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波乱のニュル24時間2016決勝、Mercedes-AMG GT3が表彰台を独占
日本勢ではSUBARU WRX STIがクラス2連覇を飾る
(2016/5/30 12:21)
- 2016年5月28日~29日(現地時間)開催
突然の天候悪化で波乱のレースに
158台のエントリーを集めた第44回ニュルブルクリンク24時間耐久レースの決勝が、現地時間の5月28日15時30分から29日に掛けて開催された。
5月28日は朝から晴れ間が広がり、スタート地点となるグランプリコースや北コースと呼ばれるノルドシュライフェに多くの観客が集結。気温は20度ほどまで上昇し、1時間半の時間を設けているスタート進行は順調に進むこととなった。
昨日までの3回の予選でポールポジションを獲得したのはMercedes-AMG GT3(9号車)で、2番手はBMW M6 GT3(18号車)、3番手はMercedes-AMG GT3(88号車)というトップ3になった。158台のうち実際に総合優勝を狙えるのはGT3車両が属するSP 9クラスで、計40台がエントリー。ポールポジションを競り合ったメルセデスとBMWは、今シーズンからマシンを新型にスイッチした。ニュルブルクリンクを知り尽くした両メーカーは、VLNやQFレースから好成績を収めていて、24時間レースの予選でも他のGT3勢を上回る速さを見せた。
スタート時刻の15時30分前になると、158台のマシンを3組に分けたフォーメーションラップが開始。1周約25kmのノルドシュライフェとグランプリコースを周回し、スタートが切られた。
トップのGT3車両は、予選と変わらない8分20秒前後のラップタイムを刻み順調に周回を重ねていた。しかし、トップ集団が4周目に入ったところで突如コースの西側が大雨に見舞われ、多くのマシンがガードレールに接触するアクシデントが発生。コースを濡らした大雨はひょうへと変わり、路面を埋め尽くしてしまう。東側やグランプリコースはドライコンディションのままだったが、このひょうの影響を受け赤旗が提示され、レースは中断となった。
約3時間の中断を経て、レースオフィサーからは19時20分にレースが再開するとアナウンスされた。ひょうは止んだがリスタート前からグランプリコースでも雨が降り出し、コース上の全面がウェットコンディションへと変化。雨量は強く、再スタートのフォーメーションラップは3周に渡って続いた。結局、リスタートしたのは20時過ぎで約1時間にわたりフォーメーションラップが行なわれたのだった。
リスタート後も速さを見せたのはMercedes-AMG GT3で、予選トップの9号車や3位の88号車、9号車と同じAMG-Team Black Falconの4号車、AMG-Team HTP-Motorsportの29号車などがトップ争いを繰り広げた。
中断の原因となった雨は夜になると止み、路面もウェットからセミウェット、ドライへと変化していった。夜明けを迎え、レースが後半戦に入るころにもMercedes-AMG GT3の優勢は変わらず、そこに常勝チームSchubert Motorsport Gmbhの100号車とRowe Racingの23号車の2台のBMW M6 GT3が割って入る戦いとなった。
それでもMercedes-AMG GT3の優勢は変わらず、レース終盤になるとトップ4をMercedes-AMG GT3が独占。優勝争いは4台のMercedes-AMG GT3に絞られ、レースは残り1時間を迎える。この時点で29号車、4号車、88号車、9号車の順でともに数分のギャップで競い合っていた。もっともタイム差が少ないのがトップと2位で、徐々に4号車が29号車を追い詰める。
15時30分のチェッカーに向けて最終的には2台の争いがテールトゥノーズとなり、ファイナルラップのグランプリコースで4号車が29号車をパスすることに成功した。AMG-Team Black Falcon4号車のMercedes AMG GT3はそのまま逃げ切り、134周を周回した最後のラップで劇的な逆転劇により総合優勝を勝ち取った。
日本勢も大健闘
一方でトヨタ自動車、日産自動車、スバル(富士重工業)の日本勢もそれぞれのクラスで健闘を見せる結果となった。
2.0リッターターボエンジンを搭載するSP3Tクラスの連覇を狙ったSUBARU WRX STIは、エースのカルロ・ヴァンダム選手や昨年からステアリングを握っている山内英輝選手とティム・シュリック選手、2013年からチームに加わったマルセル・ラッセー選手の強力な体制で挑んだ。
ファーストスティントを担当していたカルロ・ヴァンダム選手が走行していたときに大雨に見舞われ、あわやクラッシュという肝を冷やす場面もあったが、運よくガードレールにもコースアウトした車両にも大きくヒットせず、無事にクルマをピットへと戻した。レース中断後は、雨が降ったことでAWDの真価を発揮し、ライバルのアウディTTを上回るラップタイムで周回を重ねた。ドライではアウディTTも好タイムをマークし、レース終盤まで両車の争いは緊迫した展開となった。
ところが残り3時間を迎えたあたりでアウディTTがクラッシュして戦線離脱。SUBARU WRX STIは、その後もラップタイムを落とすことなく24時間を完走。総合20位となり2年連続でクラス優勝を奪取した。
3台がエントリーしたTOYOTA GAZOO Racingは、36号車のLEXUS RC Fが中盤に駆動系のトラブルを抱えたが、マシン製作とチーム運営を行なっているTOM'Sのメカニックにより短時間で修復。その後はトラブルなく走り続け、総合24位でクラス優勝となった。
市販前のモデルだが開発を兼ねて参戦していたTOYOTA CH-R Racingは、97周を走行して総合84位でクラス3位を獲得。2年連続の参戦となったLEXUS RCはミッショントラブルを抱えてゴールすることは叶わなかった。
日本勢で唯一トップカテゴリーとなるSP 9クラスにエントリーしていたNissan GT Academy Team RJNのNissan GT-R GT3は、129周を走行して総合11位となった。