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WEC富士6時間、トヨタやフェラーリ、ポルシェ、プジョーなどハイパーカークラス参加チームが会見

9月8日、WEC富士6時間の初日に行なわれたフリー走行。2回目でトップタイムをマークした8号車 TOYOTA GR010–Hybrid(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)

 世界三大レースの1つとなるル・マン24時間レースを含む、FIA 世界耐久選手権(World Endurance Championship:WEC)の第6戦となる富士6時間レースが、9月8日~10日に富士スピードウェイで開催されている。

 9月8日には2回のフリー走行が行なわれ、ドライ環境で行なわれたフリー走行2(FP2)ではTOYOTA GAZOO Racingの8号車 TOYOTA GR010–Hybrid(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がトップタイムをマーク。

 僚車となる7号車 TOYOTA GR010–Hybrid(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が続き、残り2戦でのWECチャンピオン獲得と、WEC富士6時間レース5連勝の記録を6連勝に伸ばすべくスタートを切った。

 FP2に先立ち、トップカテゴリーとなるハイパーカークラスのチームが参加する公式会見が行われた。

BoPによる調整でイコールな環境が実現しており、小さな差が勝敗を分けていると小林可夢偉WECチーム代表

会見前半の参加者

 会見の前半はTOYOTA GAZOO Racing、プジョー・トタルエナジーズ、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのチーム代表やチームマネージャー、ドライバーが2人ずつ参加した。

──小林可夢偉選手、チーム代表として7号車のドライバーとして母国レースに臨む気持ちを教えてほしい。

小林可夢偉選手兼チーム代表。なお、小林チーム代表がかぶっている帽子は、TGRの最新グッズ「バケットハット」(3500円)で、TGRの物販コーナーで販売中とのこと

小林可夢偉選手兼チーム代表:母国のレースに戻ってくることができてもちろんうれしい。これまでこのレースに向けて準備をしてきて、チーム、パートナー、スポンサー、さまざまな関係者と会ってきた。そうして迎えた母国のレースだし、準備は万端だ。われわれはこのサーキットで非常に強い(2016年から開催されたレースでは5連勝、2020年と2021年はコロナ禍で開催されず)ので、期待も大きい。

──7号車はモンツァで勝利したが、ここのサーキットでも調子を維持できるか?

7号車 TOYOTA GR010–Hybrid

小林選手:クルマの調子はいい。8号車はモンツァでは大変で、ル・マンのあと非常に厳しい時間を過ごした。しかし、モンツァでは非常によかったので、ここで勝ちたいと思っている。このシリーズは非常に競争が激しくなっており、BoP調整が進んだ結果、イコールに近づいている。ただし、ロングランにはまだ違いがあり、われわれはそこにアドバンテージがあると考えている。しかし、温度や天候などが大きなファクターで、誰がトップに来るかは変わってくると思う。

──プジョーとの差はどうか?

小林選手:ウェットでは正直負けていると思う。そのため自分たちとしてはドライのレースになることを期待している。ドライであれば自信がある。ただ、いずれにせよ競争は激しい。

──平川亮選手、昨年のこのレースは素晴らしい結果(8号車が優勝)だったが、今年はどうか?

平川亮選手

平川亮選手:昨年は非常にいい年だった。ここで勝って、チャンピオンも獲った。課題は天気だが、日曜日のレースで1-2フィニッシュしたい。

──今シーズンは残り2レースで、現在ポイントリーダーだが?

平川選手:タイトルのことは考えないようにしている。モンツァのレースでは運がわるく思ったような結果を得ることができなかった。しかし、まだまだポイントリードは大きい。フェラーリは非常に強いが、ここでリードをさらに広げて、最終戦のバーレーンに向かいたい。

──クリスチャン・デルトゥム氏(プジョーチーム チームマネージャー)、前戦モンツァでは表彰台を獲得したが?

クリスチャン・デルトゥム氏

クリスチャン・デルトゥム氏:重要なステップだった。われわれは信頼性などの点で大きく進化してきた。このシリーズの競争は本当に激しいので、非常によいステップを踏めたと考えている。

──9X8は2年目になるけども?

