輸デジタルイノベーションの概要

新たに「コラボレーションスペース」の創設を決定

 2023年8月より正式に本社となった太田サイトには、環境の観点から既存建物をそのまま生かしつつ、「集う・アイディアが生まれる」をテーマに、異なる知見を持つ社員が自由かっ達に知識を増幅し、社会貢献するための創造と革新の場となるコミュニティベース「コラボレーションスペース」の創設を決定。「サステナビリティ」「コラボレーション」「ABW(Activity Based Working=仕事内容などに合わせて自由に働き場所を選ぶ考え方)」を具現化するコラボレーションスペースは、2023年11月に建設着工、2024年4月に竣工予定としている。

2024年4月竣工予定の新コラボレーションスペース外観イメージ

 なお、コラボレーションスペースのデザイン・設計・建設は、群馬県太田市にある石川建設が率いるオール群馬企業のプロジェクトチーム「群馬WOOW」が手掛けるといい、建屋はコンテナを利用したシンプルな構造としつつ、コンテナはすべて群馬県で製作することで、運搬時のCO2排出量を極力抑えるとしている。また、「今後も自由に規模を拡大できるし、レイアウトも変更できるのでコンテナを利用した」と須藤社長はコンテナを用いた理由を語った。

 建材に関しても、一般的な建築で使用される石膏ボードは、クロスや塗料で仕上げるため再資源化が困難となることから、コラボレーションスペースでは石膏ボードを素地のまま使用したり、石膏ボードの代わりに断熱材をシートで覆い、上から木版をすのこのように固定する方法を採用したりなど、再資源化しやすい構造を目指すとしている。

コラボレーションスペース内装イメージ

人・地球・利益、すべてを持続可能にするのがミシュランのビジョン

 今回の本社移転に関して須藤社長は、「人・地球・利益、すべてを持続可能にするというミシュランの理念に沿っていて、社員の自主性と生産性向上のため、オフィスへの出社日数は、本人とマネージャーによる協議で決定するという新たな取り組みもスタートさせている」と紹介。

ミシュランのビジョンは「すべてを持続可能に」

 続けて「これはライフを楽しみながらワークを最大化するというミシュランの革新的な試みで、出社日数の指示を会社から社員におろすといった“ルール化”ではなく、社員自らが考え、マネージャーと自律的で自由な働き方を決める責任感を伴うプロセスでもある」と説明する。また、その実現のため、東京からのシャトルバス運行や就業時間の特例など、さまざまな福利厚生を適用しているとのこと。

日本ミシュランタイヤが取り組んでいる新たな施策

 そのほかにも、ミシュラン本社のあるフランスの高度専門職業人を養成するためのフランス独自の高等教育機関「グランゼコール」や、群馬県内をはじめとする国内の大学からインターンとして学生の受け入れを促進させ、「地域貢献や次世代育成の一助として、地域の子供たちの学習支援や学校への講師派遣などのボランティア活動を積極的に進めていく」と須藤社長は人に対する思いを語った。

産官学連携で「群馬から世界へ」発信するビジネスを目指す

 本社移転完了発表会には、群馬県知事をはじめ前橋市長や太田市長、群馬大学学長らも駆けつけ歓迎。

 群馬県知事の山本一太氏は「日本ミシュランタイヤの本社が群馬県に移転してきたことはかなりインパクトがあって、群馬県の勢いを説明するときにセールスポイントになっている。また、物流の2024年問題やカーボンニュートラルの実現、運送の効率化といったデジタルイノベーションにも力を入れているし、産官学の連携も引っ張ってもらっている。さらに人材育成プログラムにも力を注いでもらい、群馬県の経済の高度化と発展にものすごく貢献していただいている。県としても力を合わせてWinWinの関係を作っていきたい」と今後の期待を述べた。

群馬県知事 山本一太氏。自身の故郷である草津温泉の「温泉感謝祭」を抜け出して駆けつけた

 続いて前橋市長の山本龍氏は、ミシュランタイヤの本社があるフランスで、初めて3D金属プリンターを見たときのことを振り返り、「何もないスペースに突然“物体”が現れるんですよ。何もない場所に形ができるんです。もう“神”みたいなものですよ。そのすごい施設がまさか群馬にできるなんて、本当に感謝しています。そしていろいろなことがスタートすることにワクワクしています」と述べた。

