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ANA、窓の広いボーイング787-9型機による初日の出フライト
富士山とともに初日の出を望むコースで運航
(2015/1/1 11:53)
- 2015年1月1日実施
ANA(全日本空輸)は1日1日、旅客機上から初日の出を観賞する「初日の出フライト」を実施した。2001年から毎年行なわれ好評を博しているフライトで、今回で15回目。ANAセールスが企画し、ANAマイレージクラブ会員限定で発売された。
2014年の初日の出フライトは3月31日に退役を控えていたボーイング747-400D型機での運航が話題となったが、今回は2014年8月に就航したばかりの新鋭機ボーイング787-9型機を用いて羽田空港を離発着するフライトが用意された。
ボーイング787型機を使用する初日の出フライトは、2012年にもボーイング787-8型機を用いたフライトが計画されたものの、同機の納入遅延により機材変更となった経緯がある。そのため、ボーイング787シリーズによる初日の出フライトは今回が初めての実施。ボーイング787型機は従来機のボーイング777型機や同767型機に比べて窓が1.2~1.3倍のサイズとなっており、より広い窓から初日の出を堪能できることが魅力となる。
このほかには、同じく羽田空港を離発着するボーイング777-200ER型機を用いたフライト、中部国際空港(セントレア)を離発着するボーイング737-800型機を用いたフライトを実施。いずれも富士山とともに初日の出を望める飛行計画となっている。
これらのツアーは2014年11月19~21日に順次発売され、羽田離発着のフライトは6万円~10万円(2名の料金)、名古屋離発着のフライトは8万5000円という国際線並みの料金にも関わらず、割高な窓際席はいずれも1時間以内に完売。購入者は40~50代の夫婦が多いと言う。
このほか、大晦日の夜に羽田空港から中部国際空港へ移動し、中部国際空港離発着の初日の出フライトに参加後、伊勢神宮に初詣を行う3日間のツアーも発売されている。
今回は、羽田空港を離発着するボーイング787-9型機を用いたフライトの模様をお届けする。羽田空港国内線ターミナルは、平時は朝5時のオープンとなっているが、この日は初日の出フライトのために4時にオープン。シャッターが開く4時前から待機する初日の出フライト乗客の姿も見られた。
搭乗口では、振り袖姿の地上係員がゲートを彩り、「未」の凧などで飾られた賀正パネルも用意され、お正月の雰囲気を演出。また、今回は2月から導入される新制服を着用して業務を行っているのも特徴だ。乗客との記念撮影にも応じており、多くの乗客が列を作って撮影を楽しんでいた。
初日の出フライトに使用されたボーイング787-9型機は、その愛称のとおり「ドリームライナー号」と名付けられ、ANA2005便の便名で運航。羽田空港を5時35分に出発し、8時に到着するスケジュールが組まれた。使用されたのは7月30日に日本に到着した同型初号機の「JA830A」。プレミアムクラス18席、エコノミークラス377席の395席のうち、幼児2名を含む269名の乗客が搭乗した。
乗客の搭乗は4時40分ごろより開始され、振り袖姿の地上係員の誘導で機内へ。その際に、初日の出フライトの「お土産」も手渡されている。この中身は、飛行経路が書かれた搭乗証明書や、ユーハイムのバームクーヘン、お屠蘇、日付の刺繍が入ったタオル。未成年の乗客には、お屠蘇の代わりにジュースが入っているという。
全乗客が搭乗後、予定よりやや早い5時29分にスポットを離れ、5時45分にD滑走路より離陸。あいにく大気の状態がわるく、激しく揺られながら高度を上げ、静岡県の沖を航行。空が徐々に白み始めるなか、岐阜県中津川市付近上空の旋回ポイントへ到達した。
ちなみに、機内が明るいと光が窓に反射して見づらいことから、日の出時刻の6時47分を控えた6時25分過ぎに窓際の照明、6時35分過ぎには機内の全照明が落とされ、よりストレスなく観賞できるよう配慮もされている。
予定ポイントでは当初予定されていた1万6000フィートより、やや高度を上げた1万8000フィートで旋回。しかしながら、1万6000フィート付近に厚い雲が張っており、残念ながら予定されていた富士山を望みながらの初日の出を拝むことはできなかった。
とはいえ、雲海の水平線から昇る太陽は鮮やかなオレンジで、“空からの初日の出”の雰囲気は十分。ボーイング787-9型機の窓は縦方向に長いのが特徴で、この雲海の奥行き感もより引き立つと言える。乗客も窓際に集まり、観賞、写真撮影など、思い思いの方法で初日の出を拝む光景が見られた。
同機はその後、新潟県方面へ向け北上、魚沼市付近から日光方面、茨城県北部より南下して、羽田空港へ戻る進路を取る。
その途中、日光を過ぎたあたりで、機内がざわつき始めた。見ると、機体右後方に、雲が晴れた富士山が、その姿を現していた。機内アナウンスでもその旨が告げられ、乗客も再び窓際に集合。本来であれば初日の出と同時に見るはずだった富士山だが、あとは羽田空港に帰るだけという静かな時間に姿を見せてくれたことで、前向きに考えれば、1回のフライトで2度の楽しい時間を過ごせるという、新年早々恵まれたフライトとなった。
なお、順序が前後するが、日の出前より、機内では「おせち料理」が乗客にふるまわれた。内容については、お品書きの写真を掲載するので参照してほしいが、国内線プレミアムクラスで提供されているPremium GOZENのおせち料理版と表せるもの。これも、お正月の雰囲気を盛り上げるものと言えるだろう。
さて、羽田空港へのアプローチで高度が下がると再び機体は大きく揺れたものの、A滑走路へ無事着陸し、8時8分にスポットへ到着。タラップを降りて、バスで空港ターミナルビルへ戻ることとなる。その降機ポイントでは、地上スタッフがお正月を祝うポスターを掲げてお出迎え。最後の最後まで新年の祝賀ムードに溢れたフライトとなった。