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ホンダ、新型「アコード」開発陣が11代目の進化ポイントを解説

2023年9月21日 発表

新型アコードの日本導入が発表された

最新技術の導入など常に最先端をリードする役目を担うアコード

 本田技研工業は、2024年春発売予定の新型「ACCORD(アコード)」に関する事前説明会を実施した。

 プレゼンテーションには、本田技研工業 四輪事業本部 四輪開発センターから、開発責任者 横山尚希氏、車体電装設計担当 相川寿夫氏、車体設計開発責任者 岡野克彦氏、日本統括部 商品ブランド部 商品企画担当 永坂徹氏、本田技術研究所デザインセンターから、エクステリア担当 石井裕樹氏らが登壇した。

新型アコード(11代目)

 日本国内商品企画担当の永坂氏によると11代目となる新型アコードは、ユーザーニーズが高い、「安全」「コネクト」「ハイブリッド」の領域に、日本でホンダ初となるな技術を搭載したモデルで、これからの時代との調和を目指し、今まで培ってきた“操るよろこび”に加え、新たに“先進性”を兼ね備えたことで、今後はアコードが日本のホンダを牽引していく役割を担うという。

本田技術工業株式会社 日本統括部 商品ブランド部 商品企画担当 永坂徹氏

 また、先代アコードについて永坂氏は、「デザインや走行性能は非常に高い評価を受けていたが、近年ニーズが高まっているナビやコネクト、安全機能はやや物足りないとの声がありました。その結果として60代を中心に購入してもらっていたが、40~50代のやや若いユーザーの販売比率が落ち込んでいました。やはり社会との調和を目指していくには、ナビやコネクト、安全機能の領域の進化は必須であると考えました。そして先代から続く強みであるデザインと走行性能は、上質さをキーテーマにしながら正常進化を図りました」と明かす。

 特に安全やヒューマンインターフェイスについては、「Honda SENSING 360」や「Googleビルトイン」など国内向けホンダ車では初となる機能を搭載。ホンダは、これらの機能がもたらす先進移動体験を、アコードの新たな強い価値として提供するとしている。ターゲットは50代後半~60代のホンダユーザーと、40代後半~50代前半のホンダユーザーもしくは元ホンダユーザーという。

モデル位置づけ
先代モデルの振り返り
新型モデルの進化の方向性

グランドコンセプトは「Driven by My ACCORD」

 続いて開発責任者の横山尚希氏は、「1970年代半ばは、エネルギー問題や新しい排ガス規制の影響を受け、自動車にとっては大きな変革の時代でした。その中、乗るの人たちのゆとりとクルマを取り巻く環境への調和を目指し、初代アコードが誕生しました。以降、時代に先駆ける技術を取り入れながら進化し、アコードはグローバルモデルへと成長しました。その成功は初代から脈々と受け継いできた高い志と確かな技術によって、お客さまとの信頼関係を40年にわたって築き上げたきたと考えています」とアコードの歴史を説明。

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 四輪開発センター 開発責任者 横山尚希氏
アコードの歴史

 また、今回11代目アコードの開発にあたり、その信頼をさらに強固なものに育てあげ、単なる移動の道具ではなく、お客さまのより充実した日常や人生の成功へ向けて、共に歩む存在になることを目標に掲げ、「アコードによる輝ける新しい世界への飛翔」を提案するという。

 ターゲット像は、自分らしく生きながらも、仕事や家族に対して責任感を持って常に若々しくありたいと思っているユーザーで、上質で高品質なものを選び、自分の気に入ったものにお金をかけられる価値観を持った人物=アーバンダンディ。

 グランドコンセプトは「Driven by My ACCORD~相棒アコードとより高みへ~」と定め、本物かつ強くありたいと願う“格・艶”、先進知能化装備コネクトの“進化”、常に最高の状態で挑戦できるための“整・冴”と3つのキーワードを設定。新型アコードに乗ることでステータスを過不足なく享受し、次の目的地へ向かうときに気持ちの切り替えを助けられる存在を目指したという。

提供価値「アーバンダンディ」
グランドコンセプト「Driven by My ACCORD」

デザインコンセプトは「クリエイティブブラックタイ」

 デザインコンセプトについては、エクステリア担当の石井裕樹氏が説明。デザインコンセプトは、セダンに必要不可欠な普遍性をしっかりと押さえつつ、遊び心のある価値観を兼ね備えたデザインを表現するために、デザインキーワードを「クリエイティブブラックタイ」に設定。正装の基本を押さえながら個性を貫く姿勢を意味し、普遍性と個性を高次元で調和させた新型アコードにふさわしい、魅力的なデザインの実現を目指すものという。

株式会社本田技術研究所デザインセンター エクステリア担当 石井裕樹氏
デザインコンセプトはクリエイティブブラックタイ

 パッケージは、現行モデルで実現した動体としてあるべき姿をゼロから追求したプラットフォームを基本に、そのポテンシャルをあますことなく引き出し、よりゆとりのある発進とデザインに仕上げられている。ホイールベースと全高は現行モデルを踏襲しながら、全長を延長することで、伸びやかさと格式を創出。また、リアトレッドを拡張することで、さらに安定したたたずまいを実現した。

 また、運転しやすいコックピットまわりのデザインとして、フロントウィンドウの下辺とフロントフードの見切りを水平基調とし、ベルトラインとフロントフードの稜線がつながって見えるように設定することで、車両の動きや進行方向が掴みやすい前方視界を追求。さらにボディの厚みを薄くすることで、リアタイヤの存在感を高めたとしている。