デルトゥム氏:去年ここのコースを走ったので、われわれには経験がある。天気が非常に重要だと考えており、土日は晴れるだろう。コンディションによっては、モンツァのように表彰台を目指せるチャンスがあると考えている。

93号車 プジョー 9X8

──ジャン=エリック・ベルニュ選手、プジョーはモンツァで初めて表彰台を得て上り調子に見えるが?

ジャン=エリック・ベルニュ選手:電気の使い方、タイヤマネジメント、セットアップなど、1年を戦ってきて大きく改善されている。今後もどんどん改善していくと思う。

──チーム全体が大きく改善しているということか?

ジャン=エリック・ベルニュ選手

ベルニュ選手:非常に大きな進化を見せている。とはいえ、最初の表彰台を獲得するまで非常に長い道のりだったが、チーム全体が改善してきた。もっとクルマを改善して、信頼性を高めることで、次の目標はレースに勝つことで、それに向けて頑張っていきたい。

──その中で何が重要になるか?

ベルニュ選手:一番大事なことは信頼性の改善だ。外から見ると同じに見えるかもしれないが、中は大きく改善してきている。この現場でも、ファクトリーでも、みながそれを実現すべくハードワークしてきた。今チームは同じ方向を向いて、みなが努力をしている段階だ。

──ジョナサン・ディウグイド氏(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ マネージング・ダイレクター)、ポルシェ・ペンスキーにとってこの富士のレースは初めてのサーキットになるが?

ジョナサン・ディウグイド氏

ジョナサン・ディウグイド氏:モンツァからやれることはやってきた。富士スピードウェイを走らせるのはもちろん初めてだし、天候に関してもどうなるのか注目している。フリー走行1回目のドライバーからのフィードバックはわるくなく、フリー走行2でさらに改善していくつもりだ。

──新しい車両での1年目だが、この経験をフィードバックして2024年に向けての準備が進んでいると思うが?

ディウグイド氏:まずは2023年シーズンをいいところで終えることを目指している。今シーズンでできるだけのことをしていくことが、2024年シーズンへの準備になる。

5号車 ポルシェ 963

──アンドレ・ロッテラー選手、日本に長い間いて第2のホームと言えると思うが?

アンドレ・ロッテラー選手:そうだ。昔ここに住んでいたので、ここに戻ってこられるのはうれしい。確か2003年2月にフォーミュラ・ニッポンのテストで走ったのがここで初めて走った経験だった。フォーミュラ・ニッポンやSUPER GTでキャリアを築いて、WECで走るようになった。そしてもう一度ここに戻ってくることができて素晴らしいことだ。

──フリー走行1で走った感じはどうだったか?

アンドレ・ロッテラー選手

ロッテラー選手:ウェットではスタビリティもよくて、トラックも運転できないほど濡れていた訳ではなかったし、競争力があって正直びっくりした。予選や決勝でもよいパフォーマンスを発揮できたらいいなと思っている。

ドライバーたちと記念撮影する小山町立成美小学校5年生のみなさん

 今回の記者会見には小山町立成美小学校5年生が招待されており、そのうちの何人かが急遽ちびっ子レポーターとなり、ドライバーに質問を行なった。

小学生代表:レース用のクルマは最高何km/hまで出ますか?

小林チーム代表:400km/hだ(大笑)。

ベルニュ選手:いや、250km/hだ(可夢偉選手からそれは遅すぎるだろというツッコミが入る)。

ロッテラー選手:399km/hだ(会場大笑)。真面目に答えると350km/hぐらいだ。

小学生代表:体調管理はどうしていますか?

ロッテラー選手:おいしく健康的なものを食べてスポーツをすることで、体の調整を整えることができる。ただ、トレーニングという観点ではクルマに乗ることが一番のトレーニングだ。

小学生代表:どんな気持ちで走っていますか?

ロッテラー選手:可夢偉は無の気持ちだろ(笑)。

小林チーム代表:そうだな(笑)。

フェラーリにとってのハイライトはル・マン24時間レース優勝と、元F1ドライバーでル・マンウィナーのジョビナッツィ選手

会見後半に参加した参加者

 会見の後半はフェラーリ・AFコルセ、キャデラック・レーシング、フロイド・ヴァンウォール・レーシングチームのチームマネージャーやドライバーが呼ばれて質疑応答に応じた。

──バッティ・プレグリアスコ氏(フェラーリ・AFコルセのチームマネージャー)、モンツァの2位という結果はどうか?

