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フォルクスワーゲン、新型4モデル公開とともに新型EV「ID.2all」の日本市場導入を予告 新ブランドディレクターのイモー・ブッシュマン氏も登壇

2024年7月3日 開催

会場ではフォルクスワーゲン ジャパンでブランドディレクターを務めるアンドレア・カルカーニ氏(左)がフォルクスワーゲン グループ イタリアに再赴任することがアナウンスされ、新たに任命されたイモー・ブッシュマン氏(右)があいさつを行なった

 フォルクスワーゲン ジャパンは7月3日、2024年下期に導入を予定している新型4モデルを公開する「Volkswagen New Model Press Presentation2024」をグランドハイアット東京(東京都港区六本木)で開催。

 フルモデルチェンジしたSUV「ティグアン」とステーションワゴン「パサート ヴァリアント」とともに、コンパクトSUV「T-Cross」、2024年に50周年を迎えた「ゴルフ」のビッグマイナーチェンジバージョンを披露した。

ティグアンとT-Crossについて解説したフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 プロダクトマネジメント課 シニアプロダクトマネージャーの山谷浩之氏
ゴルフとパサートについて解説したフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 プロダクトマネジメント課 シニアプロダクトマネージャーの八木亮祐氏

ティグアンが7年ぶりのフルモデルチェンジ

新型ティグアン

 7年ぶりのフルモデルチェンジで3世代目となる新型ティグアンは従来のMQBアーキテクチャーの進化版である「MQB evo」を採用。MQB evoが実現した新技術によってアダプティブシャシーコントロール“DCC”が“DCC Pro”に、従来のマトリックスヘッドライト“IQ. LIGHT”が“IQ. LIGHT HD”に、インフォテイメントシステムは新世代設計となる「MIB4」へ進化するなど、上級セグメントの先端技術を数多く採用した。

 エクステリアでは空力性能を追求し、Cd値を0.33から0.28にするとともに、ボンネットの位置を従来モデルより高くすることでSUVらしい力強さを強調した。

 パワートレーンはティグアンとして初となる1.5リッターの「eTSI」マイルドハイブリッドシステムの2WD(FF)モデルと、2.0リッターの「TDI」クリーンディーゼルエンジンのフルタイム4WDシステム「4MOTION」の4WDモデルをラインアップする。

ワゴン専用モデルになったパサート

新型パサート

 ワゴンボディ専用モデルになった新型パサートは、従来のMQBアーキテクチャーの進化版であるMQB evoアーキテクチャーを採用。従来よりボディを拡張し、ひとクラス上のセグメントに相当する4.9m級のボディサイズが与えられた。

 グレードは“Travel Assist”やレーンキープアシストシステム“Lane Assist”、レーンチェンジアシストシステム“Side Assist Plus”などの最新の運転支援システムをすべて標準装備した「Elegance Basic」(1.5eTSIのみ)をエントリーグレードに設定し、15インチの大型タッチディスプレイを備えた純正インフォテイメントシステム“Discover Pro”やヘッドアップディスプレイを標準装備した「Elegance」、専用エクステリアや専用シート、19インチアルミホイールを装着した「R-Line」を展開する。

 また、パワートレーンは1.5リッター eTSIマイルドハイブリッドシステム(2WD)のほか、フルタイム4WDシステム「4MOTION」を組み合わせた2.0リッター TDIクリーンディーゼルエンジン、これまでよりEV走行レンジを延伸させたプラグインハイブリッドのeHybridをラインアップした。

戦略的なプライスが掲げられたT-Cross

新型T-Cross

 今回唯一価格がアナウンスされた新型T-Crossは7月6日より開始。グレードは「TSI Active」「TSI Style」「TSI R-Line」を展開し、価格はTSI Activeが従来から1万7000円増の329万9000円、TSI Styleが2万1000円増の359万9000円となるが、TSI R-Lineは10万3000円減の389万5000円という戦略的なプライスが掲げられた。

 新型T-Crossでは現行モデルで高い評価を得た商品特徴を全方位で進化させ、日本の道路事情に適したボディサイズや取りまわしのよさはそのままに、灯火類やバンパーのデザインを中心にエクステリアデザインを刷新。ボディカラーは新色となる「グレープイエロー」「クリアブルーメタリック」「キングズレッドメタリック」を含めた計8色をラインアップ。

 エントリーグレードのTSI Activeには”Travel Assist”やレーンキープアシストシステム”Lane Assist”など最新の運転支援システムを標準装備。TSI StyleではLEDマトリックスヘッドライト“IQ.LIGHT”や運転席/助手席のシートヒーターを標準装備。TSI R-Lineでは専用エクステリアや専用シートを採用するとともに18インチアルミホイールを装着した。

マイナーチェンジしたゴルフ

新型ゴルフGTI

 マイナーチェンジした新型「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」は予約注文を9月から開始。

 最新のインフォテイメントシステムのMIB4を搭載するとともに、内外装をブラッシュアップ。エクステリアでは日本初採用となるイルミネーション付きVWエンブレムが与えられたフロントデザインがトピックの1つとなる。

 MIB4ではセンタークラスターに設置された12.9インチ大型タッチディスプレイを採用。頻繁に操作するエアコン温度設定や音量設定は、ディスプレイ下部に新たに配されたバックライト付きタッチスライダーバーで操作性を向上。メニュー構造も大型画面を活かすように改良され、画面の上下の帯には使用頻度の高い機能へのショートカットやエアコンの設定状況が常時表示されるなど、ホーム画面での情報の一覧性を向上。また演算処理も向上し、地図スクロールなどのレスポンスも改善したという。

 また、パワートレーンは2種類の出力をもつ1.5リッター「eTSI」48Vマイルドハイブリッドシステム、先代に引き続き設定されるデュアルAdBlue噴射機構とツインドージングシステムを備えた2.0リッター「TDI」クリーンディーゼルエンジンに加え、ハッチバック伝統のスポーツグレード「GTI」には195kW/265PSの2.0リッター「TSI」エンジンをラインアップする。

新ブランドディレクターのイモー・ブッシュマン氏も登壇

フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社 ブランドディレクターのアンドレア・カルカーニ氏

 会場では2022年からフォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターを務めるアンドレア・カルカーニ氏がフォルクスワーゲン グループ イタリアに再赴任することがアナウンスされ、新たにイモー・ブッシュマン氏が任命されたことを発表。

 イモー・ブッシュマン氏はドイツ国籍を有し、アジアの複数の国で教育を受けたのち、ハンブルク大学でマーケティング&国際・インダストリアル経営学の学位を取得。1998年にドイツのアウディ本社でキャリアをスタートさせたのち、早い段階からアジアの市場にフォーカスしてきたという。そしてアウディAGのセールスマネージャーとして日本のマーケットを担当したほか、2005年7月~2007年9月にかけてはアウディ ジャパンで、2007年10月~2010年7月にかけてはアウディ オーストラリアでそれぞれマーケティングのゼネラル マネージャーを務め、その後2010年8月~2014年6月にはフォルクスワーゲン本社のフォルクスワーゲン乗用車ブランドにてセールス ファーイーストのゼネラル マネージャーとして日本を含むアジアのマーケットを担当した。

 その後アジアに戻り、2014年7月~2016年7月にかけてアウディ マレーシアで2年間マネージングディレクターを務めたほか、2016年8月には中国の合併会社、上海フォルクスワーゲンに移りセールスのシニアディレクターを引き継ぎ、2021年9月からは上海汽車フォルクスワーゲン販売会社の副社長および上海汽車フォルクス ワーゲンのマーケティング&セールス ビジネス エグゼクティブディレクターを務めている。

 会の冒頭、アンドレア・カルカーニ氏は「今日これだけたくさんのプロダクトニュースをお届けすることをうれしく思います。フォルクスワーゲン、日本での新しい時代の幕開けです」と述べるとともに、2023年からブランド全体で発信している“Love Brand”というメッセージについて、「私たちは日本を含む世界中で“Love Brand”になることを目指しています。これまで長い伝統の中で、日本で200万台以上のクルマを販売してまいりました。そして、この200万台の中で実は100万台がゴルフです。この長いサクセスストーリーをさまざまな商品とつないでいきたいと考えております。やはり私たちにとって1番の財産は商品です。私たちはドイツらしい高品質のクルマを誇りを持って作ってまいりました。毎年、さまざまな素材を使って数々の商品、テクノロジーを開発してまいりました。そして、商品が私たちのビジネスの中心であり続けましたが、それは今後も変わりません」とコメント。

 また、日本市場においてはICE(内燃エンジン)とBEV(バッテリ電気自動車)の2本柱で展開していくことを改めて説明するとともに、2023年3月にドイツで発表された新型BEV「ID.2all」を日本市場に導入することを明らかにした。

 ID.2allは他のID.シリーズ同様、MEBプラットフォームを採用しつつモーターを前輪に搭載。2025年に欧州向けの生産モデルを公開し、2026年に発売するとしており、目標価格は2万5000ユーロ未満とアナウンスされている。

 ID.2allのコンセプトモデルとしては、ボディサイズが4050×1812×1530mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースが2600mm。166kW(226PS)を発生する駆動モーターを前輪に搭載し、航続可能距離は約450km(WLTP)とのこと。アンドレア・カルカーニ氏はID.2allについて、「非常にポテンシャルの高い、日本にぴったりな商品だと考えていますし、まさにフォルクスワーゲンらしいクルマです。ポロサイズでありながら非常に長い航続距離を誇ります」とアピールした。

ID.2all(コンセプトモデル)

 そして会の終盤、アンドレア・カルカーニ氏は「今日は私にとって特別な日で、プレスの皆さまとお目にかかるのは今日が最後になります。私の任期がもう間もなく終了することになりました。夏休みが終わりましたらフォルクスワーゲン イタリアに帰任し、そこで新しい職責を担うことになります。改めまして皆さまのこれまでのご支援に心よりお礼を申し上げたいと思います。私にとって、一生忘れることのないアドベンチャーとなりました。特に日本市場に私が着任したのがコロナ禍がちょうど終わったところで、半導体不足ですとか供給不足などの問題がございました。この間、大規模な(新モデルの)導入活動というのがございませんでしたけども、今回ようやく皆さまにこうした商品をお披露目することができて本当にうれしく思います」とコメントし、新たにブランドディレクターを務めることとなったイモー・ブッシュマン氏を壇上に招いた。

 そのイモー・ブッシュマン氏は、「バトンをアンドレアから引き継ぐことになりましたこと、とてもうれしく思います。今日はうれしい理由が2つあります。1つは日本に戻ってきたこと。私は人生のほとんどをアジアで過ごしてまいりました。フォルクスワーゲングループでのキャリアの中の9年は日本に関わるものだったのです。日本という市場に対して、また国に対して、文化に対しても憧れと敬意を持っております。フォルクスワーゲンをこの新時代に日本で導くことをとても楽しみに思っております。これまでアンドレアとチームがやってくれた仕事を引き継ぐこと、そして次のステップに導くことをとても楽しみにしております。8月1日に着任します」と述べるなど、日本での活動に期待感を示した。

イモー・ブッシュマン氏