コクピットまわりのデザイン

 エクステリアデザインは、デザインキーワードである「クリエイティブブラックタイ」をコンセプトとし、ドライバーがより魅力的に見えるスタイリングとすることで、グランドコンセプトの目指す相棒としてのあり方を追求。フレームの美しさに加え、全長を現行モデルに対して延長した余裕を生かし、ボディ全体の伸びやかさを見せることで、装飾に頼らない新しいフォーマルを表現したとしている。

 ヘッドライトは薄型フルLEDライトを採用し、デイタイムランニングライトとポジション、ターンシグナルランプを集約したマルチファンクションライトを上部に配置。ヘッドライトハウジングをブラックアウト化することで、非点灯時にもデイタイムランニングライトの白色光が薄くシャープに浮かび上がる構成にしたという。リアコンビネーションランプもフルLEDを採用し、ボディとの段差をなくした面構成でハイコントラストなデザインとしている。

スタイリングのポイント
ヘッドライト
リアコンビネーションランプ

 フロントグリルは、遠くから見たときにもひと目でアコードと分かるシャープで明快なモチーフを使用。また、メッシュの開口部は、グリル内部を見づらくしながら造形の豊かさを感じさせる機能のあるデザインを採用した。18インチのアルミホイールはマットブラックの切削とすることで、品格と機能美を連想させる仕様としている。

 インテリアデザインは、「意のままの移動体験を提供する」という志からスタート。ホンダが元来大切にしてきた使いやすさや、近年特に力を入れている知覚品質をベースに、意のままに使える・つながる、新しい移動体験を追求したという。

 デザインコンセプトである「クリエイティブブラックタイ」と、新型アコードを目指す相棒としての役割を実現するために、「コンフォート」「インテリジェンス」「アドバンス」の3つのテーマを設定して開発。

インテリアデザインのコンセプト
エクスペリエンスセレクションダイヤルを国内初採用

 アコード初採用となる「エクスペリエンスセレクションダイヤル」は、3連ダイヤルを用いた従来型のヒーターコントロールユニットを脱却し、さまざまな機能を1つのダイヤに集約。お気に入りの空調やサウンドも一発で選んで起動できるうえ、空調、オーディオ、照明を自分好みに組み合わせたオリジナルモードを最大8個まで登録可能としている。

 ボディカラーは、フォーマルを忠実に演出することを狙いに、乗り手の個性を引き立てる全5色をラインナップ。イグナイトレッドメタリックとキャニオンリバーブルーメタリックをアコードとして初採用した。

タイプ&カラー

新世代のe:HEV 2.0リッターハイブリッドシステムを搭載

 車体設計開発責任者の岡野克彦氏からは、パワートレーンや最新安全装備について説明が行なわれた。

 今回搭載したパワートレーンは、走りと環境のバランスを考慮して、新世代のe:HEV 2.0リッターのハイブリッドシステムを採用。2モーター内蔵式CVTを刷新したことで、燃費性能やグリーン性能に加え、ドライバーの意思に忠実な動力性能を確保したという。

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 四輪開発センター 車体設計開発責任者 岡野克彦氏
パワートレーン概要

 アコードに初搭載するHonda SENSING 360は、約100°の有効水平画角を持つフロントセンターカメラを採用し、フロントと各コーナーに合計5台のミリ波レーダーを装備。また、リアコーナーレーダーの検知範囲は、約25mから90mと大幅に拡張。また、「前方交差車両警報」「車線変更時衝突抑制機能」「車線変更支援機能」と新たに3つの機能が加わった。

Honda SENSING 360システム概要
Honda SENSING 360搭載機能

 インパネまわりのデバイスは、ホンダの「ヒューマンマシンインターフェイス」の考え方に基づきレイアウト。ドライバーが向き合うステアリング周辺には、運転のための情報を整理した「情報系デバイス」を、インパネ中央には「操作系デバイス」を最適化して配置。インパネ上部にはフロントウィンドウ投影型の大型ヘッドアップディスプレイを採用。現行モデルに対し、約2倍の画面サイズで、より見やすく、分かりやすくしている。

 メーターは10.2インチデジタルグラフィックメーターを採用。右側にはスピードメーター、左側にはパワーメーターを配置し、中央のマルチインフォメーションディスプレイではホンダセンシングの作動状況や車両情報などのコンテンツをグラフィカルに表現させた。

 ディスプレイオーディオは、現行モデルの8インチから12.3インチに拡大。ショートカットキーをドライバー側に集中配置して、大画面のメリットを生かしつつ、1画面にオーディオとエアコンを同時表示し、複数の情報表示と簡易操作を集約し、使いやすさを向上させたとしている。また、回して押すだけの簡単操作で運転に集中できる、新採用の「エクスペリエンスセレクションダイヤル」は、エアコンや照明などの車内環境の操作を行なえる。

エクスペリエンスセレクションダイヤル概要
エクスペリエンスセレクションダイヤル基本性能

 マルチカラーイルミネーションの「アンビエントライト」では、エアコン室温が高いときは低いときは赤字快適な必要になると、ユーザーの選択した好みの色に変わるレコメンドモードや、ユーザーが選択したイメージの色で設定するThemeカラーモードが用意されている。また、コネクティッドサービスも大幅に進化し、Googleビルトインを搭載した。

マルチカラーイルミネーション
コネクティッドサービスのコンセプト
コネクティッドサービスの提供内容