バッティ・プレグリアスコ氏

バッティ・プレグリアスコ氏:ベストは尽くしたが、モンツァでは勝てなかった。ここはトヨタのホームだし、勝つのは大変だと思うけどもやはりベストを尽くしたい。チームは全力を尽くしているし、ル・マンでは最高の結果を出せた。簡単な仕事ではないがしっかり頑張っていきたい。

──ル・マン24時間レースの優勝など、チームが成し遂げたことをどう思うか?

51号車 フェラーリ 499P

プレグリアスコ氏:予想をはるかに超えている結果だ。フェラーリがトップカテゴリーに復帰して、ル・マン24時間レース優勝という非常に大きな結果を出せて非常にうれしい。われわれはスタートの段階から着実に進化してきた。開発もうまくいって、ここまで来ることができたと思っている。

──アントニオ・ジョビナッツィ選手、FP1を走ってどうだったか? フェラーリは今シーズン予想以上の結果を出していると思うが?

アントニオ・ジョビナッツィ選手

アントニオ・ジョビナッツィ選手:フリー走行1では順調に走れた。土日はいい天気になると聞いているので、それが週末を通してどうかと言えば話は別だと思うが。チームがこれだけの短期間で成し遂げたことを誇りに思っている。これまでに何度かポールポジションを獲って、ル・マン24時間で優勝という結果はできすぎだ。しかし、シーズンを通して考えれば、まだまだクルマをよくしていく必要がある。ここからさらにプッシュしてタイトルを目指して最終戦まで戦わないといけないし、来年にも備えないといけない。

──ステファン・ミタス氏(キャデラック・レーシングチーム マネージャー)、今シーズンを振り返ってどうか?

ステファン・ミタス氏

ステファン・ミタス氏:シーズン前は、まずはル・マン24時間レースを目標にしてきた。富士はタフなサーキットで、フリー走行1回目のデータを見直してフリー走行2回目で改善していきたい。

──チームのオペレーションはよくなっているか?

2号車 キャデラック V-LMDh

ミタス氏:徐々によくなっている、モンツァではさらによくなったと考えている。残念ながらそれは結果には表れていないが、クルマはよりよくなっている。

──アール・バンバー選手、チームメイトのウエストブロック選手は2017年にポルシェでポールを獲っているなど、あなたも含めて経験があるコースだと思うが?

アール・バンバー選手

アール・バンバー選手:チャレンジングなコースであることは間違いない。長いストレートのハイスピード区間とスローコーナーの両方がある。今朝は非常にいろいろ学んだし、チームのオペレーションもどんどんよくなっている。チームは急速にWECを学びつつあると考えている。

──ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手、あなたは長い間日本にいて、このサーキットもとても経験があると思う。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手:21年日本にいるんだ、文字どおりホームだよ(笑)。われわれのクルマはまだ作っていている段階で、改善すべき点はたくさんある。このシリーズはワールドクラスのドライバーがそろっているし、面白いレースシリーズだと考えている。ウェットでの走行は非常によくて、チームと一緒にクルマをよくする作業をしていきたいと思っている。

4号車 ヴァンウォール ヴァンダーヴェル 680

──コリン・コレス氏(フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム チーム代表)、今シーズン、これまでの活動を振り返ってどうか?

コリン・コレス氏:この選手権はプロが戦うシリーズで、競争は激しい。このシリーズに挑戦することはヴァンウォールにとっては野心的なプログラムで、少しずつ前に進んでいる段階だ。

コリン・コレス氏

 会見の最後には小山町立成美小学校5年生のちびっ子レポーターからドライバーに質問が行なわれた。

小学生代表:今乗っているクルマはどれくらいのスピードが出るか?

ジョビナッツィ選手:350km/h前後だ。

小学生代表:レース前のルーティンはありますか?

バンバー選手:特にはない。ただ、ほかのドライバーが何をしているか観察したりしている(笑)。あと、気持ちわるくなるので牛乳は飲まないようにしている。

小学生代表:ドライブしていてワクワクすることはなんですか?

オリベイラ選手:ドライビング、レースそのものがエキサイティングだよ。スタート、それから予想どおりの動きをできたときかな。どのパートのレースでもワクワクするよ。