前橋市長の山本龍氏。2012年から前橋市長を務めている

 太田市の清水聖義市長は、「ミシュランの名前はもちろん知っていましたし、タイヤを作っていることも知っていましたが、ある日須藤社長が現れて、本社を太田市へ移転したいと言われたときはとても驚きました。また、3D金属プリンターも拝見させてもらったのですが、昔は金型は削るものだったのに、考え方を変えれば世の中も変わるのかもしれないと、金型屋も言っていました。太田市には自動車を中心にして、いろいろな技術力はありますが、今回日本ミシュランタイヤがきてくれたことで、太田市の産業界も変わるのではないかなと感じています。また、昔ミシュランの研究室に入らせてもらったとき、外国人スタッフが大勢いたことから、もっと英語を使える人材を育てる必要があると感じ、ぐんま国際アカデミーの設立につながりました」とミシュランとの過去の接点を振り返った。

太田市長の清水聖義氏。ぐんま国際アカデミーを運営する学校法人太田国際学園 理事長も兼務している

 すでに日本ミシュランタイヤとの人材交流を盛んに行なっている群馬大学の石崎泰樹学長は、「現在政府ではさまざまな政策を進めていて、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムで、経済発展と社会的課題の解決に貢献すると言われている新たなリアル社会“Society 5.0”への変換もその1つで、そのためには大学など教育機関との連携が欠かせないものとなっています。日本ミシュランタイヤさんとはデジタルイノベーションの加速を図る取り組みを多数行なっていて、新たな知識の発見、産業活性化や社会課題の解決につながることを期待しています。また、グローカル・ハタラクラスぐんま(GHKG)プロジェクトでは、キャリア教育、コミュニケーション教育、中長期インターンシップの領域で日本ミシュランタイヤさんにサポートしてもらい、外国人留学生のキャリア形成と地域への定着といった取り組みが全国から注目されるとともに、文部科学省認定プログラムにもなっている」と、産官学連携がいかに重要かを語った。

群馬大学学長 石崎泰樹氏。ぐんまと世界をつなぐために、ぐんまで暮らし、ぐんまで働くための「グローカル・ハタラクラスぐんま(GHKG)プロジェクト」など、さまざまな施策を取り組んでいる

 共和産業の代表取締役社長でありGAM(群馬積層造形プラットフォーム)代表理事でもある鈴木宏子氏は、「群馬県は自動車産業を中心に裾野の広い中小企業が集まっていて、デジタルイノベーションによって大きな変革を迎えています。その中でもGAMはすでに活動を始めていますが、実はこれは2019年の秋に文化事業での交流をきっかけにスタートしたもので、コロナ禍でも毎週4時間のオンラインミーティングを実施し、2021年7月に動き出したものです。また、ミシュランはタイヤメーカーでありながら、レストランガイドブックを作るといった斬新な発想を持つ企業で、そのスピリッツに触れることで大きく影響を受けています。今後もデジタルイノベーションを加速させていきます」とミシュランの存在で群馬県全体が変化し始めていると紹介した。

群馬積層造形プラットフォーム代表理事(共和産業 代表取締役社長)鈴木宏子氏

 また、発表会に参加した群馬県経済産業部長の相川章代氏は、須藤社長からの「ぐんまの運輸デジタルイノベーションなど、産官民連携プロジェクトで群馬県はどのような未来を描いている?」との質問に対し、「デジタルイノベーション加速化補助金は2022年に作った施策で、これは群馬県が得意としている物流産業にデジタルの力を掛け合わせて、新たな価値、高付加価値型の産業への変換をうながしたいという思いから作ったものです。今回の事業では運輸業界の人でやっていたタイヤの管理を中心にデジタルの力を使い、効率化、適正化、省力化が図れると思っています。慢性的な人手不足や2024問題だけでなく、群馬県を皮切りに日本、そして世界のイノベーションにつながると期待してます」と回答した。

群馬県経済産業部長の相川章代氏
発表会にはミシュランマン(ビバンダム)とぐんまちゃんもお祝いに駆けつけた