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カロッツェリアの最新オーディオを松田次生選手の「180SX」にインストールしたら1990年代のクルマがライブ会場に大変身

レーシングドライバー松田次生選手と愛車の1台である日産「180SX」

旧車でも2DINさえあれば、現代の快適なオーディオライフが実現できる

 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(現:全日本スーパーフォーミュラ選手権)やSUPER GTでシリーズチャンピオン獲得の実績を持ち、2024年もSUPER GT GT500クラスに近藤真彦監督率いるKONDO RACINGから「リアライズコーポレーション ADVAN Z」で参戦していたレーシングドライバー松田次生選手。

 そんな松田選手は大のクルマ(特にGT-R)好きとしても有名で、現在所有している愛車はハコスカGT-R、R32スカイラインGT-R、R33スカイラインGT-R、R33スカイライン GT-R オーテックバージョン(4ドア)、R33 400R、ステージア260RS、R34スカイラインGT-R、R34 GT-Rニスモ、Z31フェアレディZ、Z33フェアレディZ 380RS、Z34フェアレディZ、RPS13 180SX、ジムニーシエラ。さらにドリフト車としてS15シルビア、ER34スカイライン、スカイラインクーペなど、マニアックなラインアップとなっている。

180SXは同世代のシルビア(S13/PS13)が、S14へフルモデルチェンジした後も発売されていて、松田選手のクルマはまさに1997年式の後期型
塗装を含めて外装はとてもきれいだが、これはレストアではなくオリジナルとのこと

 ただ、最初から日産車ばかりに乗っていた訳ではない。鈴鹿サーキットに近い三重県桑名市出身で、鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラクラス(SRS-F)に入校していたこともあり、長くホンダ系ドライバーであった。そのため以前の所有車はホンダ車ばかりで、運転免許を取得したときに購入したシビックは、約10万km乗ったと振り返る。

 そして2006年にホンダから日産へ移籍したことをきっかけに日産車を購入。今でこそ高嶺の花となっているRB26DETTエンジン搭載のGT-Rだが、2008年からの数年はリーマンショックの影響で中古車価格が下落した時期だったので、そのタイミングでR33GT-Rを購入。ここからGT-Rをはじめとした日産車コレクションがスタート。そして最近、手に入れたのが180SX。松田選手いわく、「シビックを買うときに購入候補の1台に入っていたのが180SXだったけれど、予算が合わずに購入できなかった」と、昔から欲しい1台であったと明かす。

S14と同時期に販売されていたクルマだが、180SXに搭載されたSR20DETは可変バルタイ機構の「NVCS(Nissan Valve Timing Control System)」が付いていない仕様だった。エンジンやターボはノーマル。インタークーラーを大型化しているが、これは購入時のまま。長く大事に乗りたいとのことでブーストアップもしていない
購入時は音量の大きなマフラーが付いていたので、快適に乗るため騒音規制に対応するフジツボ製マフラーに交換済み
サスペンションはナックルごとS14用に変更され5穴化済み。ブレーキも対向2ポッドキャリパーから4ポッドキャリパーにアップグレードされている
ホイールは購入時に履いていたバディクラブの「P1レーシング」という1990年代に流行したホイール。今後はタイヤを含めて交換するそうだ
室内の程度もよく、ステアリングも購入時に付いていたもの。自分好みの操作感やデザインではないので、今後交換する予定とのこと
運転席&助手席ともにブリッド製セミバケットシートに交換。セミバケットシートは体のホールド性が高く、長距離乗っても疲れにくい。シートバックには松田選手の名前が刺繍で入れてある特別仕様

 松田選手が所有するクルマはチューニングブームのころの車両が多く、実際にチューニングしている車両もある。ただし180SXに関しては“快適な移動”をテーマに制作するとのことで、チューニングはほぼせずにカーオーディオのアップデートなどが施されている。

 また、仕事の都合で長距離を走ることが多く、車内で音楽を聴くことは1つの楽しみだったが、購入した180SXに装着されていたカーオーディオは古いモデルで音楽を聴くのにCDを一枚ずつ入れていくタイプ。しかもスピーカーはコーン紙も破れ、「とりあえず音が出る」というレベルで、とてもじゃないけれど快適な移動とはかけ離れた状態。しかもカーナビは古いだけでなく、故障して使えなかったそうだ。

この180SXはサーキットなど仕事での移動にも使うという。リラックスしてドライブをするためにも音楽が聴ける状態にすることは重要なので、オーディオのアップデートを行なうことにしたとのこと

 そこで180SXの音楽環境を変えることを相談したのが、カーナビやカーAVのブランド「carrozzeria(カロッツェリア)」を展開していて、幅広い車種に合う製品をそろえている「パイオニア」だった。加えてカロッツェリアでは、最近1つの傾向として、ネオクラシックと呼ばれる世代のクルマを購入したユーザーが、音楽環境の改善を目的に最新のオーディオ機器を装着するというニーズが増えているという。

 希少価値のある180SXの内装に加工せずにスマートに装着できるシンプルなオーディオシステムは、まさに松田選手の要望と合致することから、180SXのカーオーディオ環境のアップデートをパイオニアが引き受けることになった。

 そしてチョイスされたのがディスプレイオーディオの「DMH-SZ500」を軸にフロントスピーカーに「TS-C1740S」、リアスピーカーに「TS-X170」という組み合わせ。

カロッツェリア DMH-SZ500。6.8インチワイドVGA画面を持つディスプレイオーディオ。Apple CarPlay、Android Autoに対応。Bluetoothにも対応。2DINサイズなので旧車にも取り付けしやすい
フロントスピーカーはカロッツェリア「TS-C1740S」。17cmセパレート2ウェイスピーカー。純正位置に自然に収まっている。音の指向性を出しつつ、高音域の音をきれいに鳴らすダッシュボード用トゥイーターや、高品位の音響パーツを採用することで低クロスオーバーを実現するCシリーズ専用の「クロスオーバーネットワーク」も付属する
松田選手のリクエストでもあるボックススピーカー。密閉式3ウェイスピーカーシステムのカロッツェリア「TS-X170」をチョイス。トノカバーにはボルトで固定している
前置きインタークーラーのパイピングを取りまわすため、バッテリはトランクに移設済み。また専用ボックスを製作していて、きれいに収めている

180SXと同世代のJポップを気持ちよく聴くための音場設定

 180SXはセンターコンソールに2DINサイズのオーディオ装着スペースがあるので、メインユニットは2024年5月に発売した6.8インチディスプレイのDMH-SZ500を選択。この機種はBluetoothに対応しているので、Apple CarPlayやAndroid Autoをワイヤレスで接続できる。松田選手もApple CarPlayを利用しているので、ふだん聴いている音楽をそのまま車内に持ち込めるようになった。このApple CarPlayが使えることは、松田選手からの要望の1つでもあったそうだ。

Apple CarPlayが使用できるDMH-SZ500。音楽のほかにスマホの地図アプリやナビをディスプレイに表示できる

 松田選手は180SXで聴きたい音楽を新たにスマホに入れていた。それは180SXが現役の時代に音楽シーンで流行っていた、浜崎あゆみさんや安室奈美恵さん、globeやGLAYなどのJポップ。

 当時ももちろん聴いていたが、クルマの進化同様、カーオーディオの技術も進化しているので同じ曲であっても再生能力が違うため、当時聴いていた曲の印象とどれくらい違うかがアップデートのポイントだったが、視聴した松田選手は「全然違います! ライブ会場にいるみたい。すごいなこれ」と笑顔で感想を語ってくれた。

視聴をした松田選手はその仕上がりにかなり驚いていた

 車内に装着した各スピーカーとドライバーとの距離は一定ではないため、DMH-SZ500にはそれぞれのスピーカーに対して音の出るタイミングを詳細に調整できる「タイムアライメント機能」が搭載されている。これにより、すべてのスピーカーからの音が同時に聞こえるようになるだけでなく、あたかも目の前で歌手が歌っているような音場を作れるのだ。

 さらにDMH-SZ500には13バンドのグラフィックイコライザー機能があるので、ロードノイズ、エンジンノイズでマスキングされる部分の音域のレベル調整しつつ、1990年台のJポップらしいパワフルな音へと仕上げられていた。

タイムアライメントの設定で、松田選手から「ライブ会場にいるみたい」「目の前で歌手が歌っているようだ」といわしめた音の聞こえ方を実現。その設定データがこちら
松田選手が当時好んで聴いていた1990年代のJポップアーティストに合わせたイコライザー設定。ノイズの多い180SXの車内でもボリュームを上げすぎることなく満足感の高い音楽視聴ができるようになった。このデータも松田選手の180SXで設定されているもの
曲調に合わせて低音域をよりハッキリ鳴るように設定。現行車のオーディオもいい音だが、カロッツェリアの製品には「好みの音」「好みの聞こえ方」を作る機能があるのがポイントだろう

 視聴を終えた松田選手に感想を聞いてみたところ、「今のクルマにはない魅力を持つ旧車を楽しむには、やはり走らせることが何よりだと思います。そして楽しく走るためにはいい音で音楽を聞けたほうがいいし、ドライブへ行くのにも新しいナビアプリが使いたいものです。最新のカーオーディオに換えれば、それをすべて実現できてしまう。今後はチューニングやカスタムだけでなく、旧車+カーオーディオという点についてもいろいろと発信していきたいと思います」と語っていた。

松田選手は取材後、神奈川県の撮影現場から三重県の自宅へと意気揚々と走り去っていった
松田次生&小林可夢偉 presents 180SX進化計画 後編(13分45秒)

【お詫びと訂正】記事初出時、スピーカー「TS-C1740S」を“コアキシャル”と誤って表記しておりました。正しくは”セパレート”になります。お詫びして訂正させていただきます。