ニュース
トヨタ、「ウーブンシティ」のPhase1初公開 豊田章男会長は竣工式で「永遠に未完成の街であり、未来のモビリティのテストコース」とあいさつ
2025年2月22日 16:00
ついに公開された未来のモビリティのテストコース「ウーブン・シティ」
ウーブン・バイ・トヨタは2月22日、静岡県裾野市に建設を進めている未来のモビリティのテストコース「Toyota Woven City(以下、ウーブン・シティ)」の報道公開を行なった。ウーブン・シティは、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏(当時)が登壇した2020年のCESプレスカンファレンスでその構想が発表された街で、豊田社長が2018年のCESで宣言したトヨタ自動車のモビリティカンパニーへの変革を具現化するものになる。
2025年のCESでプレスカンファレンスに登壇した豊田章男会長は、ウーブンシティを未来のモビリティのテストコースと紹介。「自分以外の誰かのために」という思いで実証を行なうInventors(インベンターズ/発明家)や住民やビジターであるWeavers(ウィーバーズ)に加えて、ウーブン・シティはコラボレーションの場所であることなどがプレゼンテーションで語られた。
ウーブン・シティは総面積29万4000m2で、今回公開されたのはPhase1と呼ばれる部分で、2024年10月に竣工した4万7000m2。Phase2と呼ばれる18万2000m2のエリアは造成工事中で、Inventor Garageと呼ばれる開発支援の場は6万5000m2は開発中となっている。
Kakezan Invention Hub
Kakezan Invention Hubは、インベンターズとウィーバーズがつながる共創の場所。トヨタの強みと自動車産業ではない業界の強みを「掛け算」することで、一社や一人では創り出せない新しい価値やプロダクト、サービスの創出を狙う場所、「掛け算による発明」を創りだすとしている。
ここにはインベンターズのプロダクトが展示され、ウィーバーズが実際のプロダクトを見て、意見を交わしていく。プロダクトは完成品ではなく、仮説や試作段階のものを想定していて、ウィーバーズからのフィードバックをもらいながら、インベンターズは開発を加速させる。インベンターズ同士、インベンターズとウィーバーズが交流するイベントなども開催予定している。
地下
ウーブン・シティでは、地下も物流の実証の場所として活用する。地上の「街」には、「歩行者専用の道」「歩行者とパーソナルモビリティが共存する道」「自動運転モビリティ専用の道」があり、4本目が地下にある「物流の道」になる。
地下に道を作ることで、天候などの環境に左右されずに自動搬送機能などの実証を行なっていく。
物流の実証を行なうにあたり、ウーブン・シティの「しくみ」の1つであるデジタルツイン技術を活用していく。デジタルツインは、収集したデータなどを元に現実世界をデジタル上で再現する。
この活用で、デジタルの世界でシミュレーションしたことをリアルの世界に反映してフィードバックを得て、それをデジタルの世界に加えて、そこでの精度を向上させていくという。
デジタルツイン技術を物流にも適用し、未来の物流のあり方を考えていく。
コートヤード
インベンターズとウィーバーズが集まるのがコートヤード。今回の公開ではeパレットが展示され、UCC(上島珈琲)が水素焙煎したコーヒーと通常焙煎したコーヒーの飲み比べが行なわれた。
竣工式
この報道公開に先立ち、2月22日にKakezan Invention HubでPhase 1竣工式が行なわれた。竣工式には、トヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏、同 副社長兼CTO 中嶋裕樹氏、プラント・環境技術部スタッフが参加。ウーブン・バイ・トヨタからは、CEO 隈部肇氏、CFO 近健太氏、SVP 豊田大輔氏ほか画賛か。建設を担当した大林組 代表取締役社長兼CEO 蓮輪賢治氏、設計を担当した日建設計 代表取締役社長 大松敦氏ら、建築・設計関連のスタッフも参加して神事が執り行なわれた。
豊田章男会長 あいさつ
豊田でございます。
本日、竣工式を迎えるにあたり、これまで多大なるご支援、ご協力を賜りました裾野市、静岡県および地域のみなさま、すべての関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。
かつて、ここには、トヨタ自動車東日本の東富士工場がありました。その閉鎖を決断した2018年。私は、工場で働く仲間たちと直接、対話をする場を持ちました。
その時、様々な事情で、一緒に働くことができなくなる仲間たちへの想い、この地でクルマを作り続けてきた誇り、地域の方々への感謝。一人ひとりが、その心の内を、精一杯、私に伝えてくれました。
その顔を見て、その想いに触れて、私は、「この場所を、未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい」、そう心に誓いました。
ウーブン・シティは更地の上にできるのではありません。半世紀に渡り、自動車産業と地域のために働き続けた仲間の想いの上にできる街です。私の言葉で申し上げれば、「クルマ屋たちの夢のあと」です。
あれから7年。私の想いは、多くの人たちの手によって、現実のものになろうとしております。ビャルケ・インゲルス・グループのみなさまには、夢のようなコンセプトデザインを描いていただきました。
日建設計のみなさまには、そのデザインを具現化する、最初の段階からご協力をいただきました。
三井住友建設のみなさまには、溶岩掘削に大変なご苦労をされながらも、この場所の造成工事を成し遂げていただきました。
そして、大林組のみなさまには、のべ42万人、340万時間に及ぶ建設工事を
「無事故・無災害」で実現いただきました。
今日、この場にお見えになる日建設計と大林組のみなさまには、最後の最後まで、私どもの設計変更にご尽力を賜ったと聞いております。
「幸せの量産」という、私どものビジョンに共感くださったみなさまの「何としても成し遂げる」という意志と情熱、そして、「自分以外の誰かの幸せ」を願う、優しい心。それらがなければ、今日の、この景色は見られなかったと思います。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
ウーブン・シティは、進化し続ける、「永遠に未完成の街」であり、「未来のモビリティのテストコース」です。の場所から、「ウーブン・シティがあって良かった」、みんながそう思えるような、未来のモビリティが生まれてくることを期待しております。
これからも、 志を同じくするみなさまとともに、未来に向けた歩みを進めてまいりますことをお約束して、私の挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。