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BYD、事業方針発表会で「2025年末にPHEV乗用モデル、2026年にEVトラック導入」を予告
2025年1月27日 14:25
- 2025年1月24日開催
BYDは1月24日、「事業方針発表会2025」をシティサーキット東京ベイ(東京都江東区青海)にて開催した。そのなかで2025年中にPHEV(プラグインハイブリッド)モデルの日本導入を発表し、BEV(バッテリ電気自動車)とPHEVの両輪で展開を進めること、2026年以降にEVトラックを導入すること、販売面では2025年内に国内100店舗とすることなどが発表された。
PHEVを導入しBEVとPHEVの両輪で展開
発表会では、ビーワイディージャパン 代表取締役社長の劉学亮氏、ビーワイディージャパン 執行役員副社長の石井澄人氏、BYD Auto Japan 代表取締役社長の東福寺厚樹氏の3人が登壇。
劉氏はBYDが30周年を迎えるなどの概要を説明するとともに「BYDジャパン創立20年、電気バス10年、乗用車3年の節目の年」とし、2024年は新エネルギー自動車の累計生産台数が1000万台を超え、BEVよりもPHEVの台数が多くなったことなど、現在のBYDの状況を説明した。
劉氏は日本での展開を振り返り、2000年に日本に来て東京・四谷に事務所を設置、2005年に法人を設立、さらに2014年の群馬県にある金型メーカーの買収に触れ、日本のモノづくりの素晴らしさを知り、BYDの自動車の発展に欠かせない存在だと説明。
バスについては2015年に京都で「K9」という全長約12mのバスを導入したことがスタートとなるが、劉氏はこの車種ではステップがあるなど高齢化社会を迎える日本にふさわしくないとして日本の社会に合うサイズのバスを検討、その結果日本専用の7m小型バス「J6」を登場させた。そのためJ6のJはジャパンのJだと紹介した。
そして、劉氏は「電気自動車の社会の浸透はまだまだ。インフラの整備は当然ながら、多くの消費者が電気自動車の素晴らしさを知っていても、乗るたびに航続距離や充電施設への不安から逃れられていない」と指摘、それらの要求に対する回答として「2025年内にPHEVを日本で発表する」と宣言した。
なお、PHEVの発表時期だけ明らかにしているが、発売時期は許認可の関係から詳細な時期は定めにくく、発売も2025年内を目指しているとのこと。車種についても1車種でBEVとPHEVを選べるようにはしないとして、どの車種のPHEVを導入するのかは今後考えていくとのことだ。さらに劉氏はEVトラックの導入も発表。時期は2026年と説明した。
中型バス「J7」を発表、今後はEVトラックも導入
つづいて、商用車部門を担当するビーワイディージャパン 執行役員副社長の石井澄人氏が登壇した。
石井氏はBYDの商用車は2008年の研究開発開始からスタートして今年10周年を迎えたと説明、2024年のグローバルの販売台数は乗用車と商用車を合わせて427万2145台のうち、商用車は2万1775台で、伸び率は+89%と乗用車と商用車を合わせた台数よりも伸び率が上まわっていると説明。
累計ではEVバスとEVトラックを合わせた世界累計販売台数は12万7000台で、EVバスが8万5000台。石井氏は「商用車シリーズは、今日もまさに世界各地で多くのみなさまの生活に欠かせない社会インフラの一部として活躍」としてロンドンの2階建てバスを紹介、ロンドンバスへの累計販売台数は約1700台として、さらに増えていくとした。
国内でも、2015年に大型路線バスの「K9」を納入してから10年が経過し累計販売台数が約350台、国内のEVバス市場ではシェアを7割強という実績を紹介、ドライバーから「力強い、運転が楽」という評価もあり、コロナ禍以降は受注が急増してしているという。
日本向けの小型路線バスの「J6」は累計170台を納車、バス路線用だけでなく自動運転の実証実験車両のベースとしても人気を集めているという。大型バスの「K8」も240kmという長い航続距離やV2Lの対応などが評価され、国内で140台を納車した。
そして、今回発表の「J7」は日本で求められる中型バスの幅2.3m、全長9mという日本専用設計。インホイールモーターを搭載する最新のeアクスルを採用、バッテリは216kWhで天井と後席の後ろに搭載した。価格は3650万円。
石井氏はK8、J7、J6で大型、中型、小型と3モデルがそろったこともあり、2030年までのEVバスの累計販売目標は4000台と掲げた。そのためにはサポート体制として、京都市にパーツセンターを設置、補修部品の供給体制整備や、24時間365日の緊急対応サービス、問い合わせの専用窓口の設置を行なったという。
また、トラックについては2026年以降順次展開として、車種や価格などは確定していないが、2025年秋に新しい発表をするという。EVバスとEVトラックの両輪で電動商用車の普及を促進していくとした。
PHEVを導入、国内展開は創業期から成長期へ、年末まで全国100拠点体制
乗用車部門はBYDオートジャパンの東福寺氏が説明。2024年はグローバルで乗用車は425万370台を販売して前年比41%増。日本は2223台で前年比58%増。創業期の総仕上げを意識しながら活動し、新型車シールの導入、全国キャラバンで体験機会の増加、長澤まさみさんのテレビCMによるコミュニケーション強化を行なった。
東福寺氏は現在のBEVを取り巻く状況について「連日のようにEVはオワコン、EVは減速しているなどといまだに報道はされているが、その一方で、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、BEV、電気自動車、電動車への注目が高まっている。BEVはひとつの踊り場を迎えたという販売台数の推移はあるかもしれないが、電動化の流れはじわじわと進んでいく、ということが多くのアナリストの分析やシンクタンクの予想」と指摘した。
そのうえで「加速する“EVの多様化”」とし、BYDが大きく飛躍している原動力としてBEVとPHEVの両輪経営があるとした。BYDは2008年に量産型のPHEV車を開発、2020年には内燃機関だけで動くガソリン車の生産を中止して、以後はBEVとPHEVのみを生産、特にPHEVがBEVの台数を超えることで成長路線を歩んでいるとした。
さらに、日本のEV市場は輸入EVが主役とし、輸入車の10台に1台はBEVで、BYDは輸入BEVに占める比率は9.2%で、BYDの3モデルすべてが国内トップ10に入っているとした。
一方、2025年は全国で100店へ拡大し、サービス、メンテナンス対応の環境整備を進めていく。今後、PHEVを扱うが、BYDディーラーを経営するパートナー会社はほかのブランドを扱っていることが多く、エンジン車を扱うことについての体制は特に問題ないとした。
シーライオン7は4月に発表、発売をすることを明らかにし、「非常にスタイリッシュ、かっこよさ、エレガンスさを加えたクロスオーバーSUV」「インテリアはこれまでのBYDのハイテクなイメージと高品質さを感じさせるもの」「正面に大きな回転型の画面と車内を照らすLEDによる光の演出で、ドライバーと同乗者に心地よい空間を提供する」「大きくて解放感のある大型のパノラミックガラスルーフ」という特徴を説明した。
シーライオン7の仕様面では後輪駆動と四輪駆動の2つを用意、満充電での航続距離は暫定値で後輪駆動で590km、四輪駆動で540kmの予定だという。
さらに、PHEV車については「BEVの1本ではなく、世界の潮流に従った次なる成長期に向けた大きな要因となる商品」とし、BEVとPHEVの2つを軸とした経営をBYDオートジャパンは進めていくとした。そのうえで、2027年ごろまでにBEVとPHEVで7~8モデル体制を構築すると言